運動は健康につながる一方、思いがけないタイミングで「筋肉のトラブル」を引き起こしてしまうこともあります。特に真剣にスポーツに取り組むアスリートはそのリスクが高く、しっかり対策をする必要があります。
今回は、筋肉のトラブルについて解説し、予防法などの対策を紹介します。
筋肉のトラブルには様々なものがあります。大きく分けると「急性の痛み(傷害)」と「慢性の痛み(障害)」があります。まずは、どのようなケガがあるのか確認してみましょう。
<主な急性の痛み>
<主な慢性の痛み>
ここからは、それぞれのケガについて解説していきます。
まずは、急に痛みが生じる傷害について解説します。
肉離れと聞くと、筋肉と骨が離れてしまうケガだと思っている人もいるかもしれませんが、そうではありません。肉離れとは、筋肉に大きな負荷がかかることによって、筋肉の線維や、線維を包む筋膜が部分的に損傷してしまう状態のことを指します。
肉離れが起きやすいのが、下半身。特に気をつけたいのが太ももの裏の筋肉であるハムストリングスや、ふくらはぎの筋肉である下腿三頭筋です。
「ダッシュをしようと踏ん張った瞬間」
「ジャンプをしようとした瞬間」
「ジャンプからの着地時」
など、急な動作によって急激に筋肉に負荷がかかる瞬発的な動作時に損傷することが多いです。
症状としては、動作痛や内出血が起こります。急な痛みが治まってきても、筋肉の硬さや、内出血によるしこりが残り、動きにくさを感じる場合もあります。
※肉離れについては、過去コラム(肉離れ対策を徹底ガイド!原因から予防法、治療法まで)でも紹介していますので、そちらもあわせてご覧ください。
体に外力が当たることによって血管や皮膚、筋肉が損傷するのが打撲です。打撲は肉離れと異なり、自分一人では起こることがほとんどなく、相手がいることによって起こるケガといえます。
症状としては、動作痛や内出血、腫れや熱感が見られます。肉離れ同様、痛みが引いた後に筋肉の動きにくさを感じることがあります。
ラグビーやアメフト、格闘技などコンタクトスポーツは、常に打撲のリスクがあります。
“足が攣る”というのは、筋肉の痙攣によるものです。痙攣の原因は様々ですが、筋肉疲労や筋肉の冷え、水分やミネラルの不足が考えられます。
スポーツ中、長時間特定の筋肉を動かし続けるうち、筋肉に疲労がたまり、痙攣の原因になります。また、寒い環境の下では、筋肉が冷え、血行が悪くなることにより、筋肉の収縮バランスが崩れ攣りやすくなります。
水分やミネラルの不足も、痙攣につながります。体内の水分が少なくなると、血液の粘性が高まり、循環が悪くなります。ミネラルは、筋肉の収縮や神経の伝達に欠かせない栄養素です。カリウムやマグネシウム、カルシウムが体内から不足することで、筋肉の痙攣を引き起こす場合があります。
特に暑い時期は、汗によって水分とともにミネラルが体外に排出され損失しやすくなります。汗をかきやすい時期は、運動前や運動中に適切な水分やミネラル補給に気をかける必要があるでしょう。
次に、慢性的な筋肉トラブルである障害について解説します。
ケガをすると、筋肉は炎症を起こします。しかし、肉離れや打撲のように、直接の原因がなくても同じ動作を繰り返し行うことで、負荷がかかっている筋肉に炎症が起こり、痛みを引き起こす場合があります。
同じ部位を使い続けることで、徐々に炎症が広がり、痛みが増していくのです。
急な痛みを感じなかったのに、なんか常に痛い感じがする…という場合は、使い過ぎによる炎症の可能性があります。
症状としては鈍痛や動作痛、熱感などです。炎症は動かし続けることで強くなり広がるので、安静にして患部を休めることが大切です。
筋肉の緊張によって、体が動きにくさを感じる場合があります。筋肉の緊張は、筋肉の疲労や冷え、ケガの後の筋肉の硬さによって引き起こされます。
筋肉の緊張のみでは痛みを感じないことも多いので、気づかない場合も。ただ、緊張が強いことによって肉離れや痙攣などのリスクが高まるので、しっかり解消しておく必要があります。
ご存じ筋肉痛も、筋肉のトラブルの一つといえます。筋肉痛は、スポーツによって起こる筋線維の損傷により炎症が起こり、動作痛を引き起こします。
筋肉痛は、他のトラブルとは異なり、悪い原因で起こるものではありません。しかし、動作痛によりいつもより動きにくくなってしまいますので、筋肉痛が起こりにくくなるように対策しましょう。
※筋肉痛については、過去コラム(スポーツシーズン到来!筋肉痛を予防するための4つのポイント)(それでも痛くなってしまったら! 筋肉痛を早く治す方法)も参考にしてみてください。
筋肉トラブルは、しっかり対策をすれば予防することができます。ここでは筋肉トラブルを起こさない対策を紹介します。
スポーツ前に筋肉の状態を整えておくことが、筋肉のトラブルを防ぐ方法の一つです。
ウォーミングアップは、筋肉の温度を高めることで、筋肉が伸びやすくなり、ケガのリスクを抑えることができます。特に瞬発系の動作を行うスポーツの場合は、入念なウォーミングアップを行い、筋温を上昇させておくようにしましょう。
寒い時期は、なかなか筋肉の温度が高まりません。その場合は、ホットパックなどを活用し、外部から熱を与え、筋温を高めるのも効果的です。
スポーツで特に使った部位に関しては、スポーツ後に冷やしてあげるとよいでしょう。使った部分は炎症を起こし、熱を持っています。その炎症を広げないように、アイスパックなどで冷やします。
また、ケガをしてしまった場合も、すぐに冷やしてあげるのが効果的。炎症を一刻でも早く抑えるようにしましょう。
スポーツ後にクーリングダウンを行い、その日の疲労をしっかりと除去しておくことも大切です。疲労が溜まってしまうと、筋肉が緊張し、柔軟性が低下してしまいます。
その状態で筋肉にストレスがかかると、筋肉トラブルを起こしやすくなります。
日ごろからストレッチやマッサージ、入浴などで、筋肉の状態を整えておくようにしましょう。
また、使い過ぎを防ぐために、適切な休息を摂ることも大事です。
筋肉トラブルを防ぐためには、栄養の摂取も欠かせません。特に筋肉の元となるタンパク質は、アスリートや日ごろからスポーツに励む人には欠かせない栄養素です。
タンパク質は、肉や魚、卵など、普段の食事からでも摂取しています。しかし、スポーツをしている人は一般の人よりも多くタンパク質を摂取する必要があり、意外と不足しがち。
また、タンパク質を構成するBCAAというアミノ酸は、疲労感を軽減させたり、筋肉痛を抑えるだけでなく、筋肉トラブルの時に摂取することで、ケガが早く治るという報告もあります。
必要なタンパク質量を普段の食事から摂ろうとすると、タンパク質だけでなく、炭水化物や脂質などほかの栄養素の摂取量も増えてしまい、カロリー過多になることも。
そのため、サプリメントをうまく活用して、タンパク質を補給するのがおすすめです。
タンパク質補給のサプリメントとしてイチオシなのが、魚肉ペプチドのサプリメントです。
ペプチドとは、たんぱく質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のたんぱく質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
魚肉ペプチド「サカナのちから A for アスリート」は、効率的にスタミナ補給、体づくりができます。
吸収が早く、筋肉の修復に大切な運動直後の摂取に最適です。
筋肉トラブルは、どんなに防ごうと注意しても、完全に予防することはできません。そのため、運動を行う前からできる限り対策を行い、少しでもトラブルを起こすリスクを減らすことが大切です。