普段あまり運動をしていない方や、負荷の高い運動を行った後は、筋肉痛に悩まされることがあります。筋肉痛は時間の経過とともに回復しますが、できるだけ早く和らげたいと感じる方も多いでしょう。そこで本記事では、筋肉痛の回復をサポートするいくつかのケア方法をご紹介します。
筋肉痛とは運動後に感じる筋肉の痛みや違和感のことで、一般的には運動直後から数時間以内に痛みが出る場合と、1〜2日経ってから痛みが現れる「遅発性筋肉痛」があります。症状としては、筋肉の張りやだるさだけでなく、熱感や軽い腫れを伴うこともあります。
筋肉痛は、普段使わない筋肉を使ったときや、慣れていない運動をしたときに起こりやすく、特に筋トレやランニングなど、筋肉に強い負荷をかける運動を行った後に発生しやすい傾向があります。
実は、筋肉痛の詳しいメカニズムについては完全には解明されていませんが、有力な説のひとつに「筋線維の損傷による炎症」があります。運動によって筋線維が傷つき炎症が生じると、その修復過程で生成される物質が痛みを引き起こすと考えられています。
筋肉痛の予防については下記の記事で詳細に解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
通常、筋肉痛は時間の経過とともに回復していきますが、適切なケアを行うことで、より早く痛みを和らげることができます。以下に、筋肉痛を早く治すために有効な5つの方法をご紹介します。
筋肉痛を早く治るためのケア5つ
次に、それぞれのケア方法を詳しく見ていきましょう。
運動後すぐや痛みが強い場合には、患部を冷やすアイシングが効果的です。患部を冷やすことによって炎症反応を抑えるとともに、痛みを和らげることができます。
例えば、フルマラソンなど強度の高い運動後は筋肉が熱を帯びているため、冷却することで痛みの軽減や回復スピードに差が出るとされています。保冷剤や氷をタオルに包み、1回15~20分を目安に患部を冷やしましょう。
ただし、長時間冷やしすぎると血行が悪化する可能性があるため、様子を見ながら行うのがポイントです。炎症が落ち着いたあとは、冷却から温めるケアに切り替えるとよいでしょう。
睡眠中は成長ホルモンの分泌が盛んになり、傷ついた筋線維の修復をサポートしてくれます。特に、就寝後1〜3時間は成長ホルモンの分泌が盛んになる時間帯なので、この時に修復の材料が豊富にあると筋肉の修復が効果的に行われるといわれています。
そのためには、食事は消化時間を考えて就寝の3時間前までに済ませることが大切です。仕事や都合で時間がとれないときは、30分ほどで吸収できるペプチドやアミノ酸のサプリメントを就寝直前に摂ることで、タイミングに合わせることができます。質の高い睡眠を心がけましょう。
また、筋肉痛があるときは無理に動かさず、しっかり休養することが大切です。どうしても運動を続けたい場合は、痛みがある部位を避けて、腕や上半身など別の部位を使ったトレーニングに切り替えるのが適切です。
下記の記事でも睡眠について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
疲れにくい身体になるために!休養(睡眠・運動・栄養など)上手になろう
筋肉痛の痛みが和らいできたら、軽めのストレッチやマッサージを取り入れると、血行が促進され、回復促進につながります。太ももや背中などをやさしくもんだり、動かしたりすると効果的です。
無理に力を入れて揉むと逆効果になることがあるため、「気持ちいい」と感じる程度で行うのがポイントです。タイミングは入浴中や入浴後などの体が温まっているときがおすすめで、強く痛む場合は無理をせず、痛みが落ち着いてから徐々に行いましょう。
ぬるめのお湯(38~40℃)に10~20分ほどゆっくり浸かることで、筋肉がほぐれ、血行が促進されます。これにより筋肉のこわばりが和らぎ、痛みの緩和や疲労回復が期待できます。
特に、寒い季節や筋肉が冷えているときには効果的です。入浴中にやさしく筋肉をなでるようにマッサージすれば、さらに回復促進が期待できます。
ただし、熱すぎるお湯は逆に体への負担となるため、お湯の温度には注意しましょう。入浴後は体が温まっている状態なのでストレッチを組み合わせるのもおすすめです。
筋肉の修復には、適切な栄養補給が欠かせません。特に、タンパク質は筋線維の修復・再生に必要不可欠なので、魚・肉・卵・大豆製品などから積極的に摂取しましょう。
さらに、分岐鎖アミノ酸(BCAA)であるバリン・ロイシン・イソロイシンは、筋肉の分解を抑え、合成を促す働きがあり、筋肉痛の軽減効果も期待されています。マグロやカツオなどの赤身魚、鶏肉に多く含まれているため、食事に取り入れるとよいでしょう。
筋肉痛を早く治すには、マッサージやストレッチ、睡眠などのケアが効果的ですが、きちんと食事をとって栄養素を摂取することも重要です。
そこで、筋肉痛の回復に不可欠な栄養素であるタンパク質をはじめ、アミノ酸やペプチドについて以下で詳しく解説します。
まず大事なのが筋肉修復の材料である「たんぱく質」を、特に良質なものを十分に摂ることです。
筋肉痛は、運動によって筋線維が微細に損傷することが主な原因とされています。この損傷した筋線維を修復し、より強くするために必要不可欠なのが「タンパク質」です。特に、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含む「良質なタンパク質」は吸収効率にも優れており、筋肉の回復を効果的にサポートします。
良質なタンパク質を豊富に含む食品としては、以下のようなものが挙げられます。
良質なタンパク質を含む食品
タンパク質は体内で分解され、主にアミノ酸として吸収されますが、一部はジペプチドやトリペプチドとして吸収されることもあります。これらは、体内で筋肉の修復や合成に使われます。なかでも、バリン・ロイシン・イソロイシンといったBCAA(分岐鎖アミノ酸)は、筋肉のエネルギー源となると同時に、筋肉の分解を防ぐ働きがあり、筋肉痛を軽減する効果も期待される重要な栄養素です。
さらに、ペプチドはタンパク質よりも分子が小さく、消化・吸収が非常にスムーズです。胃腸に負担をかけにくく、運動直後や食事が取れないタイミングでの素早い栄養補給に適しており、回復の効率を高めることが期待できます。
アミノ酸やペプチドはタンパク質を含む食品を摂取することによって吸収されますが、以下のようなサプリメントや食品からも摂取が可能です。
アミノ酸やペプチドを手軽に補えるサプリメント・食品
「BCAAやEAAなどのアミノ酸サプリメント」は、吸収スピードが早いため、アミノ酸やペプチドを素早く摂取したいと考えている方におすすめです。「加水分解プロテイン」は通常のプロテインよりも吸収が早く、胃にやさしいのが特徴です。「ゼリーやドリンクタイプの栄養補助食品」は、アミノ酸やペプチドを含んでおり、手軽に摂取できます。
これらは吸収スピードが早く、運動後すぐに摂取することで、筋肉のダメージ回復を効率よくサポートしてくれます。ペプチドの種類や特徴についてさらに詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。
「魚肉ペプチド」とは、白身魚などの魚肉から抽出したタンパク質を酵素で分解し、低分子化した「ペプチド」のことを指します。魚由来の良質なタンパク質を、さらに消化・吸収しやすくした形で摂取できるため、筋肉の回復を促す成分として非常に注目されています。
魚肉ペプチドの特長は以下のとおりです。
特徴 | 詳細 |
吸収が速い | 分子が小さく体内にスムーズに取り込まれるため、運動後の迅速な栄養補給に適している |
必須アミノ酸が豊富 | バリン・ロイシン・イソロイシンを含むBCAAをはじめとした、体内で合成できない必須アミノ酸がバランスよく含まれている |
低脂質・低カロリー | 魚由来で脂質が少ないため、ヘルシーダイエット中や体重管理をしている方にも取り入れやすい |
胃腸への負担が少ない | すでに分解された状態であるため、胃腸に負担をかけにくい |
魚肉ペプチドは、サプリメントや特定保健用食品として販売されていることが多く、日常の食生活に取り入れやすいのも魅力です。特に運動後の素早い回復を目指す方や、疲れを感じやすいときの栄養補給としておすすめの成分です。魚肉ペプチドと筋肉の関係については下記の記事で詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
また、鈴廣かまぼこでは疲労感軽減の効果がある機能性表示食品「魚肉ペプチド サカナのちからB」を販売しています。健康な毎日を送りたいと考えている方は、ぜひ下記をご覧ください。
たんぱく質は20種類のアミノ酸からできています。
ペプチドの中でも、魚肉ペプチドはアミノ酸20種をすべて含有し、食事からしか摂取できない必須アミノ酸を理想的なバランスで含んでいます。そのため、効率的な体づくりやリカバリーに効果的といえます。
筋肉痛は、運動による筋線維の損傷と炎症が主な原因とされ、時間の経過とともに回復しますが、適切なケアや栄養補給で回復を早めることが可能です。
アイシングや入浴、睡眠、ストレッチに加え、タンパク質やアミノ酸、魚肉ペプチドなどの栄養素を意識的に摂取することで、筋肉の修復を効率よくサポートできます。日々のケアと栄養管理で、筋肉痛に負けない体づくりを目指しましょう。