
「健康診断の結果が気になる」「親しい人ががんになったと聞いた」
40代、50代を迎えると、そんな瞬間が増えてくるのではないでしょうか。
近年、体を動かす習慣とがんのリスクとの関連を調べた研究が数多く報告され、「運動と糖」の関係が注目されています。
この記事では、有酸素運動とがんについて研究でわかっていることと、運動を続けるための食事の工夫をご紹介します。
2016年、アメリカとヨーロッパの12の調査を統合し、およそ144万人を約11年追跡した研究が発表されました。この研究では、余暇に行う中〜高強度の身体活動が調査されています。早歩きやジョギング、水泳といった有酸素運動も、ここに含まれます。分析の結果、活動量が多い人ほど、26種類のがんのうち13種類でリスクが低いという関連がみられました。結腸がんや肝臓がんなどが含まれます。
一方、悪性黒色腫(皮膚がんの一種)と前立腺がんでは、逆にリスクが高い結果でした。研究者らは、前者では紫外線を浴びる機会、後者では検診を受ける機会の差が影響した可能性を指摘しています。前者は日焼け対策で備えられること、後者は検査によって早く見つかっている面があることを考えると、運動そのものを避ける理由にはならないでしょう。
ただし、運動そのものががんを防ぐと証明したものではありません。
国立がん研究センターの大規模な調査では、45〜74歳の男女約8万人が追跡されました。仕事や歩行、余暇の活動を合わせた総身体活動量が評価されています。総身体活動量が多いグループでは、がんのリスクが男性で0.87倍、女性で0.84倍という結果でした。男性では結腸がん・肝がん・膵がん、女性では胃がんでリスクが低い傾向が示されています。
また同センターは、禁煙・節酒・食生活・身体活動・適正体重という5つの健康習慣に注目しています。約14万人の分析では、5つすべてを実践している人は、0〜1つの人と比べて、がんになるリスクが男性で43%、女性で37%も低くなっていました。
運動だけですべてが解決するわけではありませんが、5つのうちの1つは今日から自分で変えられます。

多くのがん細胞では、糖を活発に取り込む性質がみられ、運動との関係を調べた研究があります。2025年に発表されたマウスの研究では、運動に伴って糖の利用が骨格筋や心臓の筋肉に偏り、腫瘍での糖の利用が低下する現象が示されました。
テレビ番組でも「運動をするとがん細胞に栄養が届かなくなる」可能性が紹介されています。ヒトでも同じことが起きるかは、まだわかっていません。
私たちの体には、異常な細胞を見つけて攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞という免疫細胞があります。2016年に発表された研究では、自由に走れる環境で飼育したマウスの腫瘍の発生や増大が、そうでないマウスに比べて60%以上抑えられたと報告されました。運動によってNK細胞が血液中に動員され、腫瘍のある場所へ集まっていくしくみです。
身体活動は、がんリスクとの関連が指摘されている複数の要因に影響すると考えられています。体を動かす習慣があると、余分な体脂肪が減り、血糖値を調整するインスリンがはたらきやすくなります。体内でくすぶるような慢性的な炎症も抑えられると考えられています。
「血糖値が高め」「お腹まわりが気になる」と言われている方にとって、体を動かす習慣は取り組む価値のあるテーマといえるでしょう。
国立がん研究センターの「日本人のためのがん予防法」では、身体活動について「日常生活を活動的に過ごす」ことが推奨されています。成人の目標は、毎日60分以上の歩行またはそれと同等以上の身体活動に加えて、週に60分以上の息がはずみ汗をかく運動です。
厚生労働省の身体活動・運動ガイド2023とも一致しています。なお、これらはがん予防だけでなく、健康的な生活を送るための目安でもあります。
「毎日60分」と聞くと身構えますが、まとめて行う必要はありません。通勤や買い物、昼休みの散歩など、日常の活動に少しずつ足していけばよいのです。
筋力トレーニングについても報告があります。
2022年の研究では、筋力トレーニングをしている人は、していない人と比べて総死亡や心血管疾患、がん、糖尿病のリスクが10〜17%低いと報告されました。週30〜60分付近で、リスク低下が最も大きいとのことです。
一方で、週130〜140分を超えると、良い影響は認められず、むしろリスクが高くなる結果を示したとも報告されています。ただし、関連研究はまだ少なく、結論が出ているわけではありません。

「では糖質を減らせばいいのでは」と思われた方もいるかもしれません。しかし、話はそう単純ではありません。食事から糖質を減らしても、体内では主に肝臓や腎臓が血糖を保つようにはたらきます。糖質を制限するだけで、腫瘍だけを糖不足にできるわけではないのです。
また、極端な食事制限は、エネルギーや栄養素の不足から体重や筋肉量の減少につながる可能性があります。運動を続けたい方にとっては避けたいところです。
運動を続けるうえで欠かせない材料が、タンパク質です。年齢を重ねると、タンパク質を摂ったときに筋肉をつくる反応が弱くなることがあります。運動習慣を支え、筋肉を維持するうえでは、日々の食事から必要なエネルギーやタンパク質を摂ることも大切です。
ここからは、がん予防そのものの効果ではなく、運動を続けるうえで意識したい一般的な栄養補給についてご紹介します。
タンパク質は、量だけでなく質も大切です。指標のひとつが正味タンパク質利用率で、摂ったタンパク質のうちどれだけが体づくりに使われたかを示します。魚肉はおよそ80%と、タンパク質源のなかでも高い部類に入ります。
ただ、忙しい日々のなかで、毎日の食卓に魚を並べるのは簡単ではありません。加えて、食べた魚が体に吸収されるまでには3〜4時間ほど必要です。
そこでオススメなのが、「魚肉ペプチド」です。魚肉をあらかじめ酵素で分解しているので、吸収効率に優れており、摂取してから30分ほどで体内にタンパク質を取り入れることができます。
この魚肉ペプチドを、天然の魚のすり身からつくったサプリメントが「サカナのちから」です。アミノ酸スコアは満点の100。日々の食事でタンパク質が不足しがちな方が、手軽に補う選択肢のひとつとしてお役立ていただけます。
「運動をすればがんを予防できる」とは言い切れません。それでも、体を動かす習慣のある人ほどがんのリスクが低いと国内外で報告されています。
がん予防法が示す目標のひとつは、1日60分程度の身体活動です。まずは「今より少し多く動く」ところから始めてみましょう。運動を続けるためには、習慣づくりとともに、必要な栄養素を摂ることも大切です。
なお、現在治療中の方や持病のある方は、運動を始める前に必ず主治医にご相談ください。