夏になると気温や湿度が高くなり、夏バテの症状に悩まされることがあります。特にシニアは若い世代に比べて体調を崩しやすい傾向にあります。夏は食欲が落ちやすくなるため、夏ヤセを防ぐ方法をチェックしておきましょう。
ここでは、シニアが夏ヤセに注意すべき理由と筋肉を維持するポイントについて詳しくご紹介します。
若い世代と比べると、シニアは夏バテによる体重の減少が起こりやすくなります。夏の暑さで食欲が低下したり運動不足になったりすると、栄養不足や筋肉量の減少につながるため注意が必要です。
栄養不足と筋肉量の減少が体に与える影響は、次の通りです。
・免疫力が低下して病気になりやすくなる
・ケガをしやすくなる
・フレイルの要因になる
夏場は食欲が低下しやすく、そうめんやうどんなど食事が偏る人が多く見られます。食事が偏ると、栄養不足は免疫力の低下につながり体調を崩すきっかけになります。
また、筋肉量が減少すると転倒による骨折やケガのリスクが高まります。喉の筋肉が衰えると、誤嚥性肺炎が起こりやすくなることも知っておきましょう。
体の機能や認知機能、社会的なつながりが低下した状態を「フレイル」と言います。シニアが健康的に過ごすためには、フレイルの予防と改善も大切です。
食欲が落ちる夏でも、適度な運動とバランスのとれた食事を心がけることで筋肉を維持できます。
ここでは、夏ヤセを防いで筋肉を維持するポイントを解説します。
夏は汗をかかないように運動を控えるという人も多いのではないでしょうか。しかし、運動不足が続くと、使わない筋肉は減少して筋力も低下してしまいます。筋肉は加齢とともに減少するため、意識的に筋トレを行うことがポイントです。
ただし、若い世代が行うようなハードな筋トレをする必要はありません。日常生活に取り入れやすく体への負担が少ない筋トレを、無理のない範囲で続けましょう。
加齢により体力が衰えてくると、熱中症によるダメージを受けやすくなります。シニアは体内の水分量が少なく、喉の渇きなど暑さに対する感覚が低下しています。筋肉量が少ない人ほど血流が悪くなりやすく、体温調節機能も低下しやすいことが特徴です。
夏ヤセを防ぐためにも、運動時はもちろん室内で過ごすときにも暑さ対策をしっかり行いましょう。「部屋の温度や湿度を測る」「エアコンを使用する」「こまめに水分補給をする」ことがポイントです。
シニアが夏ヤセを防ぐには、筋肉維持に欠かせない栄養素をしっかりと摂取することも重要です。筋トレとバランスの良い食事を組み合わせることで、効率良く筋肉を鍛えられます。
ここからは、筋肉維持につながる主な栄養素を3つご紹介します。
タンパク質は、筋肉・皮膚・髪などを作り出すために欠かせない栄養素の1つです。肉・魚・卵などに多く含まれています。
摂取したタンパク質は、消化酵素によってアミノ酸に分解されて体内に吸収されます。一方、体内のアミノ酸が不足するとせっかく鍛えた筋肉が分解されてしまいます。筋肉維持をするには、必要なタンパク質を十分に摂取することが大切です。
高齢者の1日あたりのタンパク質摂取推奨量は、次の通りです。
男性 | 女性 |
---|---|
60g/日 | 50g/日 |
(出典:厚生労働省「高齢者と栄養ー若年者との相違を中心にー」
/https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002xto9-att/2r9852000002xttn.pdf)
睡眠中はタンパク質を補給できないため、朝になると体内のタンパク質は枯渇状態になります。筋肉量の減少を防ぐために、特に朝食時はしっかりとタンパク質を摂取しましょう。
ビタミンB1は、筋肉を維持するために欠かせない栄養素です。玄米・大豆製品・豚肉などに多く含まれています。
ビタミンB1には糖質をエネルギーに変える役割があり、不足すると食欲の低下や体のだるさを引き起こします。汗から排出されやすいため、夏は特に意識的に摂取することが大切です。
にんにく・ねぎ・玉ねぎなどに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を助けるため、一緒に摂取すると良いでしょう。
水分は体に必要不可欠な成分です。成人の体内水分量は約60%、高齢者の場合は約50%を占めています。筋肉の約70%は水分と言われており、筋肉量が減少する高齢者は体内水分量が少なくなることが特徴です。
健康に暮らすためには、筋肉を維持するだけでなく筋肉が正常に機能するために必要な水分をしっかりと蓄えることも大切です。シニアの1日あたりの水分摂取目安量は、1,200mLです。
夏は熱中症のリスクが高まるため、喉が渇いていなくても1~2時間ごとにコップ1杯の水分を摂ることを心がけましょう。
筋肉維持のために運動したいと考えている人は、負荷の少ないトレーニングから始めてみましょう。軽い運動は筋肉維持だけでなく気分転換にもぴったりです。
ここからは、シニアでも無理なく続けられるスロートレーニングについてご紹介します。
スロートレーニングとは、ゆっくりとした動作で負荷をかけて効果的に筋肉を鍛える方法です。筋肉の緊張状態が長く続くことで、脳が激しい運動をしていると錯覚して成長ホルモンを活発に分泌します。
ダンベルを使ったり強い負荷をかけたりすることがないため、腱や関節に与える負担が少なく、シニアでも無理なく続けられます。自宅で手軽に取り組めるのもメリットの1つです。
姿勢の維持に欠かせない腹筋や歩行や立ち上がりに必要な下半身の筋肉を鍛えて、夏ヤセを防ぎましょう。
スロートレーニングの回数は、1つのメニューにつき5~10回が目安です。体の調子に合わせて、無理のない範囲で回数を調整しましょう。
筋肉は筋トレで破壊された筋線維が回復することで太く強くなります。筋線維が回復したタイミングで筋トレをすることで、より効果的に筋肉を鍛えられます。同じ部位を毎日鍛えるのではなく、2日以上空けてトレーニングをするのがポイントです。
毎日トレーニングをできる人であれば、鍛える部位をローテーションすると良いでしょう。
自宅で手軽にできるスロートレーニングはさまざまあります。1つのメニューにつき5~10回が目安ですが、慣れるまでは回数にこだわらずに無理のない範囲で取り組んでみましょう。
以下では、夏ヤセを防ぎたいシニア向けに、道具を使わずにできるスロートレーニングを3つご紹介します。
太ももやお尻など下半身の筋肉を鍛えるには、スクワットがおすすめです。
まずは足を肩幅くらいに開いて、背筋をまっすぐに伸ばします。頭の後ろで手を組んで息をゆっくり吸いながら腰を下ろします。息をゆっくり吐きながら体を元の位置に戻しましょう。腰の上げ下ろしは、3~4秒を目安に行うのがポイントです。
反動をつけずにゆっくり動作することと、腰を下ろしたときに膝がつま先より前に出ないようにすることを意識しましょう。
胸と腕の筋肉を鍛えるには、プッシュアップ(腕立て伏せ)が効果的です。
両膝を床につけた状態で腕立て伏せの体勢をとります。手は肩幅の1.5倍を目安に開きましょう。背筋を伸ばしたまま、体を上げ下げします。体を下げるときはゆっくりと息を吸いながら、上げるときはゆっくりと息を吐きながら行いましょう。体の上げ下げは、それぞれ3~4秒が目安です。
腹筋を鍛えたい人は、クランチを取り入れてみましょう。
クランチは仰向けの状態で行います。手は頭の後ろで組むか胸元でクロスさせましょう。膝を直角に曲げ、おへそを見るように3~4秒を目安にゆっくりと体を起こします。さらに3~4秒かけてゆっくりと体を後ろに倒します。肩甲骨が床につかないところまで倒しましょう。
筋肉を維持するには、毎日の食事でタンパク質やビタミンB1などの栄養素をバランスよく摂取することが重要です。食事だけで必要な栄養素を十分に摂取するのが難しい場合は、サプリメントで補うのも1つの方法です。
鈴廣かまぼこ開発の「サカナのちから S forシニア」は、小粒で飲みやすく手軽にタンパク質補給を行えるサプリメントです。
白身魚のすり身を酵素分解した「魚肉ペプチド」で効率良くアミノ酸を取り込むことができます。
サプリメントを活用しつつ、夏に負けない体づくりを始めましょう。
まだまだ暑い日が続きそうですが、健康の基本は、しっかり食べて、適度に運動し、よく休むこと。無理は禁物ですが、暑くて億劫になる夏こそ、それぞれ工夫して取り組みましょう。
食が細くなり、心配な方はサプリメントを活用するなどして、猛暑の季節を乗り切りたいですね。