「朝食は食べた方がよい」と世間では言われているものの、朝食を食べる習慣がなかったり時間がなかったりするなど、さまざまな理由で食べない方もいらっしゃるかもしれません。本記事では、朝食を抜くメリットとデメリットを解説しつつ、朝食を食べる習慣をつける方法についてまとめました。
朝食は1日のはじめに摂る食事ですが、なかには「朝食を食べない」という方もおり、特に若い世代にその傾向があるとされています。
農林水産省が2020年に公開した「令和元年度食育推進施策」によると、若い世代の約4人に1人の割合(25.8%)が「朝食を『週に2~3回食べる』および『ほとんど食べない』」と回答しました。さらに、20~39歳の男性に絞るとその割合は31.5%となっており、朝食を抜く傾向が強いことが分かりました。
朝食を抜いてしまう原因として考えられるのは、下記のような生活リズムや食習慣が挙げられます。
朝食を抜く原因
農林水産省は若い世代の朝食欠食を減らすことを目標とし、朝食を摂ることに関する取り組みの推進や情報発信等を行っています。
朝食は食べることが推奨されているものの、なかには「食べない方が調子がよい」とあえて朝食を抜く人もいます。朝食を抜くメリットとして、どのようなことが挙げられるのか見ていきましょう。
朝食を抜くことで、消化器官を休める時間が確保できます。
通常、食事を摂ると胃や腸は消化・吸収のために活動をします。そのため、食べ物が常に胃や腸にある限り、消化器官は活動し続けなければいけません。しかし、朝食を抜くと前夜の夕食から昼食までの間に12時間以上の空腹状態が生まれ、内臓の負担が軽減されます。これにより、消化不良や胃もたれを軽減できる可能性があります。
このように、朝食を抜くと消化器官を適度に休ませることが期待できるでしょう。
朝食を抜くことで、朝の時間と食費を節約できます。忙しい朝は食事の準備や片付けにかかる時間を短縮できるため、余裕を持って通勤・通学の準備ができるでしょう。朝食を買う・作るためのコストがかからなくなるため、経済的なメリットもあります。
例えば、毎朝パンやコーヒーを購入している場合、長期間で見ると年間で大きな節約につながりますし、コンビニに寄る手間も省けます。
朝食を抜くことで体調がよくなると感じる人もいます。空腹時に体の軽さや集中力向上を実感する人にとっては、朝食を抜くことはメリットになり得ます。食後血糖値の変動で眠気や倦怠感が生じるという理由で、あえて朝食を取らない人も少なくありません。
また、消化にエネルギーを使わないため、午前中のパフォーマンスが向上すると考える人もいます。ただし、体質によっては朝食を抜くことによって低血糖になりやすい人もいるため、自分の体調に合わせた選択が重要です。
朝食を抜くメリットについて説明しましたが、それ以上にデメリットの方が大きいかもしれません。個人の体質や生活習慣にもよりますが、朝食を抜くことによって勉強や仕事のパフォーマンスが低下し、健康面に影響がある可能性があります。ここからは、朝食を抜くデメリットについて見ていきましょう。
朝食を抜くと必要とするエネルギーが不足し、集中力や判断力が低下しやすくなります。
特に、朝は前日の夕食から長時間空腹の状態が続いているため、起床時はエネルギーが枯渇している状態です。エネルギー補給がないと脳の働きが鈍くなり、仕事や勉強の効率が下がることがあります。
また、朝食を摂らない習慣が続くと午前中に疲れを感じやすくなり、パフォーマンスの低下につながります。
朝食を抜くと、血糖値の急激な変動を引き起こす原因になります。長時間の空腹状態が続いた後に昼食を摂ると、血糖値が急上昇しやすくなり、その後急降下することで眠気や倦怠感を引き起こすことがあります。
特に、糖尿病予備軍の人や血糖値のコントロールが必要な人にとっては、血糖値が乱れることが健康リスクを高める要因になってしまいます。
朝食を摂らないと腸の動きが鈍くなり、便秘の原因になることがあります。朝食をとることで腸が刺激され排便を促しますが、朝食を抜くと腸の活動が活発になりません。
さらに、朝食をとらないことで食物繊維や水分の摂取量が減る傾向にあります。結果的に便が硬くなり排便しにくくなり、便秘につながることもあります。
朝食を抜く習慣が続くと、生活習慣病のリスクが高まることが指摘されています。特に、肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症のリスクです。
朝食を抜くことで昼食や夕食の食べ過ぎにつながりやすく、血糖値の急変動のほか、脂肪の蓄積を招く原因になります。また、朝食を摂らないと必要な栄養素が不足しやすくなるため、免疫力の低下を引き起こすこともあるでしょう。
また、生活習慣病だけでなく脳卒中(脳出血・脳梗塞)を発症するリスクが高まることも指摘されています。
朝食を抜くと血糖値が急激に下がり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
朝食は、体内時計を整え交感神経を活性化させることで目覚めを助け、日中の活動に備える役割があります。しかし、朝食を抜くと体内時計が正常にリセットされず、体のリズムが乱れがちになります。その結果、昼夜逆転や睡眠の質の低下、エネルギーの低下などを引き起こすことがあります。
また、血糖値の急変動が交感神経・副交感神経のバランスを崩し、ストレスや疲労を感じやすくなることもあります。このような影響が考えられるため、朝食は毎日のリズムを整えるためにも重要です。
朝食を抜くのはメリット・デメリットどちらもありますが、下記のような方が朝食を抜くのは推奨されません。
朝食を抜かないほうがよい方
理由もあわせて、詳しく見ていきましょう。
成長期の子どもにとって、朝食は身体や脳の発達に必要なエネルギーと栄養を補給する大切な食事です。朝食を抜くと集中力や記憶力の低下につながり、学習や運動のパフォーマンスにも影響を与える可能性があります。
また、成長に必要なタンパク質やカルシウム、ビタミンなどの摂取が不足しやすくなり、体の発育に悪影響を及ぼすことも考えられます。特に活動量が多い子どもは朝食をしっかり摂り、一日を元気に過ごすためのエネルギーを確保することが必要です。
妊娠・授乳中の女性は、赤ちゃんの成長と自身の健康維持のために十分な栄養が必要です。日本人の食事摂取基準においても、妊娠・授乳中の女性は、非妊娠時と比較してエネルギーや栄養素摂取量が付加されています。
また、鉄分や葉酸、カルシウムなどのビタミンやミネラルは不足しやすいため、朝食を食べるようにしてバランスよく摂取しましょう。
食欲がなくあまり食べられない場合でも、ヨーグルトや果物、スープなど消化しやすいものを取り入れて、無理なく朝食を摂ることをおすすめします。
糖尿病や低血糖症、胃腸の疾患などの健康状態を持つ人は、朝食を抜くことが体調に悪影響を与える場合があります。特に糖尿病の人は、血糖値のコントロールが必要であり、朝食を抜くことで血糖値が急上昇しやすくなるリスクがあります。
血糖値コントロールが必要な場合は、朝食の内容も意識しましょう。糖の吸収をゆるやかにする「食物繊維」が多い食材や、血糖値の上昇を抑える「タンパク質」を含む食材を上手に摂取することで、血糖値を急激に上げないようにすることが大切です。
今まで朝食を食べてこなかった方にとって、明日から朝食をきちんと食べるというのはなかなか難しいものです。そこで、朝食を食べる習慣をつけるためのポイントをご紹介します。
朝食を食べる習慣がない方は、無理なく続けるために1品だけ食べてみることから始めるのがおすすめです。例えば、バナナやヨーグルト、ゆで卵など、手軽に食べられるものを取り入れると負担が少なくなります。
最初からしっかり食べようとすると、時間がかかり食欲が湧かず挫折しやすくなります。まずは少量でもよいので、朝食を摂ることを意識するとよいでしょう。
1品から徐々に量や品数を増やしていくことで、朝食の習慣を無理なく身につけることができます。
朝食を食べる時間を確保するためには、前日の夜に準備をしておくとスムーズです。例えば、下記のような準備はいかがでしょうか。
朝食を食べるための前日準備(例)
朝の忙しさが原因で朝食を抜いてしまう人は、前もって準備することで、無理なく食べる習慣をつけられます。
忙しくて朝食を摂る時間がない場合は、栄養補助食品を活用するのも一つの方法です。例えば、プロテインドリンクや栄養バー、スムージーなどは短時間で手軽にエネルギーや栄養を補給できます。
食事の代わりとしてではなく、栄養を補う手段として活用することで、忙しい朝でも無理なく健康的な習慣を継続できます。
さらにタンパク質摂取を手軽にしたい方は、タンパク質を含むサプリメントの活用もおすすめです。
「魚肉ペプチド サカナのちからB」は白身魚を原料に、酵素で分解した魚肉ペプチド(アミノ酸を吸収しやすくした形)が含まれているため、効率的にタンパク質を補給ができます。
「朝食の食事量が少ない」「タンパク質摂取を手軽にしたい」という方は、このような栄養補助食品やサプリメントも取り入れてみてはいかがでしょうか?
朝食を抜くのはメリット・デメリットどちらもありますが、朝食は1日をエネルギッシュに過ごすためには重要な食事です。朝食を食べる時間を確保して、しっかり食べるようにすることをおすすめします。
主食・主菜・副菜を揃えて栄養バランスよく朝食を食べるのが理想ではありますが、「1品だけ食べてみる」「栄養補助食品を活用する」といったところから始めて、無理なく朝食を食べる習慣をつけてみましょう。