
風邪に負けない体をつくるための、免疫力を高めることが重要です。ですが、どのようにすれば免疫力を高められるのか疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、生活習慣や食事などの観点から、免疫力を高める方法をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

私たちの体は、外敵から身を守る防御システム「免疫」によって支えられています。免疫力がしっかり働けば、風邪や感染症にかかるリスクを抑えられます。
ただし、免疫力は「高ければ良い」というわけではありません。免疫の過剰反応が続くと、アレルギーや自己免疫疾患など別のトラブルを招くおそれもあります。大切なのは、風邪や感染症の原因となる細菌・ウイルスに抵抗できる免疫力があることです。
「免疫力」とは、体が病原体(ウイルス・細菌など)や異物から自分を守る総合的な防御能力を指します。単に「風邪をひかない力」ではなく、生まれつき備わっている自然免疫(先天的免疫)と、感染を経験して身につける獲得免疫(後天的免疫)の2つが協力して働いています。
一般的には「免疫力を高める」という言葉がよく使われますが、実際には「免疫機能を整える」という表現が適切でしょう。
以下のような症状が続く場合、免疫機能が低下している可能性があります。
睡眠不足やストレス、栄養の偏りが続くと、免疫細胞を活性化させるために必要な物質の働きが弱まり、防御力が下がりやすくなります
ただし、これらの症状は他の疾患とも重なるため、長引く場合は医師に相談することが安心です。一時的な疲労や季節の変化によって起こるケースもあるため、まずは生活習慣を整えながら体の変化を観察するとよいでしょう。

免疫機能を維持するには、日々の生活習慣を整えることが欠かせません。睡眠や運動、ストレス管理を意識的に行うことで、体の防御力を底上げできます。
1日7〜8時間程度の十分な睡眠は、免疫細胞の働きを整え、ウイルスや細菌への抵抗力を高めます。
また、睡眠によってストレスが解消されることも重要です。過度なストレスは免疫力低下の原因になるため、十分に睡眠をとり、脳や体をしっかりと休息させることが欠かせません。
さらに就寝してから細胞を修復し、体の疲労を回復させる「成長ホルモン」の分泌も活発になります。寝室の照明や室温を整え、就寝前のスマホ使用を控えるなどして、質の良い睡眠をとるように心がけましょう。
白血球は体を守る大切な免疫細胞です。ウォーキングや軽い筋トレなどの中強度の運動は、その中のナチュラルキラー細胞を活性化させ、免疫力の維持に役立ちます。
また、適度な運動は自律神経のバランスを整える効果も期待できます。ただし、次の日まで疲労が残るような過度な運動はストレスホルモンを増加させ、かえって免疫を下げてしまいます。無理のない適度な運動を心がけましょう。
例えば、やや息が弾む程度の速歩きや軽いジョギングが最適です。運動習慣がない場合は1日10分から始め、徐々に時間を延ばすと無理なく継続できます。
ストレスを上手にコントロールすることも、免疫機能を守る鍵です。慢性的なストレスは自律神経を乱し、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を増やして免疫細胞の働きを抑制します。
ストレスを解消するためにも、日常的に以下も試してみましょう。睡眠や食事と併せて取り入れることで、免疫力がより整いやすくなります。

免疫力を維持・強化するためには、毎日の食事が重要です。特にタンパク質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂り、腸内環境を整えることが体の防御力を高めるポイントになります。
主食・主菜・副菜をそろえ、タンパク質・ビタミン・ミネラルを意識して摂取することが、免疫細胞の材料と働きを支える基本です。
1日あたりのタンパク質の推奨量は、18〜64歳男性で65g、18〜64歳女性で50gが目安です。また、彩り豊かな野菜を組み合わせることで、ビタミンやミネラルも自然に補えます。加工食品に偏らず、魚・肉・卵・豆類・季節野菜を組み合わせることが基本といえるでしょう。
色鮮やかな野菜や果物、発酵食品を毎日取り入れると、免疫機能の強化につながります。
目安としては「1日350g以上の野菜」を目標に、緑・赤・黄など複数色をそろえると効果的です。発酵食品は塩分が高いものもあるため、量や種類に注意しながらバランスを保ちましょう。
腸は体内最大の免疫器官といわれ、腸内環境を整えることによって全身の免疫力を高めるといっても過言ではないでしょう。
免疫細胞の約70%が腸に集中しており、腸内細菌が免疫系に直接影響します。善玉菌が優位な環境は腸管バリアを保ち、病原体の侵入を防ぎます。食物繊維や発酵食品は善玉菌を増やし、短鎖脂肪酸を生成して免疫調節をサポートしてくれるでしょう。
腸内環境を改善するためにも、水溶性食物繊維(海藻、オーツ麦、大麦など)と不溶性食物繊維(ごぼう、きのこ、豆類)をバランスよく摂ることが理想的です。また、食事以外にも水分補給と適度な運動も腸の働きを助け、腸内環境の改善に役立ちます。

免疫力を維持するためには、日常生活の中で免疫を弱める要因を避けることが欠かせません。ここでは、特に注意したい代表的な原因を見ていきましょう。
偏った食事によるタンパク質・ビタミン・ミネラルの不足、高脂肪・高糖質の食事、飲酒によるアルコールの過剰摂取、過労などは、免疫細胞の働きを鈍らせる主な原因です。これらの生活習慣が続くと、感染症にかかりやすくなったり、体調を崩しやすくなったりするため注意が必要です。
食事は「主食・主菜・副菜」を基本に、野菜・果物・タンパク質をバランス良く取り入れることがポイントです。アルコールは厚生労働省が推奨する「1日純アルコール20g以下(ビールのロング缶1本500ml程度)」を目安に抑えましょう。
さらに週1回以上の完全休養日を設定して十分な睡眠を確保すると、免疫の回復が早まります。
免疫力は高めつつ、正常な範囲で働かせることが理想です。しかし、免疫機能が過剰に反応すると、アレルギーや自己免疫疾患のリスクが高まります。
免疫は本来、体に侵入した異物を排除する仕組みです。しかし、過剰になると花粉や食物、ハウスダストなど無害な物質にも過敏に反応し、アレルギー症状を引き起こします。さらに、体内の正常な細胞を「敵」と誤認して攻撃してしまう自己免疫疾患では、関節リウマチや1型糖尿病などにつながる可能性があります。
これらの免疫の過剰反応は、原因物質の回避や腸内環境の改善、適度な運動、ストレス管理が過剰反応の抑制に役立ちます。気になる症状がある場合は、自己判断せず医療機関で検査や治療を受けることが大切です。

免疫力を維持・向上させるには、まず自分の生活習慣を客観的に見直すことが欠かせません。睡眠、食事、運動、ストレス管理、嗜好習慣など複数の要素が免疫に関わるため、弱点を把握することが第一歩となります。
免疫力は一つの要因だけで決まるものではなく、日々の習慣が相互に影響します。偏りや不足に早く気づけば、感染症や慢性的疲労を防ぐことが可能です。
自覚がないまま不健康な習慣が続くと、慢性炎症や免疫低下を招きかねません。以下の項目を参考にセルフチェックしてみましょう。これらの項目を振り返るだけでも、改善点が見えてきます。
大きな改革よりも、小さな行動を毎日積み重ねるほうが免疫力の底上げには効果的です。具体的な習慣を取り入れることで自律神経や腸内環境が整い、長期的に免疫機能をサポートします。
短期目標を「今日から」と設定すると心理的ハードルも下がり、実行に移しやすくなるでしょう。
これらはどれも特別な準備を必要とせず、忙しい日常でも取り入れやすい方法です。毎日の小さな積み重ねが、免疫力を長く支える大きな力となるでしょう。
免疫力を高める方法について、生活習慣や食事を中心にご紹介しました。睡眠不足や偏った食事が続いてしまうと免疫力が下がり、風邪や肌荒れなどにつながってしまいます。
生活習慣チェック項目やチェック例を参考にしながら、日々の生活を整えて免疫力を高めましょう。