
スキーやスノーボードの後に筋肉痛が起こりやすいのは、雪上ならではの動作や寒さによって、普段使わない筋肉に強い負荷がかかるためです。この記事では、筋肉痛が起こりやすい原因を解説し、適切なウォームアップや前日の準備、滑走後のケア、重要な栄養素などの筋肉痛対策についても紹介していきます。
まずは、なぜスキー・スノーボードで筋肉痛を感じやすいかという理由から紹介していきましょう。

一般的に筋肉痛といわれる痛みは、正式名称を“遅発性筋肉痛(DOMS:Delayed Onset Muscle Soreness)”といいます。これは、運動によって筋繊維にごく小さな損傷が生じ、その修復過程において炎症反応が起こることで発生します。運動後すぐにではなく、24~48時間ほど経ってから痛みが現れるのが特徴です。
筋肉痛自体は筋肉が強くなるための体の反応の一つであり、悪い痛みではありません。とはいえ、筋肉痛が起こってしまうことで、痛みや関節の可動域が制限され、翌日の滑走パフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。
筋肉痛は、普段とは異なる動きをすると起こりやすいという特徴があります。
スキーやスノーボードでは、太ももやお尻、ふくらはぎといった下半身の大きな筋肉に加え、バランスを保つための体幹部にも継続的な負荷がかかります。これらの筋肉にいつも以上の負荷がかかるうえ、踏ん張ったり、体幹や関節をひねる動作などの非日常的な動作が加わることで、筋繊維の微細な損傷を引き起こし、筋肉痛が起こりやすくなるのです。
また、スキーやスノーボードで滑走中に重力に対抗しながらスピードを調整する “ブレーキ動作”も筋肉痛を強く引き起こす原因の一つです。ブレーキ動作の時に主に働くのが、筋肉が伸ばされながら力を発揮する「エキセントリック・コントラクション(伸張性収縮)」という筋肉の動きです。このエキセントリックな負荷は、筋繊維に微細な損傷を起こしやすく、結果として筋肉痛を誘発しやすいという特徴があります。
普段どれだけトレーニングをしている人でも、スキーやスノーボードのような独特の姿勢やブレーキをかけるための踏ん張り動作は、日常生活ではあまり行わないものです。そのため、筋肉痛が強く起こりやすいのです。
日常で使わない筋肉が刺激されるだけでなく、雪山の厳しい寒さも筋肉痛を助長する要因になります。
低温環境では筋肉が緊張しやすく、血流も低下しがちです。血液循環が悪くなると、筋肉に必要な酸素や栄養が十分に筋肉に届けられず、損傷した筋繊維の修復が遅れてしまいます。その結果、強い筋肉痛が起きたり、筋肉痛が長引いたりすることがあります。
これは、スキーやスノーボードなど特殊な環境が、筋肉痛を引き起こす要因の一つともいえます。
筋肉痛を完全に防ぐことはできませんが、対策をしておくことで痛みが少なくなったり、期間が短くなったりなどある程度予防することはできます。ここでは筋肉痛の予防のポイントを紹介します。
滑り出す前には、動的ストレッチでしっかり筋温を上げておくことが筋肉痛予防に役立ちます。筋温が十分に上がっていると筋肉の柔軟性が高まり、不必要な負担が軽減されるため、ケガや筋肉痛のリスクを抑えることができます。
ここで注意。ウォームアップの場合、一般的なイメージのストレッチであるゆっくりとした静的ストレッチ(伸ばしたままキープするストレッチ)は基本的に避けたほうがよいでしょう。
雪山など寒い環境で静的ストレッチを行うと筋肉や腱の温度が下がってしまい、ウォームアップ中に身体が冷えてしまうためです。
また、静的ストレッチは「動かずに伸ばす」動作であるため、素早い動作や力発揮に必要な神経系の働きが鈍くなりがちです。運動前に神経系が十分に活性化していないと、筋出力や反応速度が低下し、滑走中のブレーキ動作やバランス調整といった瞬間的な動きに対応しづらくなります。筋肉や関節が動きに備えて十分に“目覚めていない”まま運動に入ることで、急な負荷に耐えられず、思わぬケガを引き起こす場合も。
そのためウォームアップでは、関節を大きく動かしたり、軽い負荷で体を温めたりするような、動的ストレッチが適しています。動的ストレッチを行うことで、筋温が上がり、神経系の働きも活性化され、運動に必要な動きにスムーズに入れる状態を作ることができます。スキーやスノーボードの場合、股関節まわりや太ももに負荷が集中するため、軽いスクワットやランジ、脚の振り上げなどの動きを取り入れて、筋肉と関節がスムーズに動く状態を作っておくことが重要です。
筋肉痛を予防するためには、当日だけでなく前日のコンディショニングも欠かせません。軽いストレッチで筋肉のこわばりをほぐし、血流を整えておくことで、関節の可動域が確保され、滑走時に筋肉へ余計な負担がかかりにくくなります。また、血流がよくなることで筋肉の修復が進み、疲労を翌日に持ち越しにくい状態をつくれます。
さらに、質の良い睡眠は成長ホルモンの分泌を促し、筋肉の修復を後押しするため、筋肉痛予防に非常に効果的です。前日の疲労をしっかり取り除き、体を十分に整えておくことが、翌日のパフォーマンスと筋肉痛予防の両方を支える重要な準備となります。
筋肉痛を出さないようにするには、日頃から筋力をつけておくことも有効です。
事前に筋肉痛の起こりやすいお尻や太もも、ふくらはぎなどの筋肉のトレーニング、特にエキセントリックに負荷をかけるやり方で鍛えておくことで、ある程度筋肉痛の発生を防ぐことができます。
また、下半身や体幹の筋肉がしっかりしているほど滑走中の姿勢が安定し、無駄な力を使わずに効率よく動けるようになります。スクワットやランジといった下半身のトレーニングに加え、バランス能力を高める体幹トレーニングを取り入れることで、筋肉痛の軽減だけでなくケガの予防にもつながります。
事前の筋力づくりは、シーズン本番をより安全で快適に楽しむための基礎づくりといえるでしょう。

事前準備だけでなく滑った後のケアも重要です。ここではケアのポイントを紹介します。
滑走が終わった後は、いきなり動きを止めず、まずは軽い歩行などで心拍数をゆっくり落ち着かせることが重要です。そのうえで、温かい場所に移動した後、下半身を中心に静的ストレッチ(伸ばしたままキープするストレッチ)を行い、こわばった筋肉を緩めていくとよいでしょう。疲労物質の除去が促され、筋肉痛の発生や重さ・だるさを和らげることにつながります。
クールダウン後は、温冷交代浴や軽いマッサージを取り入れることで、さらに回復を促すことができます。交代浴を行うことによって、温めて血管を広げた後に冷やすことで血管の伸縮が起こり、血流が活発になるため、疲労物質の排出がスムーズになります。また、強く押しすぎない軽いマッサージで筋肉をやさしく揺らすように刺激すると、筋肉の緊張がほぐれ、筋肉痛の軽減を図ることができます。
体を修復し、強くしていくためには、栄養素をしっかり補給するというのも重要なポイントです。そのために必要なのが「タンパク質」です。
運動後は、速やかに栄養補給を行うことが回復の質を大きく左右します。特に、筋繊維の修復に必要なタンパク質は、筋肉の回復に欠かせない栄養素であり、運動後30分以内に摂取することで、傷ついた筋肉の再合成が効率よく進みます。このタイミングを「ゴールデンタイム」と呼び、ゴールデンタイムのうちに速やかにタンパク質を摂取することが、筋肉痛の軽減や翌日のパフォーマンス維持において非常に重要になってきます。エネルギーの源となる炭水化物と一緒に、タンパク質をしっかり補給するようにしましょう。
おにぎりなどの軽食で手軽に摂取できる炭水化物に比べ、タンパク質は肉や魚などのしっかりとした食事が必要なことが多いうえ、消化も遅く、効率よく吸収するまでに時間がかかってしまいます。
そんな時に活用したいのがサプリメント。タンパク質の中でも、ペプチドは吸収の速さが特徴です。通常のタンパク質は消化の過程で分解されてから吸収されますが、ペプチドはすでに細かい状態になっているため、体内にスムーズに取り込まれ、素早く筋肉の修復に役立ちます。肉や魚のタンパク質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていくのです。、

また、「サカナのちから」のもととなる魚肉たんぱくは、アミノ酸のバランスが良いのが特徴で、体の再生に利用される割合が多く、運動でダメージを受けた筋肉の再生に適した組成であることも利点です。雪山で冷えた身体は胃腸の働きが鈍くなりがちですが、吸収性の高いペプチドであれば負担が少なく、運動直後の栄養補給に最適といえます。

鈴廣かまぼこ開発の「サカナのちから A for アスリート」は、効率的にタンパク質補給ができる魚肉ペプチドが主原料のサプリメントです。
・魚肉だから高たんぱく・低脂肪
・魚肉だから理想的なアミノ酸バランス
・ペプチドだから優れた吸収効率
・タンパク質利用率は、97%
筋肉痛を防ぐには、事前の準備や滑走後のケアが欠かせません。ケアは休養だけでなく栄養も重要。今回紹介したポイントを実践し、快適なシーズンを過ごしましょう!
ようにしましょう。