フルマラソンは42.195kmを走り切る過酷なスポーツです。
走る人の体力や練習量だけではなく、補給食の取り方もフルマラソン完走の成否を大きく左右します。
とくに40代~のミドル層のランナーにとっては、体力の消耗を抑え、最後まで力を出し切るためには計画的な食事と栄養摂取が欠かせません。
本記事では、レース前・レース中・レース後の食事や補給食について解説します。
フルマラソンは「エネルギー管理」が完走のカギとなります。
長時間走り続ける中で体内の糖質は枯渇しやすく、その対策として補給食が欠かせません。
ここでは、なぜ補給食が必要なのかを解説します。
人間の体は、運動時に主に「糖質(グリコーゲン)」と「脂肪」をエネルギー源として使います。
しかし、フルマラソンで消費するエネルギーは約2,500〜3,000kcal。
体内に貯蔵できる糖質はせいぜい1,500〜2,000kcal程度しかありません。
つまり、何も補給しなければエネルギー切れ(通称「30kmの壁」)にぶつかり、ペースダウンやリタイアの原因になります。
エネルギー切れを防ぐために、レース前からエネルギーを蓄える食事を意識し、走行中も継続的に補給していくことが重要です。
レース前にどんな食事をするかで、当日の走りやすさが大きく変わります。
前日から当日の朝にかけての食事でエネルギーを蓄えることが、スタート直後から後半まで安定した走りにつながります。
ここではレース前の食事とおすすめメニューを紹介します。
レース前の食事は「エネルギーを満タンにすること」と「消化に良い食事を心がけること」がポイントです。
前日は炭水化物を中心に、脂質や食物繊維は控えめにして胃腸の負担を軽減します。
当日の朝食はスタートの3〜4時間前に、軽めの炭水化物を摂取しましょう。
「カーボローディング」という手法も有効で、数日前から炭水化物の比率を増やすことでグリコーゲンを最大限蓄えることができます。
フルマラソンのレース前に積極的に摂りたい栄養素は炭水化物、タンパク質、ビタミン・ミネラルです。
● 炭水化物(糖質):主なエネルギー源。ご飯、パン、うどんなど消化の良いものを中心に。
● タンパク質:筋肉の修復と持久力の維持。鶏胸肉や魚、豆腐など脂質の少ない食材がおすすめ。
● ビタミン・ミネラル:代謝を助ける。とくにビタミンB群、鉄、マグネシウムを意識。
● 前日夜:ご飯+うどん、鶏胸肉の照り焼き、ほうれん草のおひたし
● 当日朝:おにぎり2個+バナナ+ヨーグルト
● スタート直前:エネルギージェル1袋+水分
摂取する量や食べ物の好みには個人差があります。
上記はあくまでも一例です。
あなたに合うレース前の食事メニューを見つけましょう。
フルマラソンのレース中にどのようにエネルギーを補給するかが、30km以降の走りを左右します。
適切なタイミングで適切な量を摂取することでエネルギー切れを防ぎ、最後まで粘り強く走ることができるのです。
ここではレース中の補給食のポイントを解説します。
エネルギーの消費量は個人差がありますが、一般的には体重60kgのランナーがフルマラソンを走ると、約2,500〜3,000kcalを消費すると言われています。
そして、体内に蓄えられる糖(グリコーゲン)は1,500〜2,000kcal程度(20〜30km分) が限界でので、レース中は「1時間あたり30〜60gの糖質(約120〜240kcal)」を補給するのが目安です。
基本的には消化吸収の良い補給食を摂取しましょう。
● エネルギージェル:即効性が高く、持ち運びやすい。
● エネルギーバー:腹持ちが良いが、固形物なので消化や喉の渇きに注意。
● バナナ・干しブドウ:自然食品で胃に優しい。
● スポーツドリンク:糖質+電解質を補給できるため必須。
摂取のタイミングも個人差があります。
走った時間で摂取する人もいれば、走った距離で摂取する人もいます。
あなたに合うタイミングで摂取しましょう。
● スタート前30分:エネルギージェルやバナナなどで糖をチャージ。
● 5〜10kmごと:ジェルやスポーツドリンクで糖を継続的に補給。
● 30km以降:吸収の良いジェルを優先。
喉が渇く前に少量ずつ水分補給をすることも忘れないようにしましょう。
ゴール後の体はエネルギーを使い果たし、筋肉も大きなダメージを受けています。
走り切った後の補給食は、翌日の疲労回復やケガの予防に直結する重要な要素です。
ここではレース直後から意識したい栄養素と食事例を紹介します。
フルマラソン後は筋肉のダメージが大きく、エネルギーも枯渇状態です。
ゴール直後は30分以内に以下の栄養素を補給しましょう。
体力や筋肉の回復が早まります。
● 糖質:グリコーゲンの回復
● タンパク質:筋肉の修復
● 電解質:発汗で失われたナトリウム・カリウム補給
レース後は内蔵が弱っており、食欲も湧かないこともあります。
サッと手軽に食べられるメニューにしましょう。
● スポーツドリンク
● プロテインドリンク
● おにぎり
● バナナ
● 鶏肉と野菜のスープ
フルマラソンでは糖質の補給が注目されがちですが、タンパク質も欠かせない栄養素です。
前文中で、レース前やレース後にタンパク質を摂ることの大切さを紹介しましたが、実はタンパク質をペプチドという状態で摂ることにより、フルマラソンの各シーンで更に効果的にタンパク質のちからを活かすことができるようになるのです。
ペプチドとは、たんぱく質が消化酵素で分解され、アミノ酸が数個固まった状態のこと。アミノ酸を2~3個まとめて取り込めるため、効率的に体内に補給することができます。肉や魚のたんぱく質からアミノ酸を摂ろうとすると、消化され吸収されるまでに3~4時間かかりますが、ペプチドでは、既に分解された状態ですので30~40分で吸収されていきます。
30分で体に吸収されていくというペプチドの特徴を活かした、効果的な飲み方をご紹介しましょう。
アミノ酸のうち、バリン・ロイシン・イソロイシンはBCAAといわれ、筋肉タンパク質の構成成分であり、筋肉中ではエネルギーとしても使われるという特徴があります。
運動を始めると、最初は筋肉中に蓄えられた糖質(グリコーゲン)がエネルギー源として使われますが、それが枯渇すると筋肉中にあるBCAAがエネルギー源として使われます。さらにそれが枯渇すると、筋肉を分解してできたアミノ酸をエネルギー源として使おうとしてしまいます。
あらかじめBCAAを摂っておくことで、運動による筋繊維の分解を抑え、筋肉の損傷を防ぐことにつながります。レース前、レース中ににアミノ酸をペプチドで摂取すれば30分後には体に吸収されていきますので、スタミナ維持・筋肉の消耗を抑えることができるのです。
運動の30分後と就寝の1~3時間後は「筋肉づくりのゴールデンタイム」といわれ、この時間になると成長ホルモンの分泌が盛んになり、筋肉の修復が行われます。 その時に筋肉の原料となるアミノ酸が豊富にあると、筋肉の修復がうまくいき、筋肉づくり・リカバリーにつながるのです。
レース直後や就寝前にペプチドでアミノ酸を摂れば、30分後には体に吸収されていきますので、ゴールデンタイムにアミノ酸が豊富にある状態をつくることができるのです。
鈴廣かまぼこ開発の「サカナのちから A for アスリート」は、白身魚のすり身を酵素分解した「魚肉ペプチド」が主原料のサプリメントです。
・魚肉だから高たんぱく・低脂肪
・魚肉だから理想的なアミノ酸バランス
・ペプチドだから優れた吸収効率
・タンパク質利用率は、97%
補給食は種類が多く、どれを選べば良いか迷うランナーも多いです。
本番で力を発揮するためには、自分の体に合うかどうかや、消化のしやすさ、携帯性などを考えて補給食を見つけることが大切です。
補給食選びのポイントと注意点
● 事前の練習で試すこと:本番で初めて使うのはリスク大。
● 消化のしやすさを確認:固形物は人によって胃に負担になる。
● 持ち運びやすさ:ポケットやウエストポーチに入れやすい形状がベスト。
● 水分と一緒に摂ること:ジェルは水なしでは消化に時間がかかる。
フルマラソンを完走するためには、日頃の練習や体力だけではなく補給食も不可欠です。
とくにミドル層のランナーは、体力や回復力が若い世代に比べて落ちやすいため、食事と補給の工夫が完走率を高めるカギとなります。
糖質のジェルだけでは甘さが際立って続けにくいという方もいらっしゃいますので、ペプチドのサプリメントとうまく組み合わせて補給するのがおすすめです。
自分に合った補給食を見つけて計画的に取り入れ、フルマラソンのゴールの喜びを味わいましょう。