地震や台風などの自然災害は、いつ起こるか予測できません。そのため、事前に食料や防災グッズを備えておくことが重要です。本記事では、災害時に必要な備蓄食料や防災グッズの選び方、そしてローリングストックの基本知識などについてご紹介します。
地震や台風、大雨といった自然災害は、いつ起きるか予測できません。そのため、日頃から備蓄を整えておくことが大切です。ここでは、災害時に必要なものをご紹介します。
災害時に必要なものを紹介する前に「備蓄品」と「持ち出し品」の違いについて理解しておきましょう。
持ち出し品とは、避難が必要になった際にすぐに持ち出せる必需品のことです。災害時に安全な場所へ避難するためには、「非常用持ち出し袋」を準備しておくことが欠かせません。
中身は、命を守るための最低限のアイテムを中心に、軽くて必要度の高いものを優先して入れておくのが基本です。具体的には、以下のようなものを備えておくと安心です。
また、持ち出し品を入れる袋は、両手が自由になるリュック型がおすすめです。背負った際の体への負担を減らすためにも、たくさん中身を入れすぎるのは避けましょう。必要なものを入れた状態で、背負ってみて重すぎないか事前に確認することも大切です。
備蓄品とは、自宅での生活を維持するために用意しておくものを指します。断水や停電など、ライフラインが止まった状態でも数日から1週間程度過ごせるように準備しておきましょう。
また、災害発生時には、自宅にとどまるケースと、避難所で生活するケースがあります。用途や状況に応じて必要な準備も異なるため、注意しましょう。
災害発生直後は、救助が行き届かないこともあります。そのため、自力で命を守るための備えが欠かせません。最低でも以下の5つはそろえておくとよいでしょう。
災害への備えは、家族の年齢や健康状態、さらには住んでいる地域の特性によっても変わります。以下に例を示しました。
家族や住んでいる地域 | 必要なもの(例) |
赤ちゃんがいる場合 | 粉ミルク、哺乳瓶、離乳食、オムツ、おしりふき、 着替え |
高齢者がいる場合 | 常用薬(数日分)、入れ歯洗浄剤、介護用品、眼鏡、 補聴器用電池、やわらかい食品 |
女性がいる場合 | 生理用品、着替え、ヘアゴム、 避難所などでプライバシーを守るポンチョ |
寒冷地に住んでいる場合 | カイロや毛布、冬用衣類 |
都市部に住んでいる場合 | 携帯トイレや小銭を含む現金、交通カード |
車が必要な地域に住んでいる場合 | 車内用の備蓄やガソリンを半分以上に保つこと |
このように、家族構成や住んでいる環境に応じて、必要なものをまとめるようにしておくことが大切です。家族それぞれの持ち出し袋に「本人専用の必需品」を入れておくと、避難時の混乱を防ぎやすくなります。
災害時は食料や水の備蓄だけでなく、生活を支える防災グッズの準備も欠かせません。停電や断水、避難所での生活に備えて必要なものを確認しておきましょう。
停電時には明かりを確保し、情報を入手できる環境が命を守るカギになります。そのため、懐中電灯・モバイルバッテリー・ラジオは必須アイテムです。
災害時は通信障害が起きることもあるため、電源と情報確保は最優先と考えましょう。
断水や避難所生活では衛生環境の悪化が大きな問題になります。感染症を防ぐためにも、簡易トイレ・マスク・衛生用品を備えておくことが重要です。
実際に避難所では、衛生用品が不足するケースも多いため、少し多めに備蓄しておくと安心です。
非常食だけでなく、温かい食事や飲み物をとれる環境があると大きな安心につながります。そのため、カセットコンロやガスボンベ、調理器具の用意があるとよいでしょう。
温かいスープやお茶があるだけでも心身の疲労回復に役立つため、用意しておきたいアイテムです。
家庭での食料備蓄は、最低3日〜1週間分を目安にしましょう。災害時には電気・水道・ガスといったライフラインが止まり、食料が手に入りにくくなる可能性があるためです。
災害支援物資が届くまでには発生から3日以上かかるといわれているため、その間を乗り切る準備が必要です。農林水産省の例では、大人2人の1週間分の備蓄として、以下のような内容が挙げられています。
水は1人あたり1日3リットルを目安に確保しておきましょう。特に災害時は給水が不安定になり、水の確保が難しくなるためです。特に気温が高い季節であれば、より水が必要になるので、意識して備蓄しましょう。
非常食やレトルト食品は少なくとも3日分は用意しておきましょう。災害発生直後の数日は行政の支援やライフラインの復旧に時間がかかるためです。
非常食やレトルト食品のなかでも、特に調理不要で食べられる缶詰やクラッカー、ゼリー飲料は便利です。
「備蓄」と聞くと「災害が起きたときに使うもの」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、普段の生活に取り入れながら備える「ローリングストック」という備蓄方法をおすすめします。ここではその特徴と実践方法を紹介します。
ローリングストックとは、非常食や日用品を日常的に使いながら定期的に買い足し、常に一定量を備える方法です。
非常食は一度に大量購入して保管してしまうと、気づかないうちに賞味期限が切れてしまうことがよくあります。そこで、普段から消費と補充を繰り返すことで、賞味期限を保ちながら、無駄のない備蓄が可能になります。
ローリングストックを実践するコツは、使った分を買い足す「循環型の備蓄習慣」を身につけることです。
例えば、レトルトのカレーを普段から5袋常備しておき、1袋使ったら翌日の買い物で1袋補充します。米や乾麺、缶詰なども同様に「常に〇袋ある状態」を基準にすると管理しやすいでしょう。
備蓄を続ける上で注意したいのが賞味期限切れです。賞味期限切れを防ぐには「見える化」と「管理ルール」の2つを取り入れるのが効果的です。
例えば、棚に収納する際は古いものを取り出しやすい手前側、新しいものを奥に置く「先入れ先出し」を徹底します。さらに、透明の収納ボックスやラベルを活用すると在庫が一目で確認できます。
また、「賞味期限チェック日」を設定するのもおすすめです。水や食品の入れ替えを「3月と9月」など季節の節目に行う習慣をつけるとよいでしょう。
災害に備えて食料を準備する際には、保存性や調理のしやすさを意識することが大切です。ここでは、非常時に役立つおすすめの食料と非常食を紹介します。
非常食は、常温保存が可能な食品を中心に備えるのが理想です。停電や物流の停止が発生すると、冷蔵・冷凍食品は早めに消費しなければならず、長期的な備えには向かないからです。備蓄におすすめの常温食品を以下にまとめました。
このように日常的に取り入れやすく、かつ長期保存できるものを優先すると安心です。
缶詰や乾物、レトルト食品は「そのまま食べられる」「少ない水や熱で調理できる」という特長があり、水や火の使用が限られてしまう災害時に役立ちます。
非常食を選ぶ際には、普段から食べ慣れている味を用意しておくことも大切です。災害時は不安や緊張で心身にストレスがかかるため、慣れない味の食事だと食べにくい、あるいは子どもや高齢者が受け付けないケースもあります。
例えば、「子どもが好きなカレーやシチュー、ゼリーなどを少し多めに準備をしておく」、「よく食べるチョコレートや飴などの甘いものを備蓄しておく」といったことが挙げられます。このように、保存性だけでなく「安心して食べられるかどうか」も備蓄の重要なポイントです。
備蓄品は意外と場所を取るため、クローゼットの奥にしまい込んでしまうことも少なくありません。しかし、災害はいつ発生するかわからないため、収納場所や管理方法にも工夫が必要です。ここでは効果的な収納・管理のポイントを紹介します。
備蓄品や防災グッズは、生活動線や緊急時の行動を考慮して、複数の場所に分散して配置すると安心です。災害時、場合によっては自宅の一部に立ち入れない可能性もあるため、取り出しやすい場所ごとにセットを用意しておくことが重要です。
このように分けて配置しておくと、状況に応じて必要な物をすぐ取り出せます。
災害時は慌てやすいため、「中身が一目でわかる収納」と「ラベルでの整理」が鍵になります。
例えば「備蓄を収納するケースは防水性・耐久性のあるコンテナやソフトバッグを選び、軽量で持ち運びやすいものにする」「ケースや袋に何が入っているかがわかるようにラベリングする」といったように、見える化と整理を徹底することで、緊急時に必要な物を迷わず手に取れます。
備蓄品は一度準備して終わりではありません。少なくとも年に1〜2回の点検・入れ替えを行うことで、常に使える状態を保つことができます。
こうした定期的な見直しを習慣化することで、いざというときに安心して備蓄品を活用できます。
災害はいつ起こるかわからないため、日頃から備えを整えておくことが大切です。自宅用の備蓄品と避難時の持ち出し品を区別し、家族構成や地域特性に合わせて準備しましょう。水や食料は最低3日〜1週間分を目安に確保し、ローリングストックで無理なく継続することがポイントです。
備蓄は定期的に点検・入れ替えを行い、いつでも使える状態に整えて、万が一の事態に備えましょう。