
「栄養価が高い食べ物はどんなものがある?」「食欲がないときはどんな食べ物を食べたらよい?」など、栄養のある食べ物について知りたい方は多いのではないでしょうか。そこで本記事では、栄養のある食べ物や栄養バランスがよい献立の立て方について解説します。
食欲不振のときに栄養を補給するためのポイント

体調不良などで食欲不振のときは、栄養が不足してしまうことが考えられます。食欲がないときでも栄養不足にならないようにしたいものですが、具体的にはどのようにすればよいのでしょうか。
食欲がないときに栄養を摂取するポイントとしては、以下の3つが挙げられます。
食欲不振のときに栄養を摂取するポイント
● 少量でも栄養が豊富に含まれる食べ物を選ぶ
● 一度にさまざまな栄養素がとれる食べ物を選ぶ
● 自分の好きな食べ物を取り入れる
それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。
少量でも栄養が豊富に含まれる食べ物を選ぶ
食欲不振であまりたくさんの量の食事をとれないときは、少量でも栄養が豊富に含まれている食品を選びましょう。
十分な量の食事をとれない場合、栄養が不足する恐れがあります。少量でも栄養価の高い食品を摂取すれば、胃腸への負担をできるだけ減らしたスムーズな消化吸収が可能です。
例として、ゼリータイプの栄養補助食品が挙げられます。パウチに入ったゼリー状の食品で、スーパーやコンビニ、ドラックストアなどで販売されているため手軽に入手できます。
一食で豊富な栄養を摂取できるほか、水分も手軽にとれるため、体調不良時の栄養摂取としておすすめの食品です。
一度にさまざまな栄養素がとれる食べ物を選ぶ
食欲不振の時は、無理なく食べられるものを選んだほうがよいですが、できれば一度にさまざまな栄養素がとれる食べ物を選びましょう。
栄養が偏ると、体調の悪化や療養後に疲れが取れないなどの原因になってしまうため、可能であればタンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルの五大栄養素が効率的にとれる食べ物を選ぶとよいでしょう。
例として卵は、ビタミンCと食物繊維以外の多様な栄養素を含んでおり「完全栄養食」といわれています。栄養豊富な卵を使った卵がゆや卵とじうどん、茶わん蒸しなどの料理は食べやすく、さまざまな栄養が摂取できるため体調不良時の食事としてもおすすめです。
自分の好きな食べ物を取り入れる
体調不良などで食欲不振の場合は、バランスよく栄養を摂取することも大切ですが、まずは自分の好きな食べ物を取り入れるというのもひとつの方法です。
何も食べないよりは、自分が「これなら食べられる」と思う食べ物を選んで栄養を摂取することが重要です。「好物のアイスクリームなら食べられる」というのであれば、食べてもよいでしょう。
体調不良の場合はあまり栄養のことは気にせず、少量でもよいので食べられるものや好きなものを食事に取り入れることが大切です。
積極的にとりたい栄養素とおすすめの食べ物

ここからは、積極的にとりたい栄養素とその栄養素を豊富に含む食べ物についてご紹介します。
注意点としては、積極的にとりたい栄養素を含む食べ物だけを食べたらよいというわけではありません。様々な食べ物を組み合わせて、バランスよく栄養を摂取することが望ましいです。
積極的にとりたい栄養素だからといって、偏った食事を続けると栄養バランスの乱れにつながるので、気をつけましょう。
タンパク質を含む食べ物
タンパク質は、炭水化物や脂質と同様にエネルギー源となる栄養素のひとつで、筋肉や皮膚、爪、毛髪だけでなく、体内の組織や酵素、ホルモンの材料でもあります。そのため、毎食タンパク質をとることを心がけましょう。
タンパク質を豊富に含む食ベ物としては、以下のものが挙げられます。
タンパク質を含む食べ物
● 魚・魚介加工品
● 肉・肉加工品
● 卵
● 牛乳・乳製品
● 大豆・大豆製品
特に肉や肉加工品はタンパク質含量が豊富な食品ではありますが、タンパク質のほかに脂質も多く含まれています。そのため、タンパク質の必要量を肉からとると脂質の摂取量も結果的に増えてしまうため注意が必要です。
そこでおすすめしたい食べ物が、魚から作られる「かまぼこ」です。
かまぼこは100gあたりのタンパク質量が12.0g、脂質量が0.9gであり、高タンパク・低脂質な食べ物といえます。
出典:文部科学省「食品成分データベース」
「かまぼこのある暮らし」コラムでは板かまぼこの美味しいレシピをたくさんご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
ビタミンAを含む食べ物
ビタミンAは、目や皮膚の粘膜の健康を保ち健康に欠かせない脂溶性ビタミンとして知られています。そのほか、病原体に対抗するリンパ球や白血球をサポートする役割もあり「抗感染症ビタミン」といわれることもあります。
ビタミンAを豊富に含む食べ物としては、以下のものが挙げられます。
ビタミンAを含む食べ物
● レバー
● うなぎ
● 卵黄
● にんじん
● かぼちゃ
● ほうれん草
脂溶性ビタミンであるビタミンAは、脂質と一緒にとることで吸収率がアップします。そのため、魚や肉と炒め物にして食べる、サラダにしてドレッシングをかけて食べるといった油を使う調理方法だと、より効率的に摂取できることを覚えておきましょう。
ビタミンCを含む食べ物
ビタミンCは皮膚や細胞のコラーゲン合成に欠かせない栄養素であるため、肌の健康のために摂取している方も多いのではないでしょうか。
また、ビタミンCは体内に侵入したウイルスや細菌を排除する白血球やリンパ球に多く含まれており、免疫力の強化や抵抗力を高めることにも役立っています。
ビタミンCを豊富に含む食べ物としては、以下のものが挙げられます。
ビタミンCを含む食べ物
● パプリカ
● キャベツ
● じゃがいも
● さつまいも
● オレンジ
● いちご
ビタミンCは水溶性ビタミンであるため、水に溶けやすく熱で損失してしまいます。野菜や果物といった生のまま食べられるものは加熱せず、生のまま効率よくビタミンCを摂取しましょう。
ちなみに、加熱する必要のあるじゃがいもやさつまいものビタミンCは、でんぷんで保護されているため加熱調理してもビタミンCの損失がありません。
ビタミンB群を含む食べ物
ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)は主にエネルギーの代謝に関わり、体内における生体反応に必要な酵素の働きを補う役割があります。
不足すると体内の代謝がうまく行われず、さまざまな不調をきたす恐れがあります。ビタミンB群を豊富に含む食べ物としては、以下のものが挙げられます。
栄養素 | 多く含まれる食べ物 |
---|---|
ビタミンB1 | 豚肉・赤身肉・ナッツ・大豆・ ほうれん草など |
ビタミンB2 | うなぎ・レバー・卵・納豆など |
ビタミンB6 | カツオ・赤身肉・鶏肉・バナナなど |
ビタミンB12 | あさり・しじみ・レバーなど |
ナイアシン | カツオ・まぐろ・鶏肉・レバー・ 落花生・まいたけなど |
パントテン酸 | 魚類・鶏ささみ肉・卵・牛乳・ さつまいも・トマトなど |
葉酸 | レバー・モロヘイヤ・ ブロッコリー・ほうれん草など |
ビオチン | あさり・レバー・卵黄・ 大豆・牛乳など |
ビタミンB群は水に溶ける性質をもち、余分なものは体外に排出されるため、必ず毎日の食事で摂取する必要があります。ビタミンB群は、動物性食品や植物性食品それぞれに豊富に含まれているので、多様な食品を組み合わせてバランスよく食べることがポイントです。
水分を含む食べ物
普段の生活ではもちろんですが、食欲不振で食事量が少ない場合は、より多くの水分を摂取することを意識しましょう。
私たちは、飲み物以外にも普段の食事で1日1リットルほどの水分をとっているといわれているため、食事量が少ないと1日の水分摂取量が減ってしまいます。
食欲不振で食事量が少ない場合は、水やお茶のほか以下のようなものからも水分をとるようにしましょう。
水分を含む食べ物
● すりおろしりんご
● ゼリー
● 経口補水液
果物やゼリーは水分量が多く喉ごしがよいため、体調不良時でも食べやすくおすすめな食べ物です。
栄養満点の献立を作成するコツ

栄養をしっかり摂取するためには、普段の食事を栄養バランスが整っている献立にする必要があります。
栄養バランスがよい食事内容にするためには以下の3点を意識しましょう。
栄養満点の献立を作成するコツ
● 主食・主菜・副菜の3品を意識する
● 旬の食材を選ぶ
● 調理工程を減らすのも手
それではひとつずつ詳しく見ていきましょう。
主食・主菜・副菜の3品を意識する
栄養がある献立を作成するための基本として、主食・主菜・副菜の3品を意識する必要があります。
主食・主菜・副菜をそろえることで、生命維持に必要なタンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルといった栄養素が過不足なくとれる食事内容になります。
主食・主菜・副菜の3品を毎食そろえるのは難しいという方は、「ごはん+2品」を目標にすると献立が立てやすいです。また、3品でなくても混ぜごはんや具だくさんのスープなどのように、たくさんの食材を使った食事内容であれば2品でも構いません。
旬の食材を選ぶ
旬の食材は、旬ではない季節と比べて栄養価が高い傾向にあります。そのため、栄養満点の献立を立てるポイントとして食材の旬にも注目してみましょう。
例えば冬が旬のほうれん草の場合、夏採りと比べて冬採りのものはビタミンCの含有量が3倍多いというデータがあります。また、旬のものは市場に出回りやすいため手に入りやすく、価格も安価であるという点もメリットです。
特に魚介類や野菜といった食品は旬によって栄養価や味わいが異なるため、旬を意識した献立作成をおすすめします。
出典:文部科学省「食品成分データベース」
調理工程を減らすのも手
栄養満点の献立を作るのは手間がかかりそうなイメージがありますが、調理工程を減らしつつ食事を組み立てることも可能です。
調理工程を減らすというのは、食材を切るだけ・焼くだけ・電子レンジで温めるだけ・そのまま食べられるといったものです。
例えば、ミニトマトはサッと洗うだけ、とうもろこしはゆでるだけで食べられるため、包丁がいりません。さらに豆腐や納豆、漬物も基本的にパックから出して盛り付けるだけでよいので、調理工程を減らせます。
調理工程を減らしつつ、栄養価の高い食事を作ることは可能です。献立作成は毎日のことなので、無理なく続けられる方法で取り入れましょう。
栄養がある食べ物を取り入れて効率よく栄養補給しよう

栄養のある食べ物や食欲不振時の食事のポイント、また栄養満点の献立の組み立て方についてご紹介しました。
様々な食べ物をバランスよくとることが基本ではありますが、「この食べ物にはどの栄養が豊富に含まれているか」ということを知っておくと効率よく栄養摂取ができます。ぜひ栄養のある食べ物を知り、健康な食生活のために役立ててみましょう。