2022.02.15

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魚肉ペプチドは中性脂肪を減らす(魚肉ペプチドの可能性1)

魚肉ペプチドは中性脂肪を減らす(魚肉ペプチドの可能性1)

健康診断で「中性脂肪が高め」と心配になったことはありますか? 空腹時の採血検査で中性脂肪が150mg/dL以上、もしくはこれに近い値であれば、生活習慣(食事・運動)を見直す必要があります。そのとき「魚肉ペプチド」がサポートできるかもしれません。

中性脂肪を甘く見てはいけない

多くの人は「コレステロールは身体に悪い」という印象をお持ちかと思います。「悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)が高いですよ」と言われると心配になりますよね。

一方、「中性脂肪が高め」と言われて、同じように心配になりますか? …いまいちピンと来ないかもしれません。「コレステロールじゃないから大丈夫だろう」と放置してしまっている人もいるでしょう。

でも、中性脂肪が高ければ高いほど、動脈硬化が起こりやすくなり、心筋梗塞や狭心症、脳卒中などの怖い病気になるリスクが高まることが国内外から報告されています。また、肥満(メタボリックシンドローム)、急性膵炎、脂肪肝のリスクも高まります。

もし、健診などで「中性脂肪が高め」と言われたなら、放置せず、すぐに生活習慣(食事・運動)の見直しに取り組んでください。

そもそも中性脂肪とは?

中性脂肪とは、ほとんどの食品に含まれる脂質のことです。生肉の白い部分、旬の魚によく乗った脂、サラダ油やバターなどの油、これらはすべて中性脂肪です。私たちの身体に付いている体脂肪もまた、中性脂肪なのです。

中性脂肪は1gで約9kcalの熱量をつくることができ、効率の良いエネルギー源として体内で利用・保存されます。保存する場所は皮下や内臓周りに付いている「脂肪組織」です。つまり「体脂肪」として蓄えられるということですね。

この「体脂肪の素」である中性脂肪が血液中に多い状態だと、「中性脂肪が高め」と言われるというわけです。身体中の細胞が血中の中性脂肪を取り込んで、エネルギーとして使ってくれればいいのですが、そうではない場合は「中性脂肪が高め」の状態が続き、いずれ体脂肪として蓄積されてしまいます(肥満になる)。

それだけでなく、「中性脂肪が高め」の状態が続くと、コレステロールの悪玉(LDL-C)が増え、善玉(HDL-C)が減り、動脈硬化を引き起こしやすくなると言われています。

中性脂肪はどうして増える?

では、どうして中性脂肪は増えるのでしょうか。中性脂肪は食品に含まれる脂質なので、揚げ物や脂っこいものを食べ過ぎると増えてしまうというのは、分かりやすいですね。

意外なのは、糖質の摂り過ぎでも中性脂肪が上がってしまうことです。身体で使いきれないほどの糖質を摂ってしまうと、余った糖質を肝臓が中性脂肪に変換し、体脂肪として蓄積してしまいます。また、アルコール(お酒)をたくさん摂ることも、中性脂肪の値を上昇させることがわかっています。

ですから、食べることが好きな人、お酒が好きでつい多く飲んでしまう人は、「中性脂肪が高め」になりやすいかもしれません。脂質や糖質の多い食事はできるだけ控え、節酒すること。そして運動して体内の中性脂肪や糖質をエネルギーとして消費することが大事です。

魚肉ペプチドが中性脂肪を減らす可能性が示された

生活習慣を見直す必要がある「中性脂肪が高め」の人に、ぜひご紹介したい研究結果があります。関西大学化学生命工学部の福永健治教授らが「魚肉ペプチドが中性脂肪を軽減する可能性」を示したものです。

魚には良質なたんぱく質が多く含まれています。その魚肉たんぱく質を細かく分解すると「魚肉ペプチド」という物質になります。

この魚肉ペプチドを動物(ラット)のエサに混ぜて飼育したところ、従来のエサを食べているラットと比較して、血中や肝臓内の中性脂肪の値が下がりました。エサに含まれるタンパク質の一部を魚肉ペプチドに置き換えて食べさせたのですが、その魚肉ペプチドの量が多くなるほど、中性脂肪の値がより下がりました(図1左)。

さらに、エサにコレステロールを添加した場合についても調べてみました(図1右)。わざと高コレステロール食にしているので、中性脂肪の値は普通のエサより高めになりましたが、魚肉ペプチドを一緒に摂らせると中性脂肪は比較的低くなっていました。

1_中性脂肪図1

このように、魚肉ペプチドを摂ると中性脂肪が減ること、また脂っぽい食事を摂ったときでも魚肉ペプチドの中性脂肪を減らす作用が発揮されたことがわかりました。ただし、これは動物実験ですので、この結果がそのまま人間にも当てはまるとは限らないことに注意が必要です。

 

※当研究について詳しくは、資料室研究データご覧ください。

【中性脂肪軽減】ラット脂質代謝系に及ぼす魚肉ペプチド給餌の影響1~魚肉ペプチドによる中性脂肪の軽減効果~

中性脂肪が高めなら、食事と運動に気を付けて

今回は、意外と怖い「中性脂肪」について解説しました。中性脂肪の値を下げるには、食事を改善して中性脂肪の摂取量を減らすこと、糖質の摂取量を減らして体内で中性脂肪がつくられないようにすること、そして運動で体内の中性脂肪や糖質を消費して、体内に過剰に蓄積されないようにすることが大事です。

また、ご紹介した通り、生活習慣の改善のお供として、魚肉ペプチドが力になる可能性が研究で示されました。なお、魚肉ペプチドでつくられたサプリメントの「サカナのちから」は、「日常生活で生じる身体の一時的疲労感を軽減する機能」で機能性表示食品として届出がされており、運動を続けるサポートをしてくれます。興味があれば試してみてくださいね。

<参考文献>
日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症診療ガイド2018年版.
山岸良匡:脂質異常症. 厚生労働省, e-ヘルスネット(こちら

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