2023.02.05

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タンパク質とアミノ酸はなにが違う?ペプチドとの違いや必要量なども詳しく解説

タンパク質とアミノ酸はなにが違う?ペプチドとの違いや必要量なども詳しく解説

タンパク質とは、アミノ酸で構成される栄養素です。タンパク質とアミノ酸は、健康な体づくりに欠かせません。この記事は健康に気を使う人に向け、タンパク質とアミノ酸について解説します。タンパク質・アミノ酸・ペプチドの違いや、1日に必要な摂取量、良質なタンパク質が摂れる食品も紹介しているので、参考にしてみてください。

タンパク質とは?

タンパク質は多数のアミノ酸が結合してできています。ここでは、タンパク質とアミノ酸について解説します。

タンパク質はアミノ酸からできている

タンパク質とは体に欠かせない栄養素で、一般的にアミノ酸が2〜数十個つながったものをペプチド、それ以上結合したものをタンパク質と呼んでいます。タンパク質は人の体の15~20%を占めており、水分を除いた成分の約半分を占めています。

筋肉、骨、内臓、肌、爪、血液、ホルモンなどに含まれる成分で、私たちの体の頭の先からつま先までを構成しており、体づくりにとても大切です。若々しい見た目や健康の維持にも繋がります。また、ウイルスに対抗する免疫、感情のコントロールにも関わっています。

タンパク質のもとになるアミノ酸は20種類のみ

自然界にはたくさんのアミノ酸がありますが、タンパク質をつくれる構成するアミノ酸は20種類のみです。この限られたアミノ酸が数十~数万個結合して、タンパク質をつくっています。それぞれのタンパク質には、結合するアミノ酸の種類・数・順序など決められた組み合わせ(アミノ酸配列)があるため、1つでもアミノ酸が足りないとタンパク質をつくれません。

タンパク質を合成できなければ、筋肉量が減少する、肌のツヤがなくなる、免疫力が弱まるなど、体に影響が出る可能性があります。20種類のアミノ酸を摂取することが体にとって大切です。

20種類のアミノ酸は2つに大別できる

体に不可欠な20種類のアミノ酸は、必須アミノ酸・非必須アミノ酸の2つに分けられます。

必須アミノ酸

必須アミノ酸とは、体の中でつくれない(あるいは十分量合成されない)アミノ酸です。バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン、ヒスチジンの9種類があります。人の体がつくれない必須アミノ酸は、毎日の食事の中で必ず摂らなければなりません。

非必須アミノ酸

非必須アミノ酸は、体の中でつくれるアミノ酸です。アラニン、プロリン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、システイン、チロシン、グリシン、セリンの11種類です。バランスのよい食事が取れている場合は体内でつくれますが、必須アミノ酸と同様に食事からも積極的に摂りましょう。なお、アルギニンは、小児では十分量合成されないため、栄養学では必須アミノ酸とする場合があります。

体がタンパク質・アミノ酸を消化・吸収する仕組み

体はタンパク質をそのままでは吸収できず、細かく分解しなければなりません。吸収する仕組みは以下のとおりです。

  1. 胃から分泌されるペプシンという消化酵素(プロテアーゼ)によりタンパク質が分解される
  2. 膵液から分泌されるトリプシンやキモトリプシンなどの消化酵素(プロテアーゼ)によりペプチドへ分解される
  3. 膵液や小腸から分泌される消化酵素(ペプチダーゼ)によりアミノ酸へ分解され、小腸上皮粘膜から吸収される

吸収されたアミノ酸は血液にのって肝臓へ運ばれ、化学反応により新しいタンパク質への再合成を経て体内で活用されます。このように体はタンパク質をそのまま吸収せず、一度分解のステップを経て、体内で再合成します。

タンパク質・アミノ酸・ペプチドの違い

タンパク質・アミノ酸・ペプチドの違いは、結合の有無と体内への吸収されやすさです。アミノ酸はタンパク質の最小単位で、吸収されやすさが特徴です。およそ30分で吸収されます。

アミノ酸が二つつながったジペプチドや三つつながったトリペプチドはそのままでも吸収可能で、タンパク質よりも吸収されやすい特徴があります。タンパク質はさまざまな食品から摂取できますが、消化しないと吸収されません。分解する工程が必要になるため、吸収まで3~4時間かかります。

タンパク質とアミノ酸の働き

人の体には数十万種類以上のタンパク質があり、体づくり・基礎代謝や免疫力高める・ホルモンをつくるなど、さまざまな働きをしています。

若々しく健康的な体をつくる

肌、髪の毛、爪などはタンパク質からつくられています。タンパク質は、肌の弾力のもとになるコラーゲンの原料にもなり、美しくハリのある若々しい見た目を保つために大切です。
筋肉、臓器など体を構成する要素であり、健康に過ごすための体づくりで重要な役割を果たします。

基礎代謝を高める

基礎代謝とは、呼吸や体温の維持など、生命維持のために消費されるエネルギーです。基礎代謝が高い人ほど体温が高く、血流の循環がよくなります。老廃物を排出しやすくなるため、基礎代謝が高いほどスッキリした体型を保てるといえるでしょう。

しかし、基礎代謝は加齢に伴って低くなります。基礎代謝を高めるためには、筋肉量の増加が重要。必須アミノ酸のBCAAと呼ばれるバリン・ロイシン・イソロイシンは、エネルギー代謝や筋肉合成に関わるアミノ酸で、筋力アップやダイエットしたい人に最適です。

免疫力を高める

ウイルスや細菌を防ぐ免疫物質を作り出し、免疫力を高めます。たとえば予防接種を打ったときにできる抗体は、タンパク質からできています。しかし、体にじゅうぶんな量のタンパク質がない状態では、抗体がつくれません。良質なタンパク質を毎日摂ることが、免疫細胞を大量に作り、体を守ることにつながります。

ホルモンをつくる

神経伝達物質の原料になり、嬉しい、悲しいなどの感情をつくります。たとえば幸せホルモンとして有名な、達成感を感じるドーパミン、幸せを感じるセロトニン、やる気を作り出すノルアドレナリンもトリプトファンやチロシンなどのアミノ酸からつくられます。神経伝達物質は食べたものから直接脳内で作られており、脳の健康と気分に直接影響を与えています。

1日に必要なタンパク質の摂取量はどれくらい?

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、1日のタンパク質の食事摂取の推奨量は、30〜64歳の男性が65g、18歳以上の女性は50gです。たとえば食品ごとのタンパク質量は、牛もも肉100gには19.5g、紅鮭1切れ70gには15.8g、ごはん1杯300gには7.5gが含まれています。ほかにも豆腐や納豆、牛乳、卵など多様で身近な食品に含まれるため、普段の食事でじゅうぶんな量が摂れますので、バランスの良い食事を心がけましょう 。。

※参考:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省

タンパク質不足で起こりやすい症状

不規則な生活や過度なダイエットなどでタンパク質不足になると、免疫力が低下し、病気にかかりやすくなると言われていますります。また、筋力が低下するため、運動しても体力が追いつかなかったり、すぐに疲れてしまったりします。髪にコシがなくなる、肌にハリ・ツヤがなくなる、集中力がなくなるといった現象も起きやすくなります。

とくに高齢になると、肉や魚の食べる量が減り、タンパク質が不足しやすくなります。いつもの調理法で食べづらい場合は、煮物にする、あっさりした味付けにするなど、調理法にひと工夫してみましょう。

タンパク質を摂取するときはアミノ酸スコアを参考にする

アミノ酸スコアとは、食品に含まれる9つの必須アミノ酸の含有バランスを示す指標です。スコアが満点の100に近いほど、体内で有効活用されます。
アミノ酸スコアは、必須アミノ酸をそれぞれ1枚の板に見立て、9枚の板で作った桶を例にした「桶理論」による説明がよく知られています。アミノ酸スコアが100の場合、9枚の板は高さがあるため、中の水がこぼれません。これはじゅうぶんな量のタンパク質を生成できることを意味します。
アミノ酸スコアが低い食材では、板のどれかが低くなっており、それ以上水が貯められずこぼれてしまいます。1つでも必須アミノ酸が足りなければ、必要な量のタンパク質を合成できないことがわかります。
アミノ酸スコアは食品単体の評価であるため、ほかの食品と一緒に食べることで不足分を補えます。なお摂取効率を重視する場合は、ペプチドが最適です。ペプチドはタンパク質よりも吸収が早く、アミノ酸よりも効率よく吸収できます。

新タンパク質評価指標「DIAAS」

従来は、食品に9種類の必須アミノ酸がどれだけ含まれているかという数値として「アミノ酸スコア」という指標が用いられてきました。これは「食品に含まれる必須アミノ酸バランス」だけに着目したもので、体内での消化吸収率などを考慮したものではありませんでした。
しかし近年では、食品を評価する新たな指標として、DIAAS(消化性必須アミノ酸スコア)も用いられています。DIAASとは、食品の必須アミノ酸含有量に加え、摂取した必須アミノ酸が小腸で吸収されるまでの消化吸収率も考慮したうえで割り出された数値のことです。
アミノ酸スコアの最大は100でしたが、DIAASでは消化吸収率を考慮した100%以上のスコア付けをすることで、さらに正確な評価をすることが可能になりました。アミノ酸スコアが同じ食品でも、消化吸収率やその利用効率は異なります。より良質なタンパク質を含んだ食品を評価できる指標として、存在だけでも知っておくことをおすすめします。

まとめ

タンパク質は、アミノ酸で構成される成分です。若々しい体をつくり、免疫力を高めるなど私たちの体に欠かせません。アミノ酸スコアを意識しつつ、本当に「質の高いタンパク質」を摂るためにはDIAASを意識してバランスよく栄養を摂りましょう。
鈴廣が運営する「魚肉たんぱく研究所」は、「お魚たんぱくで世界を健やかにする」ことを目標に、魚肉たんぱくの魅力を発信しています。健康的な体づくりのために、毎日の食事に良質なタンパク質を取り入れましょう。

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