2022.09.03

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魚肉ペプチドは高齢者の低栄養状態を改善する(魚肉ペプチドの可能性7)

魚肉ペプチドは高齢者の低栄養状態を改善する(魚肉ペプチドの可能性7)

高齢者は粗食の方が長生きする――そんなイメージをお持ちではないでしょうか。働き盛りの年代ではメタボ対策として脂肪やコレステロールを避けるという食生活を推奨されてきたので、高齢になってもそれを続けてしまい、結果的に栄養が足りない状態(低栄養)になって体調を崩す、動けなくなるなどの問題が起こっています。   低栄養を改善するには、栄養バランスの良い食事を必要十分に摂ることが大事です。しかし、高齢になると食が細くなり、それもなかなか難しくなってきます。そのようなときに、魚肉ペプチドが栄養を改善するサポートができるかもしれません。今回は高齢者の低栄養の問題と、それに対する魚肉ペプチドの可能性についてご紹介します。

高齢者の低栄養はなぜ問題なのか?

低栄養はいきなりなるのではなく、気づかないうちにじわじわ陥っていきます。高齢になると食欲の低下、摂食機能(噛む力、飲み込む力)の低下などにより、食事摂取量が減り、栄養不足が続くことによって、結果的に低栄養になります

 

低栄養になると、身体を動かすエネルギーや身体を健康に保つための材料が不足しますから、不健康な状態になりやすくなります。具体的には、体重が減る、筋力が落ちる、風邪などの病気になりやすい、皮膚がカサカサになる、転倒しやすい、傷が治りにくいなどの問題が起こります。さらに体力が減って動きにくくなり、それが原因で食欲がなくなり、さらに低栄養が進む…という悪循環をもたらします。

こんなことがあれば、低栄養かもしれません!

低栄養かどうかを知るには、まず体重を測ってみることです。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算できるBMIの値が18.5未満なら“やせ”ですので、低栄養である可能性があります。また、過去3カ月間で食事量や体重が減っていたり、病気をしたり、精神的なストレスを受けたり、自力で歩けなかったりするなら、かなり低栄養が心配になってきます。

 

ここまではいかなくても、最近どうも食欲がない、疲れやすいと感じていたら、もしかすると栄養不足が背景にあるのかもしれません。

あなたの食生活は大丈夫?今すぐチェック!

食生活を見直すと言っても、どういうことに注意したらいいのでしょうか。
一例ではありますが、チェックポイントをまとめました。
あなたの食生活は大丈夫ですか?

 

  • 1日3食、バランスのとれた食事をとる
  • 他の人と一緒に食事をする機会をできるだけ持つ
  • いつも決まったメニューではなく、和食・洋食・中華など多彩にする
  • 魚や肉、乳など、さまざまな種類の動物性たんぱく質を積極的に摂る
  • 油脂類を必要以上に控えず、十分に摂取する
  • 野菜に火を通し、かさを減らして量を多く食べられるようにする
  • 季節の果物を適量摂る
  • あまり食べられないときは、栄養補助食品を活用する
  • 噛みづらい、飲み込みづらいときには歯科に相談する

 

「粗食が健康によい」と思い込んでいる高齢者は、魚や肉などのたんぱく質が豊富な食事を避けてしまいがちですが、実はたんぱく質不足が原因で動けなくなる、体調を崩してしまう人が少なくありません。むしろ高齢者は積極的にたんぱく質を摂るべきなのです。

魚肉ペプチドが低栄養を改善する可能性が示されました

たんぱく質不足による低栄養を改善するための方法として、吸収しやすく質の高いたんぱく質である「魚肉ペプチド」も選択肢の一つになるかもしれません。実際に、魚肉ペプチドが高齢者の栄養状態を改善したという研究が報告されています。

 

この研究では、特別養護老人ホームで暮らす75歳以上の高齢者で低栄養になっている人(介入群)に、魚肉ペプチドをみそ汁に混ぜるなどして1日6g摂取してもらうことを2カ月間続けていただきました。そして、魚肉ペプチドを摂取していない低栄養の高齢者(対照群)と栄養状態を比較しました。なお、魚肉ペプチドを追加する以外では、食事摂取量などに偏りがないように配慮しました。

 

また、栄養状態を客観的にチェックするために、採血をして血清アルブミン値を測定しました。アルブミンは血液中を流れる主なタンパク質で、栄養不足や消化・吸収能力の低下により減少することがわかっており、栄養状態の指標としてよく用いられます(基準値3.8~5.3g/dL)。3.8g/dLを下回ると、低栄養と判定されることが多いです。

 

この研究の結果を図に示します。BMIが18.5以上(普通体型)の人が、魚肉ペプチドを摂取すると、基準値の下限(3.8g/dL)近くであった血清アルブミン値が上昇し、より良い状態に近づいていることが分かります。一方、魚肉ペプチドを摂っていない人では値が下がってしまい、低栄養状態が悪化してしまいました。

 

また、BMIが18.5未満(やせ体型)の人では、もともと血清アルブミン値が基準値(3.8g/dL)以下と栄養状態が良くありませんでした。魚肉ペプチドを摂らない人ではさらに数値が低くなってしまっていますが、魚肉ペプチドを摂っている人ではその低下が抑制されていました。今回は2カ月間しか魚肉ペプチドを継続摂取しませんでしたが、もっと長期間続けて摂ることができれば、血清アルブミン値の低下抑制のみならず、改善が期待できるかもしれません。

 

※当研究について詳しくは、魚肉たんぱく研究所「資料室」研究データご覧ください。
低栄養障害高齢者に対する魚肉ペプチド食品の高齢者栄養改善効果

高齢者の低栄養対策に、質の良いたんぱく質を積極的に摂ろう

高齢者の低栄養は、見落とされがちですが、とても大きな問題です。「もう年だからあまり食べなくてもいい」などと思わず、しっかりバランス良く栄養を摂ることが、自立した健康的な生活を続ける秘訣です。

なかでもたんぱく質は、身体を作る材料となり、心身の調子を整え、感染症などへの抵抗力を保つために大切な栄養素です。吸収しやすく質の高いたんぱく質である魚肉ペプチドがお役に立てるかもしれません。興味があれば試してみてください。

<参考文献>
柴田 博:第4回 高齢者のための食生活指針. 健康長寿ネット(2019年6月20日更新)

健康長寿ネット:高齢者の低栄養(2021年1月6日更新)

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