2025.12.22

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【高齢者向け】食事のポイントや注意点とは?食べやすい食材や必要な栄養素などを解説

【高齢者向け】食事のポイントや注意点とは?食べやすい食材や必要な栄養素などを解説

食欲低下や栄養不足など、食事に関する悩みが起こりやすい高齢者。「高齢者の食事で気をつけることはある?」「どんな栄養素を摂ればよい?」など気になることがたくさんあるのではないでしょうか。今回は、高齢者が食事をとる際のポイントや注意点、積極的に補いたい栄養素などについてご紹介します。

高齢者は食欲の低下や栄養不足が起こりやすい

高齢者が健康で自立した生活を送るためには、毎日の食事をしっかりととることが大切です。しかし、年齢を重ねるとさまざまな問題によって食欲の低下が起こるため、栄養不足を招いてしまいます。
まずは、高齢者の食欲が低下する要因を3つ解説するので、対策方法を知って毎日の食事を工夫しましょう。

消化器官の衰え

高齢者は、消化器官の機能が衰えることによって食欲の低下が引き起こされることがあります。
特に、胃腸の機能が低下すると消化吸収がうまくできなくなり、胃もたれや胃痛などの原因につながります。脂っこい食べ物や刺激の強い食べ物など、消化器官に負担をかけやすい食事は避けましょう。

咀嚼や飲み込む力の低下

咀嚼や飲み込む力が低下すると、食欲不振や栄養不足などの問題が起こる可能性があります。
年を重ねると顎や口の周りの筋力が低下してしまい、歯の損失や虫歯、歯周病など口腔内の問題が現れやすくなります。食べ物を上手に噛んで飲み込めないと、栄養不足になるだけでなく誤嚥性肺炎などのリスクも高くなってしまうため注意が必要です。
食事をとる際に食べ物が気道へ入ってしまわないよう、調理方法を工夫して嚥下しやすくするとよいでしょう。

味覚の衰え

高齢者は、「味蕾」の数が減少します。味蕾は舌の上に存在しており、味を感知する働きがある細胞です。そのため、味蕾が減少すると味覚が衰えてしまいます。
味覚の衰えが原因で食事が楽しめず、食欲不振になり栄養不足へつながってしまいます。また、味の濃い食事ばかりになってしまい、塩分の過剰摂取になることもあります。
高齢者が塩分を過剰摂取すると、高血圧や心血管疾患などの発症リスクを高めてしまうため注意が必要です。

高齢者の食事のポイントと注意点

高齢者は、さまざまな要因によって食欲低下や栄養不足が起こりやすいです。年を重ねても健康的に過ごすためには、毎日の食生活においていくつかのポイントや注意点を押さえておくとよいでしょう。

栄養バランスの偏りに注意する

食欲の低下によりしっかり栄養が摂取できていない、食べやすい主食ばかりの偏った食事内容になっているなどの場合は、栄養バランスが偏りやすいため注意が必要です。
栄養バランスが偏ってしまうと、必要な栄養素が不足してしまいます。また、タンパク質の摂取量が少ないと高齢者に重要な筋肉が少なくなり、活動量にも影響がでてしまいます。
高齢者の食事では、栄養バランスが偏らないように炭水化物やタンパク質、野菜類や果物類などさまざまな種類の食品を組み合わせて摂取することが大切です。

減塩を意識する

高齢者は、加齢によって味蕾が減少することから、味覚機能が衰えて味の濃い食事に偏りやすくなってしまいます。高齢者は、減塩を意識した食生活を送りましょう。
塩分が多く味の濃い食事は、身体や臓器に負担がかかり高血圧や心血管疾患などのリスクを高める原因にもつながります。
塩分が多く含まれている食べ物は避けて、味付けには酢やレモン汁などの酸味、動物性と植物性の両方のうま味を合わせた調理方法を取り入れるのがおすすめです。また、減塩タイプの調味料などを利用するのもよいでしょう。

好みの食べ物や味付けを取り入れる

食欲不振が見られる場合は、好みの食べ物や味付けを料理で取り入れるのがおすすめです。
健康のためには、栄養バランスのよい食事や減塩を意識した料理が重要です。しかし、食べることを苦痛に感じている場合や食事量が極端に少ない場合には、エネルギーを補うためにもまずは食べたいと思える好みの料理を取り入れるようにしましょう。
好みの食べ物や味付けを取り入れることは、高齢者の心理的な安定にもよい影響をもたらします。

正しい姿勢で食事する

咀嚼や飲み込む力が低下しやすい高齢者は、食事中の姿勢に配慮が必要です。正しい姿勢で食事をとることで、誤嚥や窒息などのリスクを抑えられます。
上手に食事を食べられないことが原因で食欲が低下している場合は、下記の方法を試してみてください。

高齢者の食事の際の正しい姿勢

  • 足裏は床にしっかりつける
  • 椅子に座ったときの膝は90度を維持する
  • テーブルの位置は座ったときに肘をつけられる高さにする

食事中に座位を保てない高齢者の方は、背中や頭の後ろにクッションなどを挟んで姿勢を保持しましょう。

家族や友人と一緒に食事をとる

一人暮らしや家族と一緒に食事をとることが少ない高齢者は、食事がおろそかになりやすく低栄養のリスクが高まってしまいます。食事は、家族や友人と一緒にとるように心がけるとよいでしょう。
誰かと一緒に食事をとると、人と話す楽しさから食欲がでます。自分が「元気」と思うと前向きな気持ちになれます。また、ストレスが少なくなり心身ともに向上するというメリットもあります。
一人で食事をとる「孤食」が多い高齢者は、うつ傾向に陥ってしまうこともあるため注意が必要です。

高齢者が食べやすいおすすめの食べ物

栄養不足にならないためには、高齢者が食べやすい食べ物を毎日の食生活で取り入れることが大切です。ここでは、咀嚼や飲み込む力が弱まりやすい高齢者向きのおすすめの食べ物をご紹介します。

やわらかい食べ物

咀嚼機能が衰えている高齢者や歯の本数が少ない方は、硬い食べ物が上手に食べられません。そのため、やわらかい食べ物を選びましょう。
噛み切りにくい魚や肉は、身のやわらかい白身魚やひき肉、薄切り肉を取り入れてみるのがおすすめです。硬い食材を料理に取り入れる場合は、長時間加熱調理をしてやわらかくしましょう。

高齢者向けのやわらかい食べ物

  • 白身魚
  • 肉団子やつみれ
  • ハンバーグ
  • 薄切り肉
  • バナナやマンゴーなどの果物
  • 蒸し野菜
  • 煮物

その他にも、消化がよく調理せずに食べられるかまぼこもおすすめです。気軽に食べられるので、食事をとるのが億劫だと感じる高齢者にも適しています。

とろみがある食べ物

高齢者は、咀嚼機能が低下することによって食事の際に誤嚥を引き起こしやすくなります。そのため、適度なとろみがある食べ物を選び誤嚥防止に努めましょう。
また、とろみがある食べ物は口当たり滑らかで食べやすいため、食欲が低下しているときにも向いています。

高齢者向けとろみがある食べ物

  • ヨーグルト
  • とろみをつけたスープ
  • おかゆ
  • シチュー
  • カレー

ただし、酸味の強いヨーグルトは誤嚥しやすいため注意が必要です。刺激の少ない味付けでマイルドな舌触りの食べ物を選びましょう。

飲み込みやすい食べ物

つるんとしていて飲み込みやすい食べ物も高齢者向けの食べ物です。
高齢者は、消化器官の衰えや咀嚼能力の低下など、さまざまな要因によって食欲が低下しやすくなっています。喉越しがよく飲み込みやすい食べ物は、食欲が低下しているときにもおすすめなので取り入れてみるとよいでしょう。

高齢者向け飲み込みやすい食べ物

  • ゼリー
  • 茶碗蒸し
  • プリン

水やお茶などのサラサラした液体は、誤嚥の危険性があるため少量ずつ飲みましょう。また、トロミをつける、ゼリー状にするなど工夫することで飲み込みやすくなります。

高齢者の食事に向かない食べ物

高齢者には、消化器官や咀嚼能力が低下することにより食べるのが難しい食べ物があります。高齢者の食事に向かない食べ物は、誤嚥や窒息のリスクが高くなるため注意が必要です。調理方法を工夫して、安全に食事に取り入れましょう。

水分量が少ないもの

咀嚼や飲み込む力が低下している高齢者にとって、水分量が少ないものは食べにくく危険です。
パサパサしていて水分量が少ない食べ物は、喉に詰まる可能性があるので気をつけましょう。水分量の少ない食べ物を食べる際は、水分量を増やして調理するなどの配慮が必要です。

水分量が少ない食べ物

  • パン類
  • ゆで卵
  • せんべい

弾力が強いもの

高齢者は、しっかり噛む力や飲み込む力が低下しやすいため、弾力が強い食べ物は向いていません。特に歯や歯ぐきが弱い方や歯の本数が減っている方は、誤嚥のリスクが高いので避けるようにしましょう。
弾力が強い食べ物を食事に取り入れる際は、ミキサーでペースト状にする、薄く切るなど、調理方法にひと手間かけると食べやすくなるためおすすめです。

弾力が強い食べ物

  • もち
  • こんにゃく
  • タコやイカ

 
タコやイカなどの弾力がある食べ物は、しっかり加熱することでやわらかくなる特徴があります。弾力のあるものを料理をする際は、食べやすいように調理方法を工夫して取り入れてみましょう。

硬いもの

硬い食べ物は、歯や歯ぐきが弱く歯の本数が少ない高齢者には向いていません。硬い食べ物は、しっかり噛んで飲み込めないと誤嚥や窒息のリスクも高いので気をつけましょう。
硬い食べ物を食べる場合は、調理の際に小さく切り刻む、長時間加熱しやわらかくするなどの配慮が必要です。

硬い食べ物

  • ごぼう
  • れんこん
  • りんご
  • ナッツ類

高齢者の食事で積極的に補いたい栄養素

健康のために、どんな食事を選べばよいのか悩む高齢者の方も多いでしょう。ここからは、高齢者の食事で積極的に補いたい栄養素をご紹介します。
不足しがちな栄養素とともに豊富に含まれている食材を解説するので、参考にしながら普段の食事で取り入れてみてください。

タンパク質

筋肉や臓器などの構成成分でもある「タンパク質」は、魚や肉、卵などの食材に豊富に含まれています。身体を作るのに必要な成分なので、高齢者の食事には欠かせない栄養素です。
食事量が少ない、炭水化物などの主食ばかりに偏った食事をしている、などの悩みがある場合はタンパク質不足に注意が必要です。主食にタンパク質を組み合わせて、毎食積極的に摂取するとよいでしょう。

タンパク質が豊富な食べ物

  • 魚介類
  • 鶏肉や赤みの多い肉類
  • 大豆製品
  • 乳製品

かまぼこは、タンパク質が豊富に含まれているだけでなく、手軽に食べられる便利な食べ物です。つるんとした食感が楽しく、食欲がなくても食べやすいのでおすすめです。

カルシウム

高齢者は、加齢や運動不足などの原因によって骨量が減少しやすくなっています。そのため、骨や歯の代謝に関与する栄養素である「カルシウム」を積極的に補うことが大切です。
転倒による骨折や骨密度の低下による骨粗鬆症などの予防のためにも、カルシウムが豊富な食べ物を普段から意識して摂取しましょう。

カルシウムが豊富な食べ物

  • 骨ごと食べられる小魚
  • チーズやヨーグルト、牛乳
  • 納豆や豆腐
  • 小松菜やブロッコリー
  • 海藻類

食物繊維

「食物繊維」は、水溶性と不溶性の2種類がありどちらも腸内環境を整える働きがあります。そのため、毎朝の便通に悩んでいる高齢者は積極的に摂取したい栄養素です。
食物繊維は玄米などの穀類や野菜類、海藻類などの食べ物に豊富に含まれています。主食に玄米、汁物にわかめの味噌汁を取り入れると、簡単に食物繊維が補えるのでおすすめです。
ただし、食物繊維が豊富な食べ物には硬いものが多いため、調理の際は食べやすいように工夫しましょう。やわらかい食材を選ぶ、加熱調理をして食べやすく工夫する、などの調理方法が向いています。

食物繊維が豊富な食べ物

  • おからや納豆
  • ひじきやわかめ
  • ごぼうや大根
  • ブロッコリーや枝豆

高齢者向けの食事を取り入れて毎日を健康に過ごそう

若い頃のようにうまく食事がとれないと感じている高齢者の方は、食事のポイントや注意点、おすすめの食べやすい食べ物を取り入れてみてください。
食欲低下が気になる高齢者の方は、食べやすいものや好みの味付けの食べ物を取り入れて食事内容を見直してみるのもよいでしょう。

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