2022.12.01

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魚肉ペプチドは骨密度を増やす(魚肉ペプチドの可能性11)

魚肉ペプチドは骨密度を増やす(魚肉ペプチドの可能性11)

あなたは「骨密度」を測ったことがありますか?
骨密度は、骨の中にカルシウムなどのミネラル成分がどれくらい詰まっているかを示す指標であり、自分の骨がどれだけ丈夫かを知ることができます。骨が丈夫であれば、転んだときなどに骨折しにくくなります。
特に女性は更年期以降に女性ホルモン分泌低下の影響を受けて骨密度がぐっと下がってしまう方が多いです。骨が病的にもろくなってしまう(骨粗鬆症)と、転倒時はもちろん、ちょっと手を付いただけ、クシャミをしただけで骨折してしまうようになります。
高齢者にとって骨折は大きな問題です。骨粗鬆症によって足の付け根の骨(大腿骨近位部)が折れると、寝たきりになってしまうリスクがあります。骨そのものが弱くなっていますから、1回骨折して退院した後すぐにまた別の骨が折れる…ということもよく起きます。このことを「ドミノ骨折」と呼ぶこともあります。
ここでは、食生活を通じて骨の健康を守り、骨粗鬆症や骨折を起こさない方法をお伝えします。

骨を健康に保つための食生活

骨の健康に良い栄養素と言えば、カルシウムが有名です。1日当たりのカルシウム摂取推奨量は成人男性で750mg、成人女性で650mgです。

乳製品はカルシウムを多く含むことがよく知られています。100gあたりヨーグルトは120mg、牛乳は110mgのカルシウムを含んでいます。乳製品の他にも、カルシウムは大豆製品(豆腐、納豆)や小魚(しらす、にぼし)、野菜(小松菜、チンゲン菜)、海藻(ひじき)などに多く含まれています。

1日にカルシウムを700mgほど摂りたいと仮定し、例を挙げてみると、1日に牛乳1杯、ヨーグルト1カップ、納豆1パック、豆腐半丁、しらす干し、小松菜のおひたしを食べることになります。十分に足りている人は少ないかもしれません。実際に、日本人の平均カルシウム摂取量は500mg/日ほどしかありません。骨の健康を守るためには、意識してカルシウムを摂るようにしましょう。

また、腸管からのカルシウムの吸収を助けるビタミンDや、カルシウムが骨の材料として使われることを助けるビタミンKなども、骨の健康を守るのに大事な栄養素です。カルシウムだけ摂ればいいわけではなく、やはりバランス良く食事をすることが大切です。

ビタミンDは鮭や椎茸に多く含まれる栄養素です。食物以外では、皮膚を日光に当てると体内で作り出すことができます。10分ほどでよいので日光を浴びながら身体を動かすこともおすすです。ビタミンKは納豆や春菊、小松菜、ほうれん草などに多く含まれています。

魚肉ペプチドは骨密度を高める

骨粗鬆症による骨折、しいては寝たきりや要介護状態になることを防ぐために、いかにカルシウムの吸収を高めるかという研究がこれまでに行われてきました。タンパク質を分解してできる「ペプチド」についても、一部のもの(カゼインホスフォペプチドなど)にカルシウム吸収を手助けする作用があることが報告されています。

そこで、関西大学化学生命工学部の福永健治教授らは、魚肉ペプチドにも骨を守る機能があるのではないかと考え、更年期の女性と同じように骨粗鬆症になりやすい状態にした(卵巣を摘出した)雌のラットを使って実験を行いました。

まず、カルシウムの少ない餌を与えて35日間飼育した後に、普通の餌(カゼイン14%含有;Control)、魚肉ペプチドを少し添加した餌(カゼイン13%+魚肉ペプチド1%含有)、より多く添加した餌(カゼイン10%+魚肉ペプチド4%含有)、いずれかを与える3グループに分けて28日間にわたり飼育し、骨密度などを測定しました。

その結果、腰の骨と脛の骨、いずれも魚肉ペプチドを多く添加した餌で飼育したラットにおいて骨密度が高くなっていました(図1)。

図1 魚肉ペプチド(FP)投与時の骨密度
 
 

また、大腿骨のカルシウム量を調べると、魚肉ペプチドを多く摂取したラットで最も高くなっていることが分かりました(図2)。実験中に経時的にカルシウム吸収量を確認したところ、魚肉ペプチドを多く摂ると早期でのカルシウム吸収が促進されていました(図3)ので、これが骨へのカルシウム取り込みを促進した一因かもしれません。

図2 魚肉ペプチド(FP)投与時の骨内のカルシウム量
 
 


図3 魚肉ペプチド(FP)投与時のカルシウム吸収量
 
 
さらに、大腿骨を折るために必要な力を調べると、魚肉ペプチドを多く摂取したラットの骨で最も高くなりました(図4)。これは骨折するのにより多くの力が必要ということですから、骨折しにくい強い骨であると言うことができます。


図4 魚肉ペプチド(FP)投与時の骨の強さ
 
 
以上の結果から、魚肉ペプチドはカルシウムの早期吸収を促し、骨密度を高めて、より折れにくい健康な骨にするサポートをする可能性が示されました。

※当研究について詳しくは、魚肉たんぱく研究所「資料室」をご覧ください。
「魚肉ペプチドによるラット骨性状(密度)向上効果に関する検討

魚肉ペプチドは骨の健康を保つ一助に

骨の健康を保つには、食事からカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養をバランス良く摂取し、運動をして骨に刺激を与えて強くすることが大切です。特に更年期以降の女性は骨密度が下がりやすいので、普段の食事・運動に加えて、魚肉ペプチドなど骨を強くする作用をもつサプリメントなどを併用してもよいかもしれません。

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