小田原の伝統を受け継ぎ、生の魚を石臼ですり上げつくられる「特上蒲鉾」

小田原かまぼこの伝統を忠実に受け継ぐ「特上蒲鉾」は、鈴廣を代表する商品のひとつ。形が日の出に似ていることや紅白の色が縁起がいいとされ、おせち料理や祝膳などの特別な日から普段の食卓まで、さまざまなシーンで親しまれてきました。

数ある鈴廣の板かまぼこの中でも「特上蒲鉾」は生の魚からすり身、そしてかまぼこへと数時間の間に一気につくり上げるので、魚の豊かな香りや風味をもっとも深く感じられる逸品です。特に、歯に吸い付くようなしなやかな食感はこの「特上蒲鉾」ならでは。一本一本に洗練された職人たちの技と知識が凝縮されています。

しなやかな弾力が江戸の人々の心を掴んだ小田原かまぼこ

小田原かまぼこの歴史は古く、室町時代に下総国古河(現茨城県古河市)に本拠を置く古河公方足利義氏が、義理の父にあたる小田原の北条氏康を訪ねた時の料理に出されたという記録が残っています。江戸時代になると、東海道の宿場だった小田原は参勤交代などで各国の大名や武家、諸国を回る商人など、多くの人が行き交い、この頃京都や大阪で主流だった焼きかまぼことはひと味違う、蒸してつくった小田原かまぼこが人気に。特に「足」と呼ばれる独特の弾力が生む歯ごたえが賞賛され、全国に知られるようになりました。

小田原かまぼこの特徴は、見た目が城下町らしく豪華な山高形状、色は白くて、きめ細やか。赤は魔よけ、白は清浄を意味します。「特上蒲鉾」は、そんな小田原かまぼこの伝統を忠実に受け継ぎつくられています。

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水分量1%、加熱時間10秒の差にも神経を尖らせて理想の食感を追求

板に付いた蒸しかまぼこのつくり方には大きくふたつの方法があります。
ひとつは、海の近くで魚からすり身にし、急速冷凍してからかまぼこ工場に輸送する方法です。この場合、魚がかまぼこにとってよい身質の旬の時期にまとめて冷凍すり身にするため、一年を通してしっかりとした弾力のあるかまぼこをつくることができます。

もうひとつは、鮮魚のまま工場に仕入れた魚を、すり身、かまぼこへと一気につくり上げる方法です。 冷凍しないため、生の魚の風味が活きた旨みの強いかまぼこになります。
特上蒲鉾」には、日本近海のグチをメインに、地元相模湾のオオギスなどもブレンド。これらの魚を小田原の工場で石臼と杵ですり上げ、鮮度を保ったまま短時間でかまぼこにしていきます。

冷凍すり身にせず、生の魚を使うが故の難しさも当然あります。

まず、かまぼこに適した身質の魚がいつも手に入るわけではないので、数を多くつくることができません。それから、魚の身質は一年を通じて大きく変わるので、日々その変化につくり手が合わせなくてはなりません。

その日の魚と向き合い、温度や時間を変える

例えば、魚の身に塩を加えてすり、のり状のすり身にしていく工程。これを「擂潰(らいかい)」といいます。工場に運ばれてくる鮮魚の大きさや身質は日々違い、弾力を引き出すためにはつくり方を変えないといけません。国家資格である水産練り製品製造一級技能士率いる製造チームが、手で魚の身を触りながら指先の感覚だけを頼りに、擂る時間や塩を入れるタイミングなど微妙に調整することで、理想の食感に近づけていきます。

そして、できたすり身をまずは少しだけ蒸し、熟練の職人が試食します。香りや弾力、割いた時の断面、味、食感、喉ごしなどチェック項目はたくさん。その日の魚の状態を確認し、「加熱時間をもう10秒長く」や「すり身の水分をあと1%絞ろう」など製造方法を微調整していきます。

こうしてつくられたかまぼこは、フレッシュな魚の旨みや香りがしっかり残り、味わいはひと際豊か。さらに、手作業ならではのすり身のわずかな粗さが、風味と食感に絶妙な味わい深さを加えています。

ペアリングや切り方を工夫して新鮮な魚の風味を存分に楽しんで

豊かな魚の旨みと香りが感じられる「特上蒲鉾」は、ぜひ、はじめにそのまま召し上がっていただきたいです。おすすめの厚さは12mm。かまぼこ板の厚さと同じです。

まずは、ひと口噛み締めた時の歯に吸い付くような滑らかな弾力を存分に楽しんで。そうするうちに濃厚な魚の旨みが口いっぱいに広がって、新鮮な魚の香りが鼻を抜けます。すっきりとしたのどごしまで堪能するのを忘れずに。

上品な旨みが際立つ「特上蒲鉾」は酒の肴としても最適です。日本酒と合わせるならワサビを添えていただく板わさが相性抜群ですし、フルーティなオリーブオイルを付けていただくと白ワインやスパークリングワインともよく合います。

美しい山形と艶やかな紅白は見た目も豪華なので、来客時の集まりやホームパーティ、ちょっと特別な日の食卓に華を添えてくれるはず。小田原の歴史と鈴廣の職人が生み出した至高の逸品「特上蒲鉾」をぜひお楽しみください。

Photography by Hiyori Ikai, Written BY Tomoyo Tsuchiya

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