木村硝子店四代目 木村祐太郎さんの『我が家の新定番 紅白かまぼこのキャビア詰め』

東京・湯島の木村硝子店は1910年創業。国内外のガラス工場の職人とコラボしてつくる自社デザインの様々なグラスは、食のプロに高い評価を受けています。木村硝子店の四代目で専務の木村祐太郎さんに「特別な年になってしまった今だからこそ、贈りたいもの」を伺いました。

グランメゾンでも日本酒の「さしつ、さされつ」の文化を伝えたい

2017年、「フレンチなどのレストランでも使える日本酒の酒器を」と木村祐太郎さんがデザインしたのが、薄いガラスのフォルムが美しい足つきの平盃と徳利。

「テーブルクロスが敷いてあるようなグランメゾンで日本酒が提供されるときは、ほとんどワイングラスでなんですよね。でも時間がたつと、日本酒独特の香りがワイングラスの中に溜まってしまうことが気になっていました。それ以前に僕自身、平盃で日本酒を飲むのが好きなんです」。

木村硝子店

「フレンチの食事において、陶器に直接口をつけるのはエレガントではない。だったらガラスで平盃を作ろうと考えた時、相手の様子を見つつ酌み交わすという日本の食文化も一緒に伝えたいと思いました。テーブルでゲストが手にするものには脚がついている。だったら徳利に脚をつければ『ゲストがサーヴするものだ』と暗に提示できるなと思いつきました」。

友の健康を祈り、自然な味わいのかまぼこを

日本の食文化を継承しながらも革新的な「ものづくり」をする木村さんは、慶応元年に創業し、150年以上の歴史の中で、常に新しいことに挑戦する鈴廣の哲学に共鳴するものを感じる、と言います。

木村硝子店

「かまぼこは好きで、よく買います。今回、鈴廣さんのかまぼこは、自然由来のもののみで作られていることを知りました。ワインやシャンパンもそうだけど、自然派へと移行する造り手が増えている。鈴廣さんは創業以来、その哲学を貫いてきたというのは、むしろ時流の最先端ですよね」。

大切な人たちに贈りものをするにあたって、今年はいつも以上に「相手の健康」を祈り、品物を選ぶと木村さん。「かまぼこに含まれる魚のタンパク質は、自己免疫力を向上させますよね。生のお魚は贈りにくいけれど、かまぼこだったら贈りやすい。受け取った友人・知人が喜んで、そして健康でいてくれたら嬉しいし」。

松寿切る

「我が家には、離乳食期の息子がいるですが、鈴廣のかまぼこ入りのおかゆを、フンフンと鼻を鳴らしながら、すごい勢いで食べました。息子が好きな味なら間違いないな、って(笑)」

おせちに現代的なかまぼこオードブルを

「来年、おばあちゃんが100歳になります。今年は僕がおせちを作って届けようかな、と」。木村家のおせちは、ごまめ、くわい、やつがしら。栗きんとんに数の子、お煮しめ、焼魚、そして玉子いくらなど。「作り方は母に聞き、おせちつくりに初挑戦しました。甘みが足りないとか塩っけが欲しいとか、もっと艶を出すんだよとか助言をくれたので、本番はうまくいきそうです」。

シェアするギフト

そんな木村家の定番に加えて、木村さんのオリジナルが入ります。かまぼこにルッコラとキャビアを挟んだオードブル。

「お正月だからキャビアかなと(笑)。かまぼことキャビアとルッコラ。きっと相性がいいと思って作りました」。おせちの中でも存在感のある一品に。そしてワインが抜群に合う!木村家おせちの新定番ですね。

木村硝子店 木村祐太郎さん

木村硝子店は、創業時よりテーブルウェアーの分野で、工場をもたないメーカーとして、数々の自社デザインのグラスを制作。極うすグラス、ごく細のステム(グラスの足)をもつ「ピーボ」、カクテルグラス「木勝」「ラップ」など、食のプロたちに選ばれています。

木村硝子店
https://www.kimuraglass.co.jp/zizi

photographs by Hiyori Ikai  /  texst by Reiko Kakimoto

この記事を書いた人

柿本礼子

編集者・ライター。大学院でフランス哲学を修了後、雑誌の世界へ。現在はフリーランスで書籍から新聞、WEBで執筆・編集。ものを作る人の言葉を紡ぐのが好きです。

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