鈴廣のデザインはどう作られる?型染作家 鈴木結美子さんに聞く

華やかな御所車をひく雄牛が描かれた紅白の箱。2020年年末の紅白蒲鉾と伊達巻のセット「松寿」と「ちどり」の限定干支デザインです。

型染作家の鈴木結美子さんが、「2021年は丑年。華やかで大きな御所車を牛が粘り強く力一杯引くように、世の中の車輪がもう一度回りだしますように」との願いをこめて作りました。

鈴廣では、ロゴや包装紙、お客様にお配りする手拭いなどを型染でおつくりしています。今日は鈴廣が型染めをデザインの軸にする理由を、型染作家の鈴木結美子さんに聞きました。

型染とは

型染とは日本の伝統的な染色技法のひとつです。下絵から型紙を彫り、その型紙と餅米糊を用いて布や紙を染め上げます。型紙を刀で彫ったおおらかで優しい線のゆらぎと、染まる部分と紙の地色のはっきりとしたコントラストが凛として美しい作品を生み出します。

鈴廣の型染デザインは昭和30年頃から始まり、幾人かの型染作家の方にお願いしてきましたが、現在は森川章二さんと、私、鈴木結美子が手掛けています。

かまぼこ作りに通ずる職人の技

なぜ型染が鈴廣デザインの中心なのか。

それはかまぼこ作りと型染制作には共通点が多く、鈴廣のものづくりへの姿勢を型染がうまく表現しているからと言えます。一つに、型染には“手仕事ならではの味わい”がありますよね。型染は図案から、彫り、染めまですべての工程をすべて手作業で行っています。

型紙の図案の線一つとっても、勢いをつけて引いた線と、ゆっくりと引いた線では風合いが異なりますし、コンピューターグラフィックではそのような線は生まれません。

鈴廣のかまぼこ職人がすべて手で作るかまぼこも、職人がどのようにすりみを練るか、成形するかによって、形はもちろん、食感もかえることができると聞きます。そうした手仕事の味わいは、型染に共通するところです。

型染だるま

もう一つは“素材にゆだねる芸術性”です。かまぼこの味や弾力が魚や水の個性によって左右されるように、型染めも紙質や染料の具合によって、人間がコントロールできない、自然で偶発的なゆがみやゆらぎ、勢い、流れが生まれ、独特な型染の魅力を生み出します。

型染電車

私たちがモチーフで大切にしているのは、小田原箱根の自然、歴史や文化です。

小田原の史料館にいき、江戸、明治や大正、昭和に書かれた書物や撮られた写真からモチーフを探すこともあります。昭和の時代に御幸が浜一面にパラソルが並び水着を着た人で賑わっていた風景、箱根登山線が開通することで小田原の人が箱根の紅葉や花々を気軽に見に行けるようになったことなどを、型染めにして表現してきました。

型染うさぎ

それから時代に適したメッセージ性も大事にしています。

2021年の限定干支デザインの「御所車を引く牛」には来年こそ時代が良い方向に動いてほしいという願いを込めていますが、図案の中に願いやメッセージを込めることや、ご覧なった方がくすっと笑えるような遊びの要素をデザインに取り入れることを心がけています。例えば、月見うさぎのモチーフは伝統的なよくみかけるものですが、餅つきではなくかまぼこを作るうさぎにアレンジしています。

型染のつくり方

型染仕上げ方

型染のいろは

図案をもとに柿渋紙を彫り、絹を貼って型紙を作る。


和紙に型紙を使って糊を置く。すると上記の写真のようになる。糊がいているところを避けて染料つで何度も色を染め、乾いたら糊をお湯で溶かして流す。糊がついていたところは白い紙の地色が浮かび上がり染め上がる。

鈴木結美子プロフィール

神奈川県小田原で江戸より続くかまぼこ屋の鈴廣に生まれる。

慶應大学環境情報学部卒業後、電通にて営業・マーケティングに従事。作家の森川章二氏に師事し古典的な日本の染色技法”型染め”を習得。図案・型彫から染色まで全工程を制作する。型染めを軸に、包装紙・テキスタイル・企業へのデザイン提供やブランドディレクションなど、日本のしきたりや美意識を大切に、伝統的な和の意匠に現代的な解釈を加えデザインする。

https://yumikosuzuki.jp/

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