箱根百年水が生んだ「箱根ピルス」の雑味のないきれいな味わい

鈴廣がビールづくりを手掛けたのは1997年のこと。以来、“かまぼこに合うビール”をコンセプトに、さまざまな種類のビールを生み出してきましたが、その原点ともいえるのが、この「箱根ピルス」です。発売当時、ビールといえば肉料理や洋食に合う洋酒というイメージでしたが、鈴廣は魚や和食に合うビールを打ち出し、クラフトビール界で注目を集めました。

和食に合うビールの答えは、地の天然水にあり

箱根、富士、丹沢連山で育まれた、小田原が誇る名水「箱根百年水」。美味しいかまぼこづくりに欠かせない、まろやかで上質なこの水は、美味しいビールづくりにも不可欠です。カルシウムやマグネシウムをほどよく含みながら、ビールのえぐみのもととなる鉄分を含まないこの水を使い、到達したのは「雑味のないきれいな味わい」。

肉料理に合わせるビールはキレ味や苦みなどどこかひとつ分かりやすい個性をもっていることが多いのですが、「箱根ピルス」はバランスのよく上品に仕上げることで、繊細な味わいの海や山の幸といった小田原・箱根の和の食文化によく合うビールを目指しました。

クリアなのどごしの後にふわりと広がるモルトの旨み

箱根ピルス」のピルスはピルスナーの略。ピルスナーとは、世界で主流となっている淡色のビールで、キレのあるのどごしとホップの苦味が特徴です。とはいえ味わいは千差万別。

箱根ビール職人の前野基は、「奇をてらわないシンプルな味わいに仕上げているので、ひと口目のインパクトは小さいかもしれません。ただ、のどごし重視の一般的なビールと比べると、「箱根ピルス」はクリアなのどごしの後にモルトの旨みや甘みがほどよく感じられるのが特徴なので、後味までじっくり楽しんでいただきたいですね」と語ります。

美味しいビールづくりには、清潔な環境と、上質な麦汁と酵母、そして適切な温度管理が必要不可欠。麦芽と酵母の状態を見極め、発酵の進み具合を細かくコントロールできるのは、豊かな知識と経験をもつ職人たちだからこそ成せる技といえるでしょう。

さらに、クリアな味わいに磨きをかけるため特に慎重に行っているのが、ろ過工程です。麦汁と麦芽粕に分けるろ過工程では、きれいに麦芽粕を取り除かないと、雑味の原因となるタンニンやタンパクといった成分が煮沸工程で溶け出してしまいます。これを防ぐために、通常ポンプでいっきにろ過するところを、じっくりと重力で沈殿させる方法を用い、麦芽粕を徹底的に取り除くことで、清澄な麦汁をつくり出しています。

板かまぼこと合わせると美味しさ倍増

そんな「箱根ピルス」とともにいただきたいのは、やはり板かまぼこ。厚めに切った板かまぼこのプリッとしなやかなのどごしを楽しんだら、「箱根ピルス」をゴクリ。板かまぼこの豊かな魚の旨みと、ビールの深いモルトの風味がお互いを引き立て合い、上品な味わいが口いっぱいに広がります。

箱根ピルス」は、「国際ビール大賞」「アジア・ビアカップ」で幾度となく金賞を受賞、また国内外のクラフトビールが集まる「JAPAN BREWERS CUP」では、ピルスナー部門堂々の1位に選出されました。世界が認めるちょっと贅沢なビールで、心ほどける至福の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

Photography by Hiyori Ikai, Written BY Tomoyo Tsuchiya

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