鈴廣営業マンが行く! 名店の「蕎麦前」をたずねて vol.6 そば処 松月

江戸から続く、おそば屋さんの粋なたのしみ方「蕎麦前(そばまえ)」。おそばが出てくる前に、日本酒とともにおつまみをいただく文化です。このシリーズでは、鈴廣営業マンが各エリアのおそば屋さんを訪問。蕎麦前の良さを知る店主のみなさんにインタビューしながら、名店の逸品に触れていきます。今回は、八丁堀にある老舗のおそば屋さん「そば処 松月」(東京都中央区)をご紹介。店主の安達毅さんにお話を伺いました。

<店舗紹介>

―― 松月さんは、長年地元で愛されているお店なんですよね。

当店の創業は1929(昭和4)年。私で3代目になります。ご近所の常連さんも多いですが、平日のお昼は周辺の企業勤めの方で賑わいます。父母の代の頃から通っていた方が久々に来店して、「女将さん元気?」と声をかけてくださることもありますね。

最近は女性1人で「ちょい飲み」をされる方も増えました。堅苦しくない、どなたにも入りやすいお店を目指しています。

―― 細打ちのおそばが、お店の特徴のひとつですね。

汁が絡みやすくてのどごしも良いことから、細めの麺にしています。当店は、細めに打ってもコシがあって、そばの風味もしっかり出る「二八そば」。温かくしても、冷たくしてもバランスの良い味わいが楽しめます。

そば粉は、北海道をはじめ各地のそば粉をブレンドしています。そばらしい風味が出る石臼挽きや粗挽きの粉を混ぜるなど、配合を工夫。手でこねて毎日製麺しています。

つゆは、江戸前伝統の濃いめの味わい。本節(ほんぶし)に鯖節、宗田節に昆布を加えて濃厚なダシを取っています。とくにざるそばの場合は、甘みや風味が増すようにしています。

<板わさとお酒> 鈴廣のかまぼこと、のど越しすっきり「生酒 東薫」

―― 板わさに鈴廣を選んでいただいているのはなぜでしょうか?

自分が食べたいと思える、良いものをお客さまに提供したいので、板わさも鈴廣にしています。歯ごたえがあって、他社のかまぼこと食べ比べても絶対においしい。以前は昔からのかまぼこを「板わさ」、鈴廣を「上板わさ」として出していましたが、今は鈴廣一本です。お一人のお客さまも増えたので、半量の「上板わさハーフ」も提供しています。

―― ありがとうございます! 蕎麦前に合う日本酒を教えていただけますか?

千葉・香取で醸造されている「生酒 東薫」をおすすめします。あまり小売りしていない珍しいお酒のようですね。本醸造の生酒で、どんな料理にも合う飲みやすい日本酒。フレッシュな風味と、すっきりとしたのど越しが特徴です。冷酒で飲むのが良いと思います。

<蕎麦前>手づくりおつまみ三種盛りと、天然本まぐろの山かけで一献

―― おすすめの蕎麦前は「おまかせ三種盛り」。日本酒が進む料理ばかりです!

蕎麦前の定番おつまみを、日替わりで3種類同時に楽しめるメニューです。きょうは、卵焼きと鴨ロース、まぐろのしぐれ煮。どれも手づくりです。

卵焼きは、当店のそばつゆを使ったほんのり甘い味付け。鴨ロースは、生の鴨肉からつくっています。お肉から出たダシを生かして、自家製のタレで仕上げました。まぐろのしぐれ煮は、生のまぐろを煮て、濃いめの味わいにしています。強めの生姜がアクセントになっています。

―― 続いては「本まぐろの山かけ」。 見ただけで新鮮とわかる、ぷりぷりのまぐろですね!

青森県などで揚がった天然の本まぐろを、築地・豊洲から仕入れています。以前は予約の宴会が入ったときだけ仕入れていたんですが、お客さまに喜んでいただけるので定番化しました。山芋といっしょに、そばつゆで食べていただくのが松月流。じつはあまり利益がないんですが、せっかくなら良いものを気軽に味わってほしいので、700円で提供しています。

<おそば>見た目もおいしい看板メニュー「野菜カレー南ばん」

―― 締めのおそばは、「野菜カレー南ばん」を選んでいただきました。彩り豊かで食欲をそそります!

当店一番人気のおそばです。以前はお肉を乗せた「カレー南ばん」だけを出していたんですが、野菜を摂りたいというお客さまの声もあって、メニュー化しました。

カレーつゆは手づくり。おそばに使うダシをベースに、カレー粉からつくった「素」と混ぜて味を調えます。これに、素揚げしたナス、かぼちゃ、パプリカと、オクラをトッピング。老若男女問わずご注文をいただくことが多いですね。

締めのそばとしてもよく出ます。「一人前は多いな…」という方にはミニサイズをおすすめしています。

吟味した素材を使い、ひと味違う料理をひたむきに

―― オフィスや住宅の多い八丁堀ですが、どんな特徴がある街ですか?

何代もここに住んでいる人が多いので、昔から町会のメンバー同士の仲がいいですね。後から八丁堀に移り住んだ人もすぐ馴染めるようで、隣の町からうらやましがられるほどです。

歴史ある街のそば屋ですし、高級っぽくやるのもいいんですが、うちはやっぱり親しみやすい店でありたいですね。お客さまにはお腹いっぱいになってもらいたいので、盛りも多めです(笑)。

―― 今後の抱負と、読者へのメッセージをお願いします。

これからも、できるだけ良い素材を使ったおいしい料理をお客さまに食べてもらいたいですね。ちゃんとしているものは、やっぱりひと味違いますから。また、当店はできるだけ、手づくり・自家製のメニューを提供しています。読者のみなさんにも、ぜひお店に来ないと味わえないおいしさを感じてもらいたいですね。

蕎麦前をじっくり味わいながら過ごすひととき―。料理はもちろん、ゆっくり流れる時間やお店ごとに違う空間なども、五感を使って贅沢に楽しめます。

蕎麦前は、ふだんは長居しないおそば屋さんでの時間をより豊かにしてくれる素敵な文化。いつでも、だれでも、手軽に体験できます。このインタビューを読んで少しでも興味を持ったなら、ぜひお店に足をお運びください。

■今回いただいたメニュー ※価格は税込み
上板わさ(700円)/上板わさハーフ(480円)
生酒 東薫(300ml 920円)
おまかせ三種盛り(650円)
本まぐろの山かけ そばつゆ仕立て(700円)
野菜カレー南ばん(980円 ミニサイズは780円)

■店舗情報
そば処 松月
〒10- 東京都中央区八丁堀3-23-6 (JR/東京メトロ 八丁堀駅下車 B2出口より徒歩1分)
TEL  03-3551-5261
営業時間  <平日>11:00~15:00/17:00~21:30 <土>11:00~14:30
※新型コロナウイルス感染拡大状況により変更の場合あり
定休日 日曜、祝日、年末年始

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