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鈴廣ではかまぼこ作りで出る魚の骨や皮から有機肥料「うみからだいち」を作り、地元の農家さんに使っていただいています。
育った農産物は鈴廣のかまぼこやかまぼこの里のお料理、飲み物、デザートに利用しています。
魚肥は古くから日本で使われている有機肥料で、植物の成長に必要な三大栄養素である窒素・リンを特に豊富に含んでいます。
また、魚肥に含まれるアミノ酸が微生物環境も改善し、作物の旨みや香りもよくすることから、小田原では長きに亘り農家さんがかまぼこ屋に魚の骨や皮などをとりにくる光景が見られました。
しかしながら、手軽な化学肥料が普及すると、かまぼこ屋と農家さんの魚のアラのやりとりはほとんど見られなくなってしまいました。
そこで、鈴廣では2004(平成16)年から、神奈川県農業技術センターの指導も受けながら、使いやすい粉末魚肥「うみからだいち」の開発を行ってきました。
魚肥は微生物の力で発酵させて作ります。魚のアラ(頭・骨・皮・内臓など)に分解を促すキノコ類を加えて細かくし、そこに箱根ビールかす(ホップや麦芽など)を入れたら5週間ほど発酵させます。最後にふんわりとした粉末状にして完成です。
魚肥「うみからだいち」で育った、自然の恵みたっぷりの作物は再び鈴廣のもとに戻ってきます。たとえば、鈴廣かまぼこで人気の「しそかをり巻」には、魚肥で育てた紫蘇を一枚一枚巻いています。しその香りがとても良いとお客様からおっしゃっていただきますが、そこにはしそ農家さんの知と技、魚肥の力が隠されているのです。

また、鈴廣かまぼこの里のビュッフェレストラン「えれんなごっそ」では、魚肥「うみからだいち」で育てた白米や野菜のサラダなどが食べ放題。鈴廣が醸造する「箱根ビール おだわられもん 」のレモンも、地元酒蔵の井上酒造さんに醸していただいている日本酒「海と大地」の米キヌヒカリも魚肥「うみとだいち」で育てています。
鈴廣が魚肥「うみからだいち」を作るのは、魚の命を無駄にしたくないという想いがあるからです。かまぼこ一本には約7匹の魚を使っていますが、かまぼこになるのは魚肉の部分のみ。頭や皮、内臓等は使うことがありません。多くの魚の命をいただくのであれば、すべての部位を役立てたいと思っています。
また、大地から海へ注がれる養分をあるべき姿に戻したいという想いもございます。大地に降り注いだ雨は長い年月をかけて地中の養分をとりこみながら海に流れ着きます。大地の養分は海のプランクトンなどを育て、やがて魚の糧となるのです。
大地が魚肥という自然の力で肥沃になり、その養分が海に届いて、かまぼこの材料になる魚を育てる。そんな大地と海の循環が続くよう、鈴廣は微力ではありますが行動に移してまいります。