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ペプチド

ペプチドとは、タンパク質が消化される際に分解されてできる物質で、複数個のアミノ酸つながった物質です。ペプチドには、生活習慣病の予防・疲労回復・脂肪燃焼など、さまざまな健康効果があることが解明さされてきており、この記事では、健康に過ごしたい人・タンパク質不足を解消したい人に向けて、ペプチドの健康効果・摂取方法などについて解説します。健康増進のために役立てていただければ幸いです。

ペプチドとは

ペプチド

ペプチドの特徴

ペプチドとは、タンパク質が分解されてできる物質で、2個以上のアミノ酸が結合しています。
食事から摂取されるタンパク質は、消化酵素によりペプチド、さらにはアミノ酸まで分解され、小腸から体内へ吸収されます。一般的にアミノ酸が2〜数十個つながったものをペプチド、それ以上結合したものをタンパク質と呼ぶこともありますが、単独で安定した立体構造を持つものがタンパク質という定義では、産業総合研究所が報告したアミノ酸10個からなる『シニョリン』という世界最小のタンパク質がよく知られています。

ペプチドにはたくさんの種類がある

ペプチドにはたくさんの種類があります。アミノ酸の結合した数が、2個でジペプチド、3個でトリペプチド、多数つながるとポリペプチドと呼ばれます。タンパク質やペプチドを構成するアミノ酸は20種類であるため、ジペプチドだと20×20=400、トリペプチドだと20×20×20=8000ものパターンが考えられます。市場では、大豆ペプチド、わかめペプチド、魚肉ペプチド、イワシペプチド、ホエイペプチド、コラーゲンペプチドなど、多くのペプチドの種類が知られており、美容や健康への効果が近年注目されています。

アミノ酸の特徴

アミノ酸は、タンパク質・ペプチドを構成する最小単位の物質です。食事から摂取されたタンパク質が分解されてできたアミノ酸は、体を作る材料としてタンパク質に再合成され、筋肉・内臓・骨・髪・爪など、体を構築します。他にもホルモンや抗体の構成成分になるなど、体の働きを大きくサポートしています。体内で合成できない、あるいは十分な量が合成されないアミノ酸が9種類あり必須アミノ酸と呼ばれており、これらをバランスよくは食事から摂取することが体の働きを維持することに大切だと言われています。

タンパク質の特徴

タンパク質は、アミノ酸が、50個以上つながった化合物で、プロテインとも呼ばれ、人の体を作る材料となります。タンパク質は、そのままで吸収されることがなく、一度、ペプチド・アミノ酸に分解されてから、吸収されます。タンパク質の摂取量が減少すると、筋力・免疫力の低下、皮膚の老化、肌トラブルにつながります。良質なタンパク質をバランスよく摂取することが大切です。

タンパク質については、以下の記事でも詳しく紹介しているので、参考にしてください。

サカナのちから「たんぱく質講座」

かまぼこのある暮らし「かまぼこタンパクと栄養」

タンパク質・ペプチド・アミノ酸が吸収される仕組み

食べ物で摂取したタンパク質は胃や膵臓から分泌されるペプシンやトリプシンなどのタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)によりペプチドまで分解され、さらにペプチダーゼによりアミノ酸まで分解され、小腸から体内へ吸収されます。以前はアミノ酸しか吸収されないと考えられていましたが、今ではジペプチドやトリペプチドが吸収される仕組みが解明され、2、3個のアミノ酸がつながったペプチドがそのまま吸収されることが分かってきました。

ペプチドで摂取するメリット

昨今、ペプチドを成分に取り入れたサプリメントや食品が多く登場して注目されています。ここでは、タンパク質・アミノ酸ではなく、あえてペプチドで摂取する3つのメリットについて紹介します。

食事で摂取するタンパク質よりも吸収が早い

ペプチドは、食事で摂取するタンパク質よりも、消化・吸収が速いと考えられます。体内でタンパク質が消化されるステップを飛ばして初めからペプチドであるため、アミノ酸への分解時間が短いことと、アミノ酸が2、3個つながったジペプチドやトリペプチドがそのまま吸収されるとアミノ酸一個の吸収よりも効率が良いことがその理由です。

筋肉の修復に効果的

一般的にタンパク質は体内へ吸収されるまでに3〜4時間、ペプチドは30分ほどと言われており、これらの性質を理解して筋肉のゴールデンタイムに合わせて摂取することで効率的な筋肉づくりにつながると考えられます。
筋肉のゴールデンタイムとは、成長ホルモンが分泌され、回復と成長が促される時間帯のことで、運動後1時間程度、、就寝後4時間程度のことを指します。就寝前などにペプチドを摂取すれば、筋肉のゴールデンタイムに、十分な量のアミノ酸が筋肉まで運ばれ、筋肉組織の修復に効率的に活用されます。

目的ごとに機能性ペプチドを摂取

近年のペプチドの機能性研究により、血圧上昇抑制や抗酸化活性、抗菌、脂質代謝改善、中性脂肪減少、血栓抑制など様々な機能を持つペプチドが発見されてきています。これらの機能性ペプチドは、健康食品や美容食品にも利用されており、簡単に摂取することもできます。自分の目的に応じて機能性ペプチドを積極的に摂取していくことも大切かもしれませんね。

ペプチドに期待される健康効果

ペプチドを摂取することでさまざまな効果が期待できます。ここでは、現在知られているペプチド健康効果について紹介します。

疲労回復効果

抗酸化活性が高いプチドには、疲労回復効果があり、肉体疲労を軽減したり、筋肉疲労を和らげたりすることが出来るものがあります。体内における過剰な活性酸素の増加は、疲労と老化の原因となりますが、ペプチドの抗酸化作用により、余分な活性酸素が除去され、異常状態から回復することが期待されます。
最近、魚肉ペプチドに含まれる抗酸化活性の高い2種類のジペプチド(Iwasaki et al., J. Food Nutr. Res. 7, 821-826, 2019)が疲労軽減効果を持つことが臨床試験により証明されました(Sakai et al., Jpn. Phalmacol. Ther. 48, 1393-1399, 2020)。

魚肉ペプチドから作られた「サカナのちから」は、疲れが抜けないときや運動後のリカバリーに最適です。

生活習慣病の予防

ペプチドの中には、高血圧・糖尿病・脂質異常症といった生活習慣病の予防につながるペプチドがあります。

サーデンペプチド・わかめペプチド・ラクトトリペプチドなどの血圧降下ペプチドは、血圧上昇を活性化させるACEの生成を阻害することで、血圧降下作用をもたらします。また、牛乳・大豆・食肉・卵白タンパク質由来のコレステロール代謝改善ペプチドは、コレステロール値を低減し、心筋梗塞・脳梗塞などの原因となる高コレステロール血症を予防します。

そのほかの健康機能を持つ効果

ほかにも脂肪燃焼促進やミネラル吸収作用、筋肉増強作用、抗酸化作用、抗がん作用など様々な機能性を持つペプチドが次々と発見されてきています。ペプチドの研究は今も大きく発展している段階なので、今後も健康に役立つペプチドの原理の解明が期待されます。

魚由来のペプチドが注目されている理由

魚肉ペプチドは魚肉由来であるため、アミノ酸バランスがパーフェクトであることに加えて、ペプチドまで分解されていることにより、牛・豚・鶏卵・大豆などのタンパク質と比べて、吸収率が高いことも分かっています。また、ペプチドまで分解することにより抗酸化作用や抗がん作用、脂質代謝改善、カルシウム吸収促進、骨強化作用、鉄吸収促進、血圧上昇抑制作用、抗アルツハイマー病など様々な健康機能性が発現することも証明されてきました。

ペプチドの効果的な摂取方法

ペプチドを効果的に摂取するためには、サプリ・ゼリー・ドリンクなど健康食品の活用もおすすめです。健康食品に含まれるペプチドは、タイミングに合わせて効率よく摂取できるため、健康的な体づくりに非常に役立ちます。

もちろん栄養バランスを考えて食事を摂取することが理想ですが、加齢とともに消化吸収能力が衰えたり、体調によっては胃腸の機能が弱ったりするため、予備消化されたペプチドで栄養を効率的に摂取することも、より健康的な生活を送っていくためには大切ではないでしょうか。

まとめ

ペプチドはタンパク質よりも吸収が速く、生活習慣病の予防や脂質代謝改善、疲労低減などさまざまな健康効果が期待されています。とくに魚肉ペプチドは、栄養吸収性も優れており、様々な健康機能性を持つことから大きく注目されています。

魚肉たんぱく研究所は、『お魚たんぱくで世界を健やかに』することをモットーに、魚タンパクの魅力について様々な発信を行っています。魚のタンパク質を積極的にとることは、筋力維持や健康維持に有効です。最近では日本人のタンパク質摂取量は戦後レベルまで減ってきています。サプリなどを活用して手軽に摂取出来るといいですね。

この記事を書いた人
魚肉たんぱく研究所 所長 博士(農学) 植木暢彦(うえき・のぶひこ)

魚肉たんぱく研究所 所長 博士(農学) 植木暢彦(うえき・のぶひこ)

東京大学大学院農学生命科学研究科 水圏生物科学専攻 博士課程修了
魚貯蔵中の脂質過酸化抑制、マグロの変色メカニズム解明、ペプチドのシグナル伝達経路解明などの研究を経て、魚の基礎研究を続けたいと魚肉たんぱく研究所へ移籍。
現在は、伝統的職人技の原理解明、未利用資源の有効活用、魚肉タンパク質を用いた新規シーズ開発をテーマに研究を行っている。好きなかまぼこの食べ方は、オリーブオイルにネギ。または小田原っ子の丸かじり。

魚肉たんぱく基礎講座

  • 魚肉たんぱくFISH PROTEIN
    魚肉タンパク質はその性質ごとに3つに分類されます。哺乳類や植物のタンパク質よりも消化性が高いことも特徴で、最近では数多くの健康機能性も明らかにされてきています。
  • タンパク質PROTEIN
    人の体の約20%はタンパク質でできていて、20種類のアミノ酸から構成されます。タンパク質はエネルギー産生栄養素のひとつで健康に欠かせない栄養素です。正しい知識を身につけて上手にタンパク質を摂取することが大切です。
  • アミノ酸AMINO ACID
    魚肉タンパク質はその性質ごとに3つに分類されます。哺乳類や植物のタンパク質よりも消化性が高いことも特徴で、最近では数多くの健康機能性も明らかにされてきています。
  • ペプチドPEPTIDE
    ペプチドとは、タンパク質を消化・吸収する際に分解されてできる物質で、複数個のアミノ酸からなりたっています。昨今、生活習慣病の予防・疲労回復・脂肪燃焼など、さまざまな健康効果が期待から注目されています。

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