HOME モノ 時がたつほど「鳴り上がる」風鈴

時がたつほど「鳴り上がる」風鈴

柏木美術鋳物研究所の「風鈴」

2022.08.25
時がたつほど「鳴り上がる」風鈴

「鋳物」とは溶かした金属を型に流し込み、冷えて固まった後、型から取り出してつくった金属製品である。江戸時代から小田原で鋳物をつくってきた柏木家が営む柏木美術鋳物研究所。彼らは鋳物の中でも「鳴物(なりもの)」といった、仏具のおりんや風鈴に特化した作品を手掛けている。その中でも今回紹介するのは「砂張(さはり)」という合金でつくられた風鈴だ。現代のライフスタイルに合わせたものを目指した作品の魅力に迫る。

江戸の頃より鳴り続ける、小田原鋳物

小田原での鋳物の歴史は、天文3年(1534年)に山田治郎左衛門が鋳物業を開いたことが始まりと伝えられている。当時は鍋や釜、仏具、鉄砲まで鋳物の需要が高く、関東一の産地であった小田原鋳物は重宝されていた。今では小田原鋳物の伝統を引き継ぐのも「柏木美術鋳物研究所」一件のみだ。


そんな柏木美術鋳物研究所がつくる風鈴のひとつが「砂張」という金属を使用している風鈴だ。「砂張」とは銅と錫(すず)を合わせた銅合金で、仏具のおりんなどにも使われており、美しい音もさることながら、最大の特徴はその「余韻」にある。

砂張の余韻に耳を澄まして

柏木美術鋳物研究所では、「砂張」の配合から行っている。原材料の銅合金からつくることで、納得のいく音色に仕上げている。

「砂張」は錫の絶妙な割合で美しい音が生まれる。その割合は美しいと同時に割れやすく繊細であるため、加工には相当な技術が必要だ。また、磨きの工程でも研磨機を使うと、摩擦熱で膨張して割れてしまう。柏木美術鋳物研究所の風鈴は、ひとつひとつが鋳込みから磨きの作業まで手作業でつくられている。

また、砂張は使い込むほど音が鳴り上がる(音が良くなる)と言われており、長く使うことでエイジングを楽しむこともできる。

音はそのままに 形を現代に調和させていく

一般的に風鈴といえば、窓際に飾るものとイメージする方が多いのではないのだろうか。このタイプの風鈴だと現代では、騒音の問題や暑さの問題で室外に吊るしにくくなっている。そこで今のライフスタイルに合わせたのが、この「置き風鈴」だ。


砂張の黒い光沢のある見た目は、飾る部屋を選ばずモダンな印象を与えてくれる。日本の夏を象徴する風鈴。砂張のいやしの音色を、お部屋の中で楽しんでみてほしい。

小田原という町の性質が新しいモノを生み出していく

小田原は東海道屈指の宿場町として、様々な文化の交流が行われてきた背景がある。鋳物の他にも提灯、漆器、箱根寄木細工などの伝統工芸品があり、その技術は現在に至るまで脈々と引き継がれている。


そんな小田原だからこそ、置き風鈴にあるような、箱根寄木細工の「ズク」を風鈴の短冊に使用したコラボレーションが生まれたのだろう。それぞれの伝統工芸が混ざり合い、垣根を超えた作品が生まれる町「小田原」。これから伝統工芸がどんな新しい形になっていくのか将来が楽しみだ。

柏木美術鋳物研究所

〒250-0005
神奈川県小田原市中町3-1-22
電話:0465-22-4328
営業時間:9:00~17:00
定休日:第2・4・5土曜日、日曜日、祝祭日

https://k-imono.com/