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時代に合わせた価値に変換し、伝統の存続を担う寄木細工

「露木木工所」の寄木細工

2023.06.27
時代に合わせた価値に変換し、伝統の存続を担う寄木細工

江戸時代から脈々と受け継がれてきた美しい文様が特徴の寄木細工。露木木工所は、伝統工芸を今の暮らしに使いやすく、モダンなデザインのアイテムへと変身させてきた。今回は露木木工所の露木清高さんに、作品の魅力の秘密を聞いた。

伝統工芸をいまに活かす、生活を高めるよいアイテム

寄木細工は、様々な種類の木を寄せ集めて美しい柄をつくる伝統工芸品である。カラフルなその柄は、木そのものが持つ色彩を活かして作られている。魅力的なその柄には、「市松」や「麻の葉」、「七宝矢羽」などの100種類以上にもおよぶ古来から伝わる文様が表現される。

露木さんの作品の特徴はそれらの使い方である。彼の作るプロダクトは代々受け継がれてきた文様を採用しつつも、どことなくモダンな印象を与えてくれる。さらに、商品もスマホスピーカーやイヤリングなど、従来の伝統工芸品にはなかったようなアイテムを次々に作り出してきた。

先人たちが作り上げた寄木細工の歴史と、現代人のデザインに対する価値観を融合させる。それこそが彼の作るものの最大の魅力だといえる。

選ばれた文様とモノトーンで繊細な意匠と魅力

先述した彼独自の文様のセレクトの中でも、一番の「らしさ」が見られるのが、「白小寄木」である。

「小寄木」というのは、小さな模様が区切られ、斜めに配置されているデザインのことである。一般的には様々な色の木を使用し、カラフルであることが多い小寄木模様だが、「白小寄木」ではあえて色彩を抑え、モノトーンでシンプルなデザインになっている。

このデザインは露木清高さんの父、露木清勝さんが考案し、受け継がれたものだ。白色にはこけし作りに使われることの多い水木材、黒色には二千年以上地中に埋もれていたものが掘り起こされた、貴重な神代桂材という木材が使用している。

このような過去のものから「いま」らしい柄を発掘する嗅覚に彼のセンスが光る。また、柄そのものの組み合わせ方はもちろん、それらを構成する線・色・大きさを巧みに変化させるアレンジ力も見逃せない。

生活様式を反映し、日常に溶け込むプロダクト

露木さんの作品や幅広い表現には、「生活文化を創造する」という考えが反映されている。露木さんが想い描くのは、日常の中で寄木細工の存在を高め、登場する頻度を上げること。スマホスピーカーやアクセサリー、マウスパッドなど、特に現代の生活に沿った作品は、そうした考えが色濃く表れている。

伝統工芸品が永く残っていくためには、その時々の生活に溶け込みながらも、その高尚さを失わないことが大切だと考えている。

これからも時代は変わる。露木木工所の未来の作品はどのようなものが生まれるのだろうか。ついつい心が躍ってしまう。

木工産業の発展を支えた豊かな資源と現代の価値にあう進化を続ける工芸品

小田原はもともと木工産業が盛んであった。箱根寄木細工も1世紀以上続く伝統工芸品だ。それには3つの歴史的な背景がある。

ひとつめは、日本の中でも木の種類がとても豊富で恵まれた土地であったこと、ふたつめは、経済圏であり東海道も整備されていたこと、最後に、小田原ではかつてろくろの技術が保護奨励されていたことがある。このろくろは寄木細工にも利用される技術だ。

露木さんの作品には伝統の継承という想いが込められている。旧くから伝わる美しい工芸品を、新しい実用性のある道具として多くの人に使ってもらうことで、この地域に息づく歴史と伝統が永く続いていくのである。その中で寄木細工に多くのバリエーションをもたらす露木さんの作品がこれから先どのような進化を遂げていくのか楽しみだ。

露木木工所 寄木ギャラリーツユキ

〒250-0021
神奈川県小田原市早川2-2-15
電話:0465-22-5995
営業時間:9:00~17:00
定休日:日曜・祭日・第2土曜日

https://www.yosegi-g.com/