魚肉たんぱく同盟コラムVol.27

「史上初の2年連続三大駅伝三冠に挑戦したい。」 箱根駅伝の覇者、駒澤大学陸上部の2人が語る競技と食生活。

2023.03.22

「第99回東京箱根間往復大学駅伝競走」にて総合優勝を果たし、史上5校目の大学三大駅伝三冠を達成した駒澤大学陸上競技部。大八木監督の箱根駅伝ラストイヤーとなった今大会において、優勝の立役者となった4区の鈴木芽吹選手(3年)、6区の伊藤蒼唯選手(1年)に話を伺った。そこには駒澤大学陸上部の強さを支える食への取組みがあった。

鈴木 芽吹選手プロフィール
2001年6月3日生まれ。静岡県熱海市出身。佐久長聖高校のエースとして3年連続で全国高等学校駅伝に出走し、1年次には区間賞を獲得して全国優勝に貢献。駒澤大学入学後は、1年生の時から箱根駅伝に出場し、今大会で3大会連続の出場。

伊藤蒼唯選手プロフィール
2004年1月12日生まれ。島根県出雲市出身。今大会は1年生として箱根駅伝初出場ながら、6区で区間賞を獲得し総合優勝に大きく貢献。

――改めまして、第99回東京箱根間往復大学駅伝競走の総合優勝おめでとうございます。まずはお二人の自己紹介をお願いいたします。

鈴木選手:
陸上競技は小学校から始めたのですが、本格的に部活に入ったのは高校からです。地元は静岡県の熱海市ですが、高校は長野県の佐久長聖高校に進学して、寮生活をしながら競技に励みました。高校生の頃はそれなりに結果も残すことができていたので、いくつかの大学からお声かけいただきましたが、箱根駅伝で走ること・活躍することに憧れていたので駒澤大学に進学しました。

伊藤選手:
僕は陸上を始めたのは小学校2年生からで、そこからずっと陸上一筋でやってきています。高校まで目立った成績は残せていなかったのですが、先日の箱根駅伝で区間賞を取ることができ、総合優勝のチームの一員になることができました。駒澤大学に進学した経緯は、地元が島根県の出雲市なのですが、出雲駅伝の記録会の時に大八木監督とお話する機会をいただいたことがきっかけです。

――大学三大駅伝三冠達成と、素晴らしい1年だったと思うのですが改めて振り返っていただけますか。

鈴木選手:
前回の箱根駅伝は8区を走らせてもらったのですが、怪我でブレーキしてしまいました。その影響で昨年は怪我からのスタートだったので、1年間の半分ぐらいは走ってないような状況でした。自分としては、どうしても前回大会のブレーキを挽回したい、三冠に貢献したいという想いがあり、個人の結果よりもチームとして駅伝でしっかり結果を出したいと思ってたので、10月の出雲駅伝と箱根駅伝でしっかりチームに貢献できたことは嬉しかったです。

伊藤選手:
僕にとってこの1年はかなり濃密なものでした。駒澤大学陸上部に入部して競技に取り組んできて、最初は練習についていくだけでもかなり必死だったのですが、夏合宿を超えたあたりから自分の中でも力はついてきたなという手応えがあって、箱根駅伝で積み上げてきたものが発揮できたことはとても嬉しかったです。

――鈴木選手にとって伊藤選手は後輩にあたると思うのですが、どんな存在ですか?

鈴木選手:
高校年代で結果を残してきた有力選手も多い中で、入部した当初は伊藤の存在は全く知りませんでした。なので、戦力になっていくには時間がかかるかなと思っていたのですが、夏合宿をしっかり乗り越えて、箱根駅伝でも1年目から結果を残している姿は逞しいなと思いますし、今ではチームの手本になるような存在です。

――反対に、伊藤選手にとって鈴木選手はどんな存在ですか?

伊藤選手:
大学に進学してからの活躍ももちろんですが、高校のときから凄い実績を残してこられていて、自分にとっては憧れる先輩ですし、目標にしていきたい存在でもあります。

――お2人は箱根駅伝で4区と6区を走られましたが、ご自身の走りで印象に残っているシーンはありますか?

鈴木選手:
2位で襷を受け取って、往路優勝と総合優勝をするためには自分が1位で5区に繋がないといけないシチュエーションだったので、常に前だけを見て走りました。中大を抜いた後、追い上げてきた青学に追いつかれて焦った部分もありましたが、秒差がなくてもしっかり前の順位で渡そうという一心で最後まで必死に走り切ることができました。個人的にはコンディションが万全ではない状態で迎えた箱根駅伝だったのですが、その時点での自分の100%を出せたと思います。

伊藤選手:
チームとして三冠が懸かっている中で迎えた箱根駅伝でしたが、襷を受けた位置的にも2位の大学からプレッシャーがかかる状況でスタートする形になりました。前半はかなり良かったのですが、残り2~3kmのところできつくなってしまって。ちょうどそのタイミングで高校時代にお世話になっていた監督の姿が沿道に見えて、そこで力をもらうことができ、最後まで走り切ることができました。結果として、区間賞を取れたのは良かったです。

――箱根駅伝を優勝で終えて、反響はありましたか?

鈴木選手:
自分は大学1年生のときに箱根駅伝の総合優勝を経験しましたが、その時は新型コロナウイルスの流行が始まったばかりだったこともあって、大会後の取材も若干少なめだった印象です。その当時と比べると、今大会の優勝後はこのような形で取材いただく機会や、メディアへの露出も多くなりましたし、その分反響は大きかったように思います。

伊藤選手:
僕の地元の出雲市出身では、これまで箱根駅伝を走ったことがある選手が珍しいこともあり、地元のテレビやメディアで大きく取り扱ってもらえたことはシンプルに嬉しかったです。自分の実績からすると、これまで取り上げていただく機会はほとんどなかったので、箱根駅伝は凄い大会なんだなと改めて感じました。

――大八木監督が3月末に監督を退任されますが、お2人にとって大八木監督はどのような存在ですか?

鈴木選手:
監督は、自分には想像できない程の実績を積み上げられてきた方で、駒澤大学陸上部は監督を信頼して練習してきたからこそ、ここまで強くなれたと思っています。自分は大八木監督に3年間教えていただいたので、そのことをしっかり噛み締めて最後の1年間で自立した選手になることができたら監督への恩返しにもなるのかなと感じています。

僕自身はとにかく箱根駅伝を走りたくて駒澤大学に入学したのですが、監督は「箱根だけではなく、世界を目指していこう」と常に話をしてくれていて、自分も大学に来てから世界を目指したいと思うようになりました。

伊藤選手:
僕らの代が監督の指導を受けることができたのは1年でしたが、この1年でタイムだけでなく、人間的にも成長させていただいた実感があります。個人としてもあまり実績のなかった僕を勧誘してくださって、こうして目に見える結果を出せるところまで成長させていただいたことを凄く感謝しています。監督に練習を見ていただいた1年間は自分の中でも大きかったですし、この1年を糧にして、残りの3年間も頑張っていきたいなと思っています。

――ここからはお2人の食事情やたんぱく質の摂り方についてお伺いしていきたいと思います。駒澤大学の陸上部は寮に食堂があると思うのですが、普段はどんな食生活ですか?

鈴木選手:
寮の食堂では、監督の奥さんが食事を作ってくださいます。月曜日から金曜日の朝食と夕飯は食堂で食べて、昼ご飯と土日の食事は各自で食べるルーティーンです。朝は特に変わったメニューは出ないですが、夕飯の量はすごく多い。僕は内臓が強くないこともあり、練習の後に沢山ご飯を食べられるタイプではなかったのですが、練習がハードな分、食事はしっかり食べなければいけないので、時間をかけて食べ切ることを意識しています。

毎年、新入生に対しては監督の奥さんが栄養講座を開いてくれて、部員は食事や栄養のことについて学びます。その栄養講座をきっかけに、各自で考えて食事を摂っています。

――伊藤選手は入寮して、それまでと食生活が変わりましたか?

伊藤選手:
まず、朝と夜はご飯を出してもらえるっていうのが凄くありがたいですし、何より美味しいのでご飯もしっかり食べられています。昼食は自分で考えて食べることになっているので、同期の仲間と栄養についても色々と話しながらご飯を買いに行ったり、外食に行ったりします。そのようにして、バランスよく食べられているんじゃないかとは思います。

――自分で食事を選ぶ時にはどのようなことを意識していますか?

鈴木選手:
僕はとにかく怪我が多いので、普段からしっかり食べて栄養を摂ることを意識しています。新型コロナウイルスの影響で外食しづらい時期も続いたので、大学に入ってから自炊することも多くなりました。あとは、寮の近くにお弁当屋さんがあって、バランス良く栄養が摂れるので陸上部の学生はよく利用しています。

主食はパンよりも白米の方が自分の中でエネルギーになって、しっかり走ることができる感覚があるので白米派です。加えて、疲労骨折を防ぐためにもサプリメントに頼りすぎずに、小魚などを食べて食事からカルシウムを摂って骨を強くすることを意識しています。

伊藤選手:
食事に関しても、走れる体を作ることが一番大事だと思っています。外食する時もジャンキーなお店に行くよりは、バランスのとれた食事ができるお店を探して行くようにしています。自分は体重が軽くてエネルギー切れを起こしやすいので、最近は炭水化物をしっかり摂るようになりました。

――身体作りで重要になるたんぱく質についてはいかがですか?

鈴木選手:
プロテインも飲んでいますが、バランス良く栄養を摂るには食事の中でたんぱく質を摂れることが一番だと思うので、肉や魚を積極的に食べるようにしています。寮の夕飯には、たんぱく質豊富なメニューが並ぶのでとても助かっています。

――フィッシュプロテインバーを食べていただいて、率直な感想はいかがでしたか?

鈴木選手:
内臓があまり強くない自分でも練習後に食べやすかったです。好きな味は金目鯛と鯵のアクアパッツァ風で、バジルや魚の風味が好みでした。練習後に食欲が湧かない時に手軽にフィッシュプロテインバーを食べてたんぱく質を補給したいなと思います。あとは就寝前にサカナのチカラを飲んで、疲労回復に繋げられたらと思っています。

伊藤選手:
5種のチーズの帆立グラタン風の味を食べて、想像よりも本格的なグラタンの味で美味しく食べることができました。プロテインバータイプということもあって、手軽に食べることができるので、小腹が空いた時などに食べられたら良いなと思いました。

――最後に、今年の目標を教えてください。

鈴木選手:
今年は自分がキャプテンになるので、前人未到の2年連続三冠に挑戦したい。誰も成し遂げたことがない記録になるので、それを自分たちで成し遂げたいです。箱根駅伝に関して、第100回という記念すべき大会になるので、自分がキャプテンとしてチームを引っ張って、最高の形でフィニッシュできたらと考えています。

伊藤選手:
まず個人として5000m、1万mと全ての距離で自己ベストを更新したいという気持ちがあります。あと今回箱根を走ったということに満足せずに、次の第100回大会でもう1度箱根駅伝を走って、チームに貢献することが今の目標です。

五勝出 拳一(ごかつで・けんいち)
広義のスポーツ領域でクリエイティブとプロモーション事業を展開する株式会社セイカダイの代表。複数のスポーツチームや競技団体および、スポーツ近接領域の企業の情報発信・ブランディングを支援している。『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事も務める。2019年末にマイナビ出版より『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。

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