魚肉たんぱく同盟コラムVol.10

体と心を作るのが食事 ラグビー・金正奎選手の「きんめし」と鈴廣かまぼこが出会った瞬間

2021.08.26

健康への関心が高まったコロナ禍に、一人のラグビー選手のSNSに注目が集まった。低くて激しいタックルと類希なるリーダーシップを武器に、日本を代表するラグビー選手に成長した金正奎選手。彼が「きんめし」と題して投稿した料理写真や栄養に関するコメントに、多くの人が反応した。これまで10年以上にわたり食にこだわり続けてきた男の目に鈴廣かまぼこはどのように映ったのか。彼のラグビーと食に対するこだわりが溢れ出た珠玉のインタビュー。

金正奎(きんしょうけい)選手プロフィール
1991年10月3日生まれ。大阪府枚方市出身。
高校2年生の時に全国優勝を経験し、早稲田大在学中にはU20日本代表・関東学生代表として活躍。現在はジャパンラグビーリーグワン N T Tコミュニケーションズシャイニングアークス東京浦安ベイに所属し、主将を務めた。ラグビー元日本代表で、7人制日本代表に選ばれたこともあるなど、ラグビー界注目選手の一人。日々の食事を発信する「きんめし」にも注目が集まっている。

ラグビーを始めたきっかけは?

小学6年生まではバスケットボールと水泳をやっていました。中学校ではバスケットボールを続けるつもりでしたが、兄がラグビーをやっていたこともあり、親の意向に押し切られる形でラグビーを始めました。

中学からラグビーを始めて、どのようにして結果を残していったのでしょうか?

すぐに成績を残すことはできませんでした。でも僕は体格に恵まれていたので、初心者ながらも、試合には出させてもらっていたんです。そして中学2年生の時に、近畿大会で優勝することができて、そこから一気にラグビーにのめり込んでいきました。

高校に入ってからも、試合に出させてもらってはいたものの、やはり良い結果を残すことはできませんでした。でも高校2年生のときに花園で優勝し、初めて日本一を経験しました。優勝メンバーには2年生が多く含まれていたので、僕たちの代は周囲の期待も大きかったんです。でも大阪大会の決勝で負けてしまい、日本一どころか、全国大会に出場することも叶いませんでした。

全国の強豪校が争う中で、花園で優勝するのは本当にすごいことですよね。優勝につながった要因はなんだとお考えですか?

高校2年生の時のチームは、個がしっかりしていて、かつ個性を活かしたチーム作りがされていました。型にはめない指導方法がうまくいったのではないかと思います。これまでの競技生活の中で、日本一になったのは、あの一度だけです。あの時の味はいまでも忘れられませんね。

高校3年生のときはキャプテン、大学でも副キャプテンを任されるなど、リーダーシップも発揮されていたとおもいますが、どのようなリーダーだったのでしょうか?

周囲の期待に応えようとしすぎて、全てを一人で背負いこんでいました。自分にも周囲にも厳しくした結果、孤立してしまいました。個人としてもパフォーマンスが上げることはできませんでした。いま考えてみると、メンタル的にも未熟でしたし、もっと周りを頼ればよかったと思っています。

ただ、この時の経験は大学で活かすことができました。大学では副キャプテンでしたが、高校での苦い経験があったからこそ、キャプテンの助けになるような行動を心がけ、それが結果的に自分自身のパフォーマンスにも繋がったんじゃないでしょうか。

大学卒業後には企業で働きながらプレーしするという環境を選択されましたよね。

複数の企業から声をかけていただきましたが、仕事を覚えながらプレーしたいと考え、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(旧名称)に加入することにしました。そこからプロ契約をするまでの3年半は、仕事と競技を両立し充実した生活をおくっていました。

チームに加入後はすぐに試合に出られたのですか?

1年目はほとんど試合に出られませんでした。大学の4年間で良いキャリアを積み、自信を持って社会人チームに加入したつもりだったんですけどね(笑)。当時のヘッドコーチに、まだまだ足りないことを突きつけられ、ニュージーランドに留学することにしました。

ラグビーの本場ですね。ニュージーランドはいかがでしたか。

ニュージーランド人はラグビーに対してとてもハングリーでした。朝4時から働き、朝7時から始まるトレーニングに参加し、終わったらまた働きに行くんですよ。聞くだけで大変そうじゃないですか? でも、彼らはすごく楽しそうにやっている。彼らに話を聞くと、選手たちは口を揃えてこう言うんです。

「俺は、今このラグビーを全力でするために、生きている。だって将来のことはコントロールできないから」と。

ニュージーランドで過ごした3ヶ月の間に、僕も「今を生きたい」と意識が大きく変化した結果、2年目からは公式戦にもフルで出場できるようになりました。それが自信となり、その年のベスト15選出、日本代表招集、そしてサンウルブス加入という流れに繋がっていったのだと思います。

そんな矢先に、大怪我を負ってしまいましたよね。

大きな怪我でしたが、すぐに治せる自信がありました。リハビリはもちろんのこと、食生活もきちんとしていましたので、結果的には1年かかるところを3ヶ月半で治すことができました。また、そのタイミングで会社ともプロ契約への移行の話を進めました。それまで、社員からプロになる事例はなかったので、後輩たちのためにも道を作りたかったんです。そして3年目の7月にはプロ生活をスタートすることができました。時間はかかりましたが、実現できたことは嬉しかったですね。

新しい道を切り開いてきた金選手が取り組んできた日々の工夫や準備を教えてもらえますか?

トレーニングと睡眠と食事。競技を続ける上ではもちろんのこと、人生の質を豊かにするためにも、この3つを大切にしています。トレーニングは、パフォーマンスの向上、怪我しない体づくりのために必要です。1日の3分の1を費やす睡眠は、フィジカルやメンタルを安定するためにも重要で、睡眠を疎かにすれば、人生の質自体が下がるものだと考えています。そして食事。これは僕にとって最も大切な要素です。人の体は食べたものでできていますし、食事によって心も作られると思っています。これは僕の持論ですが、食生活がしっかりしている人ほど、性格的に穏やかだったり、几帳面だったりと、プラスに働くことが多いと考えています。

食事を一番大切にしているということですが、確立されたタイミングやきっかけはありますか?

食への取り組みは大学2年生の頃からです。パーソナルトレーナーから、「しっかりトレーニングをしているからこそ、食事もしっかりしないともったいない」と言われたことがきっかけでした。それまでは毎日好きなものを好きなだけ食べる生活。朝から揚げ物を食べたり、ファーストフードで3食を済ませたりしていたこともありました。若さって怖いですね(笑)。

実際に大学で食生活を切り替えてからは、すぐに効果を実感することはできましたか?

いいことばっかりではなかったです。糖質を減らしすぎて、低血糖で倒れてしまったこともありました。試行錯誤しながら自分に合った食事を探していきました。結果的に食生活を変えたことにより、確実にパフォーマンスは上がりましたね。

いまSNSで食に関する発信が多いですね。「きんめし」に注目が集まっていますが、このような情報発信のきっかけは?

食に関する情報をインプットする機会はたくさんありましたが、アウトプットの場がないと感じていました。そこでSNSを使おうと思い、Twitterを使い始めました。最初は「きんめし」という言葉は使っていなかったんですけど、反響をみて、多くの人に良い影響を与えていることに気づきました。何か一つボタンを押したときにみんなが見やすいようにしたいなと思い、「きんめし」というハッシュタグをつけて投稿するようになりました。それが上手く定着してきた感じですね。

人に良い影響を与えられるというのは、現役アスリートの大きな力ですね。

グラウンドで周囲の選手たちに影響を与えるのは当たり前で、そうじゃない人たちにまでメッセージを届けられるのは、現役選手だからこそですよね。影響の大小はあると思いますが、自分なりに伝えていこうと思います。

現在、どのような食事をとっていますか?

基本的には、毎日同じような食生活をおくって習慣化しています。朝はオートミールに無脂肪のヨーグルトとフルーツをのせて食べると決めているんです。理由は、毎朝同じものを食べると、1日の状態がわかりやすくなるからです。そして昼と夜は、メインは魚を食べるようにしています。

また、長友佑都選手の影響で、食べ方にも気をつけるようになりました。「ファットアダプト食事法」のことが書かれた本を読んだ時に、「食習慣や食生活は似ているけど、食べ方が違っているな」と感じたんです。そこは真似をしようと思いました。具体的には、炭水化物は最後に食べ、タンパク質をエネルギー源にするために、最初にタンパク質をたくさん取り入れるようにしました。すると、シーズンを通して体重が落ちなくなり、自分に合っているなと感じたので、今でも続けています。

いつから料理をするようになったのですか?

自分で作るようになったのは、最近です。「きんめし」の発信はコロナ前から行なっていましたが、基本的には奥さんが作ってくれたもの、自分が食べているものを紹介していました。でも、食事に対してさらに踏み込んで取り組もうと考え、自分で作ったものを情報発信することにしました。

自分で作る機会を増やしてみて、意識に変化はありましたか?

まずは妻への感謝ですよね。あとは、料理はラグビーと似ているなと思いました。計画・プランを練って、実際に作ってみる。上手くいかないと作戦を練り直して、もう一回作ってみる。時間配分や作る順番、手元にある材料など、変動する要素がたくさんあって、奥深いんですよね。

メインに魚を食べているとのことでしたが、金選手の考える魚肉タンパクの良いところはどういったところでしょうか。

知り合いのお寿司屋さんは、「魚は海で育っているので、体温が低い。人間の体温よりも低いので、魚の油は人間の体の中ですぐに溶ける。だから魚の脂質はエネルギーになりやすいんだ」と言っていました。また逆に、「牛や豚は、人よりも体温が高いので、油が人の体の中で固まって残りやすい」という話も聞きました。

実際のところ、魚を食べるようになってから、内臓系の不具合が減ったんです。例えば、牛や豚は、食べすぎると胸焼けや胃もたれを起こします。でも魚を食べても、下痢や胸焼け、胃もたれはしないですよね。また睡眠の質も改善しました。これは消化にエネルギーを使わなくなったからだと思います。魚は筋肉量を増やしたり、スタミナを強化するうえでも有効ですが、コンディションを整えるという面でも大きな効果があると思っています。

かまぼこについてはいかがですか?

僕の中でかまぼこは「お正月に食べるもの」「おそばに添えられているもの」という感覚だったので、今まではあまり触れる機会がなかったですね。

実際に食べてどうでしたか?

「かまぼこって美味しんだな」って思いました。魚の味がしっかりしていて、こんなに美味しいということを知ることができてよかったです。普段の食事にプラスすることもできるし「いいものを見つけた!」という感覚でした。

クラウドファンディングの試作品のプロテインバーも食べていただけましたか?

とても美味しかったです。よく売っているプロテインバーは、大衆向けで甘いイメージがあり、僕はあまり受け付けなかったんです。でも鈴廣かまぼこのプロテインバーは、ちゃんと魚の味がするし、添加物も入っていないので、「こんなプロテインバーがあったのか」と驚きました。


パーフェクトプロテインバー 挑・蒲鉾の購入はコチラ
※2021年8月28日までの予約販売となります

僕は、このような商品がもっと多く流通すべきだと思います。ほとんどの人は、栄養や内容物を意識して食べてはいません。だからこそ、体に良いプロテインバーが世に当たり前に流通するようになることが、魚肉タンパク質を広める人たちの使命なんじゃないかなと思います。

書き手:瀬川泰祐(スポーツライター・エディター)

株式会社カタル代表取締役。HEROs公式スポーツライター。Yahoo!ニュース個人オーサー。ファルカオフットボールクラブ久喜アドバイザー。ライブエンターテイメント業界やWEB業界で数多くのシステムプロジェクトに参画し、サービスをローンチする傍ら、2016年よりスポーツ分野を中心に執筆活動を開始。リアルなビジネス経験と、執筆・編集経験をあわせ持つ強みを活かし、2020年4月にスポーツ・健康・医療に関するコンテンツ制作・コンテンツマーケティングを行う株式会社カタルを創業。取材テーマは「Beyond Sports」。社会との接点からスポーツの価値を探る。
公式サイト http://segawa.kataru.jp