魚肉たんぱく同盟コラムVol.20

「サッカーが好き。」岩渕真奈がボールを蹴り続ける理由と、食との向き合い方。

2022.10.20

10代からサッカー女子日本代表、なでしこジャパンに選ばれ、現在はイングランド・FA女子スーパーリーグの名門アーセナルでプレーする岩渕真奈選手。19歳で日本を離れ、一度帰国するも再び海を渡って挑戦を続けている。この度、鈴廣かまぼこは世界で戦う岩渕選手と魚肉たんぱくパートナーシップを結び、岩渕選手のコンディショニングや活動をサポートしていくことを発表した。本記事では、岩渕選手の原点やサッカー選手として大切にしていること、岩渕選手と鈴廣かまぼこの出会いについて聞いた。

岩渕真奈(いわぶち・まな)選手プロフィール
1993年3月18日生まれ、東京都出身。アーセナル・ウィメンFC所属。ポジションはフォワード。小学2年生の時に関前SCでサッカーを始め、クラブ初の女子選手となる。中学進学時に日テレ・メニーナ入団、14歳でトップチームの日テレ・ベレーザに2種登録され、2008年に昇格。2012年よりドイツ・女子ブンデスリーガのホッフェンハイムへ移籍し、2014年にバイエルン・ミュンヘンへ移籍、リーグ2連覇を達成。2017年に帰国しINAC神戸レオネッサへ入団。2021年1月よりイングランド ・FA女子スーパーリーグのアストン・ヴィラLFCへ移籍。2021-22シーズンからアーセナル・ウィメンFCでプレー。日本代表では、2008年FIFA U-17女子ワールドカップでゴールデンボール(大会MVP)を受賞、世間からの注目を集めるようになる。以降、2011年女子ワールドカップ優勝、2012年ロンドン五輪準優勝を経験。今年6月に初著書『明るく 自分らしく』(KADOKAWA)を刊行。公式アプリ「MANA IWABUCHI」では岩渕真奈本人が日々の生活やサッカー観についてブログや動画で発信中。

――岩渕選手がサッカーを始めたきっかけを教えてください。
二つ上に兄がいて、兄のサッカーの練習についていっていたことが始まりです。小学校2年生の時でした。

――当時、女子選手は少なかったのでは?
周りにも女子でサッカーをやっている子はいなくて、入った小学校のチームでも女子は初めてだったので、小学校のサッカーチームも自分が入ったことで『関前サッカー少年団』から『関前サッカーSC(サッカークラブ)』にチーム名が変わりました。当時は、男子の選手に混ざる形で東京都の選抜までは選ばれていましたね。中学生からは女子チームでプレーしていくことになります。

――中学生になって女子サッカーの世界に本格的に踏み込んでいく訳ですが、難しさはありましたか?
中学生で所属した日テレ・メニーナ(現 日テレ・東京ヴェルディメニーナ)には中学1年生から高校3年生までの選手が所属していて、入団当初はフィジカル的な厳しさは感じていました。対戦相手も大学生とかで、そういう意味でのサプライズはありました。

――ドリブルが得意なプレースタイルは昔からでしょうか?
ボールを持つのが好きなので。小学校の時のチームの方針が、とにかくボールを持ったら仕掛けることを重要視していたので、今のプレースタイルはそこから来ているかなって思います。ピッチ内外で性格はそんなに変わらないと思います。チームの中でも私生活でも、自分の意見があるときは絶対に口に出すようにしています。

――2011年にドイツW杯で優勝されました。今振り返ると、改めてどんな経験でしたか?
当時は本当にサッカーが楽しくて。日本を背負っている意識なんて全く感じずに、ただ楽しんでW杯に臨んでいたなって思います。今ほどの責任感はなかったし、そういう意味では物足りないなって思う。ただ、東日本大震災が直後の優勝だったり、帰国後に色々な賞をいただいたりと、18歳ながら自分の立場を考えるようになった大きな転機ではありました。

――「責任感」というのを強く意識するようになったのはいつ頃でしょうか?
責任感が強くなったのは2016年のリオ五輪の予選で負けた後ですね。日本代表チームのメンバーがガラっと変わって、ここからは自分がしっかりしなきゃなって思うタイミングではありました。

――2012年に海外挑戦された経緯について教えてください。
昔から海外に行ってみたいっていうのがあったので、ただ単に興味本位でいきました(笑)。海外で最初に所属したのはドイツのホッフェンハイム。チーム自体は強くはなかったのですが、海外を体感という意味では行って良かったなと思っていて。その後にバイエルン・ミュンヘンに移籍して、ドイツのリーグで優勝することができました。順調にステップアップできている実感があったのですが、怪我の影響もあって一度日本に帰ることにしました。2021年に再び海外でプレーすることを選び、イングランドのアストンヴィラを経て現在はアーセナルに所属しています。最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグにも出られるようになり、とても良い経験ができています。こうして振り返ってみても、楽しくサッカー人生を歩んでこられているなって思います。

――サッカーが職業になるにつれ、競技を純粋に楽しめなくなるアスリートもいますが、なぜ岩渕選手は楽しい感覚で居続けられるのでしょうか?
結局、サッカーが好きだからだと思います。サッカーは見るのも好きだし、プレーするのも好き。24時間常にサッカーのこと考えているかって言われたら、それは違うんですけど、やっぱりサッカー好きだなって思います。

――どんなところが好きですか?
改めて聞かれると難しいのですが、、、純粋に楽しいんですよね。若いときにW杯優勝を経験させてもらって、もう一度その景色を見るために日々取り組んでいますが、その過程にもチームが勝てたり、個人でもドリブルで相手を抜いて点を決めたりと、小さな成功体験があって。その上で、色々な人と一緒に作りあげるのがサッカー。そこは楽しいなって思います。伝わりました?(笑)もちろん大変なこともありますけど、小さい頃からサッカーが好きな気持ちは変わらないですね。

――世界最高峰のアーセナルの環境についてはどうですか?
とても楽しいです。環境に関しては今まで所属したクラブの中で一番良くて、男子チームと同じ施設を使っています。女子チーム専用のロッカーや交代浴の施設も建設中で、9月頃にはできあがる。日本と比べると、やっぱり規模が違うなって思います。

――海外での食事はいかがですか?
普段は、朝ご飯も昼ご飯もクラブハウスで食べるんですよ。朝ご飯は選択肢が少なくて、パンかオートミール、スクランブルエッグ。お昼ご飯は魚、肉、チキンと2~3種類あって、ゆでた野菜が添えてあって、まさに外国の料理という感じ。魚はシーバスかサーモンか白身魚がたまに出るっていう感じです。別に食べられるし、まずくはないですけど、自炊した方が美味しくできるとは思います。

――岩渕選手はお魚が好きで、夕食は自炊することも多いと聞きました。
ロンドンって割となんでも調味料が手に入るので、あまり日本と変わりないのかなとは思いますけど、買える魚の選択肢はどうしても狭まってしまいますね。

――海外と日本の食事の違いはありますか?
自分自身はプロテインを飲まないのですが、海外の選手は身体を大きくしようと沢山飲むんです。自分は味も好きじゃないし、プロテインからタンパク質を摂るなら食事から摂りたい。海外の選手とは生まれつきの骨格の差もあるけど、食事に対する考え方の違いもありますね。身体が大きい、強いに越したことはないけれど、筋肉がついて身体が重くなって俊敏性が落ちてしまうのは避けたい。結局、人それぞれ自分に合った食事を選ぶことが大事なんじゃないかなって思います。

――食事へのこだわりはありますか?
繰り返しになりますが、本当に人それぞれだと思っていて。自分が好まないことをやるのってストレスじゃないですか。自分にとっては食べたいものを食べたいときに食べるのが一種のストレス解消法。栄養士をつけて改善したらもっと良いのかもしれないけど、もっとだめになるかもしれない。アスリートの中では、そこまで食に強いこだわりを持っていない方かもしれないですね。

――育成年代の頃に、食について意識していたことは?
正直、なかったです。出されたものは残さないっていうことは言われていたので、それだけは意識していました(笑)。

――アスリートに必要なタンパク質はどのように摂取していますか?
クラブハウスでチキンだったりお肉は食べています。食に関する知識は豊富な方ではないけれど、自炊する時も食材の色のバランスだったり、主菜・副菜だったり基礎的なことは意識してます。

――鈴廣かまぼこについての印象をお聞かせ下さい。
家族で箱根方面に遊びに行ったときに、鈴廣のお店でかまぼこを買って帰った記憶があります。あと長友佑都選手と鈴廣かまぼこがコラボをするようになってから、長友選手と加藤超也シェフのInstagramをフォローさせていただいているので、その投稿を見て深く知るようになりました。

――鈴廣かまぼこからのオファーを受けた時は、どう思いましたか?
えー ! ってなりました(笑)。長友選手からの、私?みたいな。昨年クラウドファンディングで商品開発されていたプロテイン美味しそうでしたし、私も鈴廣かまぼこさんと一緒に何かチャレンジできたらうれしいです。

――先日のオフの時に、足を運んでいただいた「かまぼこの里」はどんな印象でしたか?
かまぼこが魚のすり身から出来ているっていうのはわかっていたけど、タンパク質が豊富とかかまぼこ1個で魚7匹分も入っているとか、そういうことを知るきっかけになったので楽しかったです。かまぼこ博物館で、かまぼことちくわ作りにもチャレンジしました。

――鈴廣のかまぼこを食べてみての感想は?
シンプルにとてもおいしいです。板かまぼこは、そのまま切って食べました。練習後とか、夜ご飯まで時間が空いておなかが減るタイミングでパクって食べられたらすごいうれしい。お魚が好きなので鈴廣かまぼこの商品を通じて、色々な魚の食べ方を発見したいなって思います。自炊する時にも活用したいです。

――最後に、今シーズンのサッカーの目標を教えてください。
 今シーズンはアーセナルでタイトルを一つとりたい。個人的には、いい選手がたくさんいる中で難しい部分もあるけれど、怪我なくコンスタントにチームに貢献できるようにしたい。日本代表に関しては今シーズンの終わりにW杯があるので、その舞台でしっかり勝てるように一日一日頑張っていきたいです。

書き手:五勝出 拳一

広義のスポーツ領域でクリエイティブとプロモーション事業を展開する株式会社セイカダイの代表。複数のスポーツチームや競技団体およびスポーツ近接領域の企業の情報発信・ブランディングを支援している。『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事も務める。2019年末は『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。