魚肉たんぱく同盟コラムVol.37
「応援され、愛される選手になるために、結果が欲しい。」W杯得点王・宮澤ひなたが世界でプレーする理由と食への心掛け。
2024.09.06
2023FIFA女子ワールドカップで1大会5得点をあげ、大会得点王(ゴールデンブーツ)を獲得した宮澤ひなた選手。大会終了後にはマンチェスター・ユナイテッドWFCに移籍し、世界を舞台に活躍中だ。去る6月には、地域の子どもたちとサッカー教室などを通じて交流するイベント「南足柄サッカーフェスタ」を開催。イベント開催に至った経緯や選手として掲げる目標、食事への心掛けなどについて話を聞いた。
宮澤ひなた選手プロフィール
1999年11月28日、神奈川県出身。マンチェスター・ユナイテッドWFC所属。兄の影響でサッカーを始め、地元のサッカークラブを経て星槎国際高等学校へ入学。2018年には日テレ・ベレーザに入団。2021年にはマイナビ仙台レディースへ移籍すると、2022-23シーズンは公式戦全試合に出場した。2023年に行われたFIFA女子ワールドカップでは、なでしこJAPANの一員として5得点を挙げ、大会得点王に輝く。大会期間中にマンチェスター・ユナイテッドWFCからのオファーを受け、2023年9月に移籍。2024年夏にはパリオリンピックにも出場。
ーー「南足柄サッカーフェスタ」は、どのようなきっかけから開催に至ったのですか?
小さい子供達にサッカーの楽しさを伝えられたらいいなと思って、サッカー教室を企画しました。それと私が兄とずっと一緒にサッカーを続けてきたのもあり、「兄妹でサッカーを通じた発信ができたらいいよね」と話していて。今日こうして実現することができ、とても嬉しかったです。
ーーイベントの感想はいかがですか?
想像していたよりも多くの子供達が、男女問わず集まってくれて。笑顔で帰っていくみんなを見て「やって良かったな」と感じています。私自身も改めてサッカーって楽しいなと思えましたし、オフ期間にこうして自分の育った場所でサッカーをできたことで、私も原点に立ち返ることができました。
ーー第一部と第二部合わせて3時間くらいピッチでボールを蹴っていましたが、疲れませんでしたか?
実は結構きつかったです(笑)。
でもみんなが楽しんでくれたので良かったなと思います。
ーーさて、ご自身の話を少しお伺いしたいのですが、サッカーを始められたのは先ほど仰っていたお兄さんがきっかけですか?
そうですね、兄がここでサッカーを習っていたときに、私も親と一緒にお迎えで来ていて。見ていて楽しそうだなと思って、自分も習い始めたのが始まりです。
ーーその頃からプロを意識されていたのでしょうか?
いえ、最初の頃は他にも色々な習い事をしていました。ただ、とにかくサッカーの練習にだけは遅れたくなくて、それを一番に考えて他の習い事をやめていった結果、残ったのがサッカーだったんです(笑)。
その頃からなでしこJAPANという存在は知っていましたけれど、リアルな夢として意識するようになったのは小学校5年生の時。ちょうどワールドカップで日本が優勝して、そこからはっきり“なでしこJAPANの一員になりたい”と意識するようになりました。
当時は男子のようにプロのリーグがあるわけではなかったので「働きながらサッカーを続けるのかな」とも考えていたのですが、そうこうしているうちにWEリーグができて。タイミング良くプロになれちゃったというか、そういう感覚です。ただ、やり続けたからこその今ですし、続けてこられたからこそ得られた結果かなとも思っています。
ーー昨年はFIFA女子ワールドカップ2023にも出場されました。どんな感想を持ちましたか?
アンダー世代以外では、なでしこJAPANとして出場した大会は初めてでした。やっぱりサッカーをやっている人にとって、ワールドカップというのは特別な大会で。そこで活躍できたら選手としての価値も高まりますし、見える世界が大きく広がる。実際のところ移籍にも繋がる大会となって、少し他人事のような言い方になってしまうかもしれませんが”選手ってこうやってレベルアップしていくんだな”と実感した大会でした。
移籍した先では言語の壁にぶつかったり、怪我をしてしまったりと、決してうまくいくことばかりではありませんでしたが、それでもこの1年はすごくいい時間だったなと感じています。
ーークラブSNSでは、宮澤選手がチームメイトと談笑する様子も映っていましたが、コミュニケーションで難しく感じる点はまだありますか?
そうですね、言っていることはなんとなくわかるようになったのですが、試合中にうまく伝えられない、どう伝えたらいいのかと悩む場面はありました。
-そうは言っても、マンチェスター・ユナイテッドというビッククラブでシーズンを戦うことができたわけです。クラブの印象はいかがですか?
クラブの規模がとにかく大きくて。観客もたくさん入りますし、クラブに関わっている人数もざっと日本の倍はいる印象です。サッカーというスポーツが進んでいるなと節々に感じます。それとプレーで言えば、個が強い。自分を出していかなければならないという点では、私も最初は苦戦しました。そこからようやく手応えを掴み出したときに怪我をしてしまって…。改めて来年が勝負の年だなと感じているところです。それは自分のためでもありますけれど、今日も感じたように、たくさんの人が応援してくれていて、たくさんの人が活躍する姿を楽しみにしてくださっています。だからこそ、今いる場所でしっかりと結果を出したいというのが率直な思いです。
ーーなでしこJAPAN、そしてマンチェスター・ユナイテッドWFCへの移籍と、宮澤選手が成し遂げてきたことは大きいですが、この先に掲げる夢はありますか?
ずっと掲げているのは、たくさんの人に応援されて愛される選手になることです。その通過点にワールドカップやオリンピックがあると捉えていて、各々で結果を残すことができたらなと試合でも試合以外でも、サッカーの楽しさを伝えながら、子供たちの憧れであり続けられるよう活動していきたいですね。
ーーさて、食事というところにフォーカスを当てると、宮澤選手はどのような工夫や心がけをされていますか?
特に制限などはかけていなくて、できるだけ好きなものを食べるようにしています。ここ最近の変化としては、以前より野菜を摂るようになったかもしれません。きっかけは、先輩達がすごい量のサラダを食べていて。私も年齢を重ねるごとに野菜の大切さを感じるようになりました。
ーー“身体づくりと食事”という観点で感じられていることはありますか?
学生の時に比べると、食事の大切さをいっそう感じるようになりました。サッカーに集中できる環境に身を置いて、朝からしっかり、3食きちんと食事を摂ることの大切さに目覚めたんです。海外にいると、日本よりも魚を手軽にいただけないのですが、それでも肉が続いたときはクラブハウスで魚を摂るようにするなど、バランスも意識するようになったかもしれません。
ーー「たんぱく質」という点ではどのような意識を持っていますか?
クラブにいる間はランチが出るので、練習後もすぐに摂取することができます。ただ、日本のようにコンビニエンスストアがあるわけではありませんから、手軽に食べられるものがないというもどかしさは時折感じます。先ほども触れましたが、魚を焼こうと思ってもなかなかできないことが多いので、かまぼこのように気軽に摂れる方法があれば積極的に取り入れていきたいですね。
ーー「かまぼこ」というワードが出ましたが、鈴廣かまぼこについては以前からご存じでしたか?
地元の企業ですし、小さい頃からかまぼこが好きだったので、きっと知らず知らずの内から鈴廣かまぼこさんの商品は食べていたんじゃないかなと思います。今はフィッシュプロテインバーのように手軽で美味しくたんぱく質が摂れる商品もあって、今回開催した南足柄市のイベントにもご協力いただけき、とてもありがたく感じています。
ーーありがとうございます。それでは最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします!
いつも応援ありがとうございます。
サッカーを通じてたくさんの方を元気付けられるように、笑顔にできるように、これからも全力で頑張っていきたいと思っています。引き続き応援よろしくお願いいたします!
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五勝出 拳一(ごかつで・けんいち)
広義のスポーツ領域でクリエイティブとプロモーション事業を展開する株式会社セイカダイの代表。複数のスポーツチームや競技団体および、スポーツ近接領域の企業の情報発信・ブランディングを支援している。『アスリートと社会を紡ぐ』をミッションとしたNPO法人izm 代表理事も務める。2019年末にマイナビ出版より『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』を出版。