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職人が語る伝統の技 其の三

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手どりしんじょ「浜の月」



風祭製造部伝統製造課
一級技能士 萩原 久

商品への想い

鈴廣を代表する商品のひとつを任されている者としては、やはり特別な神経を使います。しんじょとは、魚や海老などのすり身に山芋を加えて味をつけ、蒸しまたはゆでた食品を言うのですが、まさに食感が命と言える商品の代表格でしょう。中でも浜の月は、「刺身感覚で食べられる弾力となめらかさ」を信条としていますので、「ほどよい弾力があり、食べた時にツルンとした感じで口の中に入って行く」といったイメージを常に持ちながら日々の製造に望んでいます。
私が直接かかわる以前の話しになりますが、商品開発時には、店頭に並べた浜の月を何度も食べて食感を研究したそうです。製造時に「これは求めた食感だ、と思っても店頭に並ぶ時は食感が多少変化する・・・」。買って食す際に求めた食感がいかに発揮できるか、と何度も改良し研究をしていたそうです。こういった、かまぼこ職人の美味しさへの強い想いも、伝統の技のひとつとして、浜の月を通して私自身も引き継いで行かねばならないと考えています。

技法とその難しさ

浜の月のすり身は、高級魚のグチのみを使用しています。1種類の魚種を使うため、魚の大きさ、鮮度などにより微妙に摺(す)りあがりの硬さや色に変化があり、その見極めをしながら味付けの調味をして行かねばなりません。また水の量も硬さに合せ微妙に変化させ、結果的に同じ食感や味を日々実現していくことが技術的にはもっとも難しいポイントになります。
加わえる水の量が少しでも多ければ、成型する際に身を練る事さえもできなくなってしまいます。成型できたものは、湯の中に入れじっくりと表面が固くなるまでつけておきますが、湯の温度や入れておく時間が少しでも狂うと求めている食感は出せない・・水や温度管理も非常に気を使う作業のひとつです。
すべては素材である魚や気候など、その時々の変化に合わせ人間側が調整する、これも天然素材ゆえの難しさといえると思います。

職人が語る「鈴廣かまぼこ」

鈴廣には、歴史と伝統が生んだブランドがありますが、現場の我々がそれを守りながらも、さらに挑戦し続けていくことが大切だと思っています。世の中的には衰退しつつある手造りかまぼこの製造法をあえて残しながらも、新しい技術も積極的に取り入れて安心安全に多くの消費者に商品を提供して行く。鈴廣の製造への取り組みにもそれは現れていると思います。
また、次世代のかまぼこ職人の「伝統技術の継承」や「技能士育成」に熱心に取り組んでいる点も鈴廣の大きな特徴といえると思います。

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