かまぼこって何でできているの?

ぷちかま記者:

こんにちは!ぷちかま記者です。かまぼこ界のスクープを追って、かまぼコラム、始まりました。記念すべき第一回は、かまぼこの作り方の秘密ひみつさぐるため、かまぼこ職人さんへ取材します。よろしくお願いします!

かまぼこ職人:

よろしくお願いします。

記者:

ではさっそく。かまぼこはお魚でできている、というのは知っているのですが、どんなお魚が使われているのでしょう?

職人:

板かまぼこには、主に白身魚が使われますね。鈴廣の場合は、グチという魚が一番多いです

記者:

グチ、あまり聞かないお魚です。

かまぼこカリブ:

グチ、いいですよね。

記者:

あ、かまぼこカリブさん!

かまぼこカリブ:

グチは「グーグー」という鳴き声から愚痴ぐちを言う魚」の意味で、グチと和名がつけられたそうですよ。

記者:

へ〜!ジョークみたいなお名前ですね……!

職人:

他には、オキギスも使われます。

カリブ:

オキギスは、ぶくろがすごいんです。

記者:

と、言いますと?

カリブ:

ぶくろが、なんと金色なんですよ。理由はよくわかっていないみたいなのですが、深海の水圧にえるため、というのが一説です。

記者:

勉強になります〜。

職人:

他にも、深海魚は多く使われています。例えば、キンメダイもその一つです。鈴廣ではげかまぼことして使っていますね。

カリブ:

キンメダイ、大きな目が特徴的とくちょうてきです。ちなみに、ネコの目ととてもよく似た仕組みなんです。

記者:

魚なのに、ネコですか。

カリブ:

ネコの目は暗闇くらやみで光りますが、キンメダイの目も、暗い深海で光るんです。目の網膜もうまくの奥にある「タペータム」という反射板はんしゃばんが、入ってきた光を反射はんしゃすることで、光っているように見えるそうです。人間の目に、この構造はありません。

記者:

タペータム、覚えました。

職人:

元々小田原で、キンメダイはよく採れた魚でした。相模湾さがみわんは、日本有数の深さをほこるので、深海魚にもえんがあるのです。 ちなみに、グチが使われるようになる前は、小田原ではオキギスが多く使われていました。しかし、ある時代から漁獲高ぎょかくだかが下がり、現在の小田原かまぼこの主原料はグチになっています。

記者:

それで、いまはグチが多く使われているのですね。

職人:

ちなみに「グチ」の仲間である、ニベ科の魚は66属286種いると言われています。かまぼこ作りに向かない種類もあるので、適した魚種を選びます。 また、成長の度合いもさまざまです。そのため、職人たちはその日の魚によって、作り方を変えているんです。

記者:

毎日、作り方を変えるのですか!ちなみに、どんな部分ですか?

職人:

主には、魚をさばいて水で魚肉を洗ったあと、塩を入れる時の量とタイミング、そして魚の肉を擂(す)る時間ですね

記者:

「擂る」という漢字、初めて見ました。

職人:

かまぼこ作りには「擂潰(らいかい)」という大事な工程があります。擂(す)り潰(つぶ)す、という意味です。この工程で塩を入れるのですが、先輩の職人たちからはずっと「小さな魚は、塩をさっと早めに入れて短く擂(す)る。大きな魚は、塩をゆっくり徐々に入れて長く擂る」と教わってきました。

記者:

魚のサイズによって変わるのですね!不思議です。

職人:

鈴廣には「魚肉たんぱく研究所」という施設しせつがあるのですが、そこで研究した結果、科学的にも正しいことがわかりました。

記者:

次回はぜひ、職人技を裏付うらづける科学を取材したいと思います。

職人:

毎日仕事の最後には「官能検査」という、その日できたかまぼこを見て、食べて、一日をかえる作業をしています。いわゆる反省会です。どこの工程に改善点かいぜんがあるか、などを職人たちで話し合います。

記者:

私たちには、なかなかちがいはわからなそうです。

職人:

毎日食べていると、さすがにちがいがわかってきますが、どんなにがんばっても、なかなか自分のなかでの満点は取れないですね。もっと美味しくできる!という気持ちで作っています。

記者:

かまぼこへの愛情の深さが伝わってきます…!かまぼこ職人さん、今日はお話をありがとうございました!