| 久里洋二のアイランドギャラリー |
浮き島
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もう、何ヶ月もボートを漕ぎながら拾い海原を旅している。有難いことに私達は空腹も感じないので、楽しく日々を送って来たのだった。台風もなく、熱射で身体を焼かれることもなく。魚達をウォッチングしながらの旅だった。時々、島を発見したのだが、上陸はしなかった。想像の島の世界と現実の島の世界とは、あまりにも差がありすぎるようで嫌だったからだ。永い旅だったことがかえって、魚達との楽しい出会いを作ることが出来たようで、一事件かもしれなかった。鮹の苦労話、飛魚の空気の旨さについて、鰯の子育ての話、鮫の歯の手入れについて、鮪の回遊の話、海豚がカラオケで唄ったこと、水母の毒についての講議と様々な話題だった。 この辺で島に上陸して、どっしりと地面に足を着き、跳んだり走ったりしたい気分になっていた。 「今度、島を見つけたら上陸しよう」 と言ってボートを漕ぎ始めたのだが、それから一週間たって、やっと水平線に島を発見したのだった。 「島よ」 「想像の世界と現実の世界と異なって我慢して上陸しようか」 「いいわよ」 近づいて驚いたことに、その島は奇想天外な島だったのである。 |